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書籍紹介 『ジキルとハイド』
今の私の推論をあえて言えば、人間というものは最終的に、
それぞれ異なる多種多様な独立した住人たちの住む純然たる集合体として
理解されるようになるだろう。
概要
多重人格モノの始祖的存在として知られる小説。
作者はロバート・ルイス・スティーヴンソン。イギリス出身の作家である。
物語の舞台も19世紀のイギリス・ロンドンとなっている。
人間の多面性をテーマにした小説でありながら
・怪奇小説
・ミステリー小説
・ファンタジー小説
・理性と欲望の対立
・男の友情
といった多くの要素が詰まっている作品であり、読者それぞれの解釈が可能な作品となっている。
あらすじ
ロンドンの高名な紳士、ジキル博士の家にある時からハイドという男が出入りし始めた。彼は肌の青白い小男で不愉快な笑みをたたえ、人にかつてない嫌悪、さらには恐怖を抱かせるうえ、ついに殺人事件まで起こしてしまう。しかし、実はジキルが薬物によって邪悪なハイドへと姿を変えていたのであった...…
登場人物
アタスン
弁護士。自身に厳格ながら、他人には寛容な人格者。ハイドの謎を解き明かすために奔走する。
ジキル
医学博士、法学博士、民法学博士、王立協会員といった称号を持つエリート学者。威厳を持った人物ではあるが、内心では快楽に惹かれている。この矛盾が彼を悲劇へと誘ってしまう。アタスンとは長年の友人。
ハイド
相手に不愉快さや恐怖を与える外見の小男。彼の存在自体が物語の核心となっている。ジキルが理性や知性ならば、こちらは欲望・快楽の象徴。
ラニヨン
科学者。アタスンの友人。ジキルとはかつては友人関係にあったものの、科学に対する考えの違いから近年は疎遠になっている。ハイドの真実を知ってしまい、ショックで衰弱してしまう。
プール
ジキルの執事。ジキルの奇行を心配し、アタスンに助けを求める
エンフィールド
アタスンの親類で散歩仲間。主要登場人物の中で、最初にハイドと接触した。アタスンにハイドの存在を伝える。
文庫
新潮文庫、岩波文庫、角川文庫、光文社古典新訳文庫、創元推理文庫から販売されている。
新潮文庫版は訳が2012年と新しく、表紙がオシャレなのでおすすめだ。
Strange Case of Dr Jekyll and Mr Hyde