ファジの中盤について①
ファジの中盤。今季これまで、シーズン残り、それと来年について。WBは中盤という括りに入れるものとする。
何回かに分けて書くが、今回はDMにフォーカス
まず言いたいのはチーム全体として繋ぐということは向上した。これは中盤だけじゃなくて後ろも然り、鈴木の偽SBなどの可変→柳バイスの左右交換→3バック起用などの紆余曲折を経てきた成果もあるし、ムークや一彩など前線の選手のリンクマン的な立ち回りの煮詰まりもある。
そういった前と後ろの動き、プラスそれに対しての中盤選手たちの理解が深まっていることも大きな要因ではないだろうか。
では、トピックである中盤自体の動きはどうか
まず、ファジのスクアッドの強みは、DMという立ち位置で誰が出ても(ダイアモンド型の底でもフラット型の守備寄りの方でも)、半身で受けて→難易度の低いターンをして→ボールを前に逃すという作業ができることだと思っている(そこから上手い展開をしたり縦に刺せるかなどは問わず)。地味なプレイだが、全体の思考リソースを前向きにする重要なこと。最低限のタスクに聞こえるかもしれないが、CLでトーナメントに勝ち進むようなチームでさえ”守備極振り”みたいな、前を向くのに1億タッチかかるMFを複数人かかえたりすることもあるので、そこは編成に恵まれたところ。
このDMのシンプルな一連のプレイは”つなぎ”の心臓とも言えるので、その部分での向上は輪笠、田部井、河井などの、この”基礎的なボールプレイ”に大きく助けられたのかもしれない。
輪笠祐士
中盤の底でボールを引き出し、繋ぎ、刈り取り、などと個人的にファジでいちばん欠いたらマズイ選手だと思っている。つなぐところではサリーダで直接バックラインに入って受けたり、相手ブロック手前の少し角度をつけたところでパスを呼び込んだりと多彩。
ラストサードでシュートに直結するようなパス(熊本戦の縦刺しアシストや、最近だと大宮アウェイのループパスなど球質も多彩)も出せたりと、タスク外やスカウト外であろうプレイの幅も広い。
田部井と同時期用されて、田部井より前目でプレイする時間帯もあったので、そこでのポテンシャルもお墨付きではあると思うが。
ケガする前には失点にド直結するようなトラップミスやパスミスを1試合に1回くらいしていてかなり気になったが、そこの集中力や自信は治っている様子。
田部井涼
インタビューで本人が言っていた「ビルドアップとバイタルワークの両方で活躍を目指す」というのが彼のプレイスタイルを的確に言い表していると思う。派手さこそないが、3列目でも2列目でもボールに絡めて、かつレフティーという、それだけでもプロファイル的にまぁまぁ希少価値は高い選手。
それでも個人的にいちばん評価したいのは守備の部分だ。もともと強度やボールハントということを売りとする選手ではないが、輪笠をケガで欠いた期間は仙波とのペアなどで、きっちり守備寄りの立ち回りをこなしていた。特に、ホーム長崎戦で広大なスペースをスライドし続けてサイドのカバーに入ってボールを狩りまくっていたのは圧巻だった。
自分のストロングとは異なるタスクを120%真っ当できるという姿勢、コミットメントを持った選手は必ずチームを引っ張るので、どうかレンタルバックせずにファジに残ってほしい。
ファジのDM。シーズン残りや来年は、河井に機会を与えつつもレギュラー輪笠。そしてここまで守備を褒めておいてなんだが、デュエルに長けたDMを1人補強して、田部井は前目のタスクへと解放してほしい。
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