エッセイ(6) 電話が苦手な変わった人
現代の若者は、職場での電話が苦手だと聞いたことがある。
自宅の電話はあっても、主に携帯電話を使うので、いわゆる電話の作法がわからないらしい。
わたしも電話が苦手。
仕事上の電話は作法やマナーを知っているので平気だし、不快な営業電話はきっちり断れる。
ほとんどの人は、友達や家族との電話で何のストレスも感じないだろう。
しかし、わたしは感じるのだ、怠さを。
電話を切った後、どっと疲れてしまう。
軽い吃音を持っていることも原因だろう。
その代わり、文章表現は得意なので、メールやLINEは大歓迎。
手紙も好きだ。
今でこそ、雑談スキルが人並みのレベルまで上がって、普通のおばさんのふりをしているが、以前は話を合わせるだけでかなりの労力を使った。
女性には共感・共鳴を、男性にはプライド・メンツの持ち上げを、一般常識から外れぬように、など、たいへん努力した。
共感、共鳴できないことも多く、持ち上げるスキルもなく、一般常識に違和感を持つことも多いわたし。
どこに流れても、変わってる人と言われ続けた。
50代の更年期障害という人生の大転換期後、普通の人になることをやめた。
いいのだ、変わってる人で。
わたし自身を受け入れたことで、肩の力が抜けて、対面コミュニケーションはだいぶ楽になった。
今は、相手の雰囲気や表情を観察しながら話すようになり、必ずしも、会話が弾まなくても氣にならない。
こんな風に意識が変わっても、相も変わらず、電話は避けたい。
電話中、適当な相槌を打ってばかりの、反応が非常に薄いわたし。
どう返答していいかわからず、無言になることも多い。
相手にとっては、テレビやラジオの放送事故のような感覚なのではないだろうか。
わたしの電話嫌いを知ってか知らずか、周囲からのわたしへの連絡は、主にLINEだ。
LINEやメールがあるから、電話が苦手でも快適に暮らしていける。
現代の文明の力、インターネットのおかげなのだ。
とてもありがたい。
世の中から電話はなくならないと思う。
相手と離れていても、今を共有する感覚が味わえるからだ。
わたしもいつか、電話が楽しいと思う日が来るだろうか。
来ないだろうな。
いやいや、何が起こるかわからないのが人生。
楽しみに生きていこう。
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。
またお寄りくださいね。
ー2024.10.26ー
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