2024なでしこリーグ1部第12節・2部14節レビュー
今節の試合結果
試合レビュー
スフィーダ世田谷FC VS バニーズ群馬FCホワイトスター
2000人を超える観衆が集まったスフィーダのホームゲーム。試合もホームの声援にスフィーダが一方的な試合を見せる。立ち上がりから押し込む時間を作ると23分、藤原のCKを堀江がヘディングで合わせてスフィーダが先制に成功する。35分には中村のクロスボールを受けた藤原が落ち着いて相手DFを交わしてシュート。これが決まって追加点を奪ったスフィーダは直後の36分、戸田のスルーパスに反応した新堀がネットを揺らして一気にリードを3点に広げるスフィーダ。さらに止まらないスフィーダは前半アディショナルタイムにも戸田のスルーパスから藤原、中村とつないでゴールを奪い4-0。前半だけで大量リードを奪う。新監督の初陣となったバニーズだったが短い時間で立て直しはできず後半に入ってもスフィーダにボールを握られ、54分には堀江に今日2点目を許して5失点。攻撃も塩谷がシュートを2本打ったのみで試合通してシュート3本を抑え込まれてしまった。ホームのスフィーダとしては大観衆の前で圧巻のゴールショーを見せることが出来た。
朝日インテックラブリッジ名古屋 VS 静岡SSUボニータ
この2試合勝利がない2位の名古屋が静岡をホームに迎えての一戦。試合は立ち上がり4分、渡辺のロングボールに対して処理が甘くなったところを見逃さなかった静岡は土屋がボールを奪取するとそのままゴールに流しこみ先制点を奪う。ミスから失点を喫してしまった名古屋だったが9分、長谷川がインターセプトからカウンターを仕掛けるとグラウンダーのクロスに三浦が合わせて1-1の同点に追いつく。前半の早い段階で得点を奪い合った両チームだがその後は落ち着いた試合展開となり前半を1-1で折り返す。後半に入ると最初のチャンスは名古屋。51分、左サイドでボールを受けた長谷川の絶妙なクロスに渕上が頭1つ抜けたヘディングで合わせて名古屋が逆転に成功する。追いかける展開となってしまった静岡だったが62分、中盤でボールを受けた三輪がスルーパスを出すとそこに反応したのは土屋。味方の上がりを待つと最後は走りこんだ三輪が土屋からのパスを合わせて今度は静岡が同点に追いつく。そして試合はアディショナルタイムに入ると93分、ラストワンプレーでハイプレスを仕掛ける静岡がボールを奪取すると前線に残っていた山本へ。山本は自らドリブルで持ち込みニアに突き刺さるシュートを決め静岡が劇的な逆転ゴールを決めタイプアップの笛。最後まで諦めなかった静岡が劇的な勝利をあげた。
スペランツァ大阪 VS 愛媛FCレディース
3連敗中のスペランツァが愛媛を迎えての一戦。残留へ下との勝点差を広げたいスペランツァとここで勝って一気に安泰の位置に付きたい愛媛。試合は愛媛のペースで進み17分、高い位置でスローインを獲得した愛媛はボールを受けた田子のクロスボールがそのままゴールへ吸い込まれ愛媛が先制に成功する。その後も主導権を握る愛媛に対して苦しい状況のスペランツァ。前半はなんとか追加点は許さなかったものの後半開始早々の48分、右サイドから黒岩がクロスを上げると中でフリーになった俣野のゴールでリードを広げる愛媛。さらに56分には田子が今日2点目を決めて3-0とし勝利を一気に手繰り寄せた愛媛。さすがにスペランツァも58分に3枚の交代を使い流れを変えようとするも得点には至らず。愛媛も71分、83分と交代を行う。GKを交代させる余裕が出た愛媛はクリーンシートで今季初の連勝。対するスペランツァは3試合無得点となってしまった。
オルカ鴨川FC VS ASハリマアルビオン
6戦負けなしのオルカと2連勝中のハリマの一戦。残留へ勝点を積み重ねたいハリマはリスクを冒さず堅い立ち上がりを見せる。引いてしっかりと守る相手に対して攻め込むオルカだったが連携ミス目立ちラインを割ってしまうことが多く攻撃に工夫が足りない。そんななか13分、平塚が負傷により交代を余儀なくされてしまったハリマはシステムの変更となる。ともに上手く行かない前半はゴールの生まれる可能性が見えず0-0でハーフタイムに入る。後半の前に動いたのはホームのオルカ。並木、松尾美月を投入しテコ入れを図るも攻撃の低調さは変わらず。対するハリマは70分、CKからは波状攻撃を見せるものの耐えるオルカ。少ないチャンスを決めきることができなかった両チーム、攻撃面での工夫が足りずスコアレスドローで終了。オルカとしては勿体ない引き分け、ハリマとしても勝点2を失った引き分けとなってしまった。
ニッパツ横浜FCシーガルズ VS ヴィアマテラス宮崎
前節伊賀に敗れリーグ戦初黒星を喫したヴィアマと優勝を狙うニッパツの一戦。1000人以上の観衆が集まったニッパツのホームゲームはヴィアマの攻撃を対策したニッパツが優位に進める。ワントップの河野がヴィアマDFの間で上手く顔を出しチャンスを作るのに対しヴィアマは3トップが完全に封じこまれてしまう。それでの守備陣は奮闘し前半を0-0で終え1点勝負の展開となる。後半に入ると試合展開は一転してヴィアマが攻勢を強める。前半シュートを打てなかった齋藤にボールが渡るようになりスタミナ面でも有利なヴィアマがゴールを脅かすもニッパツDFが守り抜き90分が終了。そしてアディショナルタイムは5分。何とか守り切りたかったニッパツだったが95分、前にボールを送るヴィアマはこぼれ球を回収すると今蔵がクロスボールを入れる。このボールがファーサイドまで流れると走りこんだ板倉がしっかりと合わせてネットを揺らしヴィアマが終了間際の決勝ゴール。このまま試合は終了しニッパツを1-0で下したヴィアマが勝点3を積み重ねた。
伊賀FCくノ一三重 VS 日体大SMG横浜
後半戦最初のゲームとなる伊賀は3連敗と調子を落としている日体大を迎えての一戦。前半はともに持ち味を出した攻撃がみられる。伊賀はサイドを使った攻撃、日体大は背後を狙った攻撃で活路を見出す両チームだが得点は奪えず0-0で後半に入る。ハーフタイムに正野を投入した伊賀は采配が当たる。後半始まってすぐの51分、村上のCKは一度跳ね返されるものの再度村上がクロスを入れると西川が相手より先に頭で触り最後は正野がヘディングで押し込んで伊賀が先制に成功する。リードを許した日体大は70分に錦織、77分に高原を投入すると79分、渡部が右サイドのスペースにロングフィードを送ると反応した高原が追いつきダイレクトで中にクロス。そこに走りこんだ浅香が押し込んで日体大が同点に追いつく。試合を振り出しに戻された伊賀だったが84分、村上のCKが相手に当たるとこぼれ球を正野が右足を振り抜いてネットを揺らし伊賀が勝ち越しに成功する。再度リードを許した日体大はその後追いつくことが出来ず試合終了。途中出場の正野の2ゴールで勝利を手にした伊賀が連勝を決めた。
JFAアカデミー福島 VS FCふじざくら山梨
勝点が並ぶ両チームの大事な直接対決。特に山梨としてはここで勝てばなでしこ1部への昇格の可能性も高くなる。そんな大事な一戦は締まった立ち上がりを迎えるものの試合が落ち着いてきた18分、林のゴールで福島が先制に成功する。リードを許す形となってしまった山梨は前線で上手くボールを収めることが出来ず苦しい前半となりネットを揺らすことが出来なかった。ハーフタイムに鈴木を下げるという思い切った采配に出た山梨だったが後半は何度か福島のエース板村に決定機を許すなど状況を変えることが出来ず。後半には田中、加藤と前に枚数をかける山梨だが福島の守りを最後まで打ち崩すことはできなかった。今後を占う大事な一戦は福島が林のゴールを最後まで守り切り1-0で4試合ぶりの勝利を手にした。
ヴィアティン三重レディース VS つくばFCレディース
上位に食い込むためには勝利が欲しい三重と残留へ余裕を持ちたいつくばの一戦。前半押し込む時間を多く作ったのはアウェイのつくば。縦に早い攻撃を活かしながら色々な選手がゴール前に顔を出してチャンスを作るも決めきることが出来ず。対する三重は前半は相手に主導権を握られ自分たちの攻撃を展開することが出来なかった。前半を何とか無失点で抑えた三重は後半に入ると徐々に攻撃の形が見え始める。70分にFW2人を交代させDFの田中、FWの福井を投入するとその7分後の77分、交代からすぐに福井が均衡を破るゴールを奪い三重が先制する。前半とは対照的に苦しい後半となったつくばは直後の79分に石川を投入しゴールを狙いに行くも三重の安定した守備を最後まで破ることはできなかった。前半耐えて後半に勝負を仕掛けた三重が1-0でつくばを倒し4試合ぶりの勝利。一方のつくばは6連敗となってしまった。
大和シルフィード VS 吉備国際大学Charme岡山高梁
3戦負けなしのシルフィードと連勝を狙う吉備国大の一戦。試合は立ち上がり早々の7分、浜田のゴールでシルフィードが先制に成功するとそのまま押し込む時間を作り追加点を狙いに行く。吉備国大は前半を耐える時間が続くものの1点で凌ぎきり後半に反撃を狙う。ハーフタイムに2枚替えを行った吉備国大は52分に古谷のPKで同点に追いつくと59分には西村の逆転ゴールで一気に試合をひっくり返した。追いかける展開となってしまったシルフィードだったが81分に浜田の今日2ゴール目が決まり試合を振り出しに戻したシルフィード。その後は両チームに得点は生まれずタイムアップ。前後半で主導権の入れ替わった試合は2-2の引き分けで終わった。これでシルフィードは4戦負けなしとなった。
SEISA OSA レイア湘南FC VS ディオッサ出雲FC
前日に2位の福島が勝利したことで差を広げられたくない湘南がディオッサを迎えての一戦。前半からペースを握るのはホームの湘南。鈴木、松崎とFWにボールを供給しチャンスを演出するもディオッサDF陣が堅い守備を見せて自由にさせない。ゴール前での体を張った守備で前半を何とか無失点で抑えたディオッサは後半に反撃を狙う。しかし、時間の経過とともに湘南の猛攻を浴びる展開に。それでもGKの西村のファインセーブもあり湘南の攻撃を受けきるディオッサ、攻撃では少ないセットプレーを中心に得点を狙うものの決めることはできず防戦に。攻める湘南は76分、83分と交代カードを切ってフレッシュな選手を投入するも最後までディオッサゴールを割ることが出来ずにタイムアップの笛がなった。勝利が絶対に欲しかった湘南としては痛い引き分けとなってしまった。一方のディオッサは耐える試合だったが勝点1を持ち帰ることに成功した。
FC今治レディース VS ディアヴォロッソ広島
3戦連続引き分け中の粘り強い戦いをしている今治が順位の近いディアヴォロッソを迎えての一戦。主導権を握ったのはホームの今治。中盤で試合を組み立てると14分、首藤のゴールが決まって先制に成功する。対するディアヴォロッソは連携のミスが目立ち前半はシュートを1本も打つことが出来なかった。後半に入ると徐々にディアヴォロッソにも攻撃の形が作られると今度は今治の攻撃が停滞。前半とは逆の展開となるものの今治は最近の安定した守備でディアヴォロッソの攻撃から守り抜く。個の力で今治ゴールをこじ開けることが出来なかったディアヴォロッソは1点が遠く前半のリードを守り抜いた今治が14試合目にしてなでしこリーグ初勝利を決めた。
福岡J・アンクラス VS 岡山湯郷Belle
入替戦回避に向けて勝利が欲しいアンクラス。首位を突き進む湯郷をホームに迎えての一戦は戦前の予想通り受け身の展開に。それでも湯郷のエース横山に決定的な仕事をさせない統率された守備で0-0の時間が続く。湯郷の攻撃が単発であったこともあり前半を0-0で折り返したアンクラスは後半に入っても流れは変わらず。そして66分、山田に今季初ゴールを許したアンクラスは遂にリードを奪われてしまった。先制した湯郷はその後も再三CKを獲得すると追加点を狙いに行く。それでも2点目を許さないアンクラスはこれ以上の失点は防ぐことに成功したものの攻撃の形はまったく作ることが出来ず。1点のリードを追いつくことのできなかったアンクラスは0-1で敗れ2連敗となってしまった。勝利した湯郷は昇格へマジック6とした。
今節のMVP
中村 ゆしか(スフィーダ世田谷FC)
1ゴール2アシストの大活躍を見せてチームの大勝に大きく貢献した。
西村 清花(ディオッサ出雲FC)
17本ものシュートを浴びながらもゴールを許さずクリーンシートで勝点1を掴んだ。
得点ランキング
1部では土屋が1ゴール、堀江が2ゴールを追加し通算7ゴールで2位タイになった。
2部では古谷、西村が1ゴールを追加し10位タイに並んだ。
アシストランキング
黒岩が1アシストを追加し4アシストで齊藤と並んで首位に。長谷川、中村は今節2アシストで一気に3位タイになった。
JWCRランキング
今節の結果、スフィーダ、ディオッサが2ランクアップ、名古屋が2ランクダウンした。
順位表
1部はヴィアマが2位の名古屋と差を広げる。
2部では福島が2位対決を制した。