依存
「自立とは依存先を増やすこと」
この言葉が少々逆説的に響くのは、自立は依存から最も隔たった状態だとぼくらは思っているからだろう。数多の他者に依存した人間こそ自立した存在であり、逆に健全な依存関係の不在は精神的な成熟を困難にする。
他人を無条件に肯定し、独力で何でもこなすことが最善であり自立であると思っていたぼくは狐につままれた気分だった。自我を極力表に出さず、迷惑でないようにふるまう。自分がまだ学生だった頃、教室で生き残っていくための、他人に疎外されないための生存戦略だった。それが否定された今、ぼくはどうすればいいか分からなくなった。