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【音楽】TMNETWORK初期の作詞家:麻生香太郎の世界(2024/3/9追記)

麻生 香太郎(あそう こうたろう、1952年10月7日 - 2018年3月6日)は、日本の作詞家・音楽評論家・エンターテインメント評論家。大阪府大阪市曾根崎生まれ、兵庫県出身
甲陽学院中学校・高等学校、東京大学文学部卒業。作詞家を経て、1980年代半ばよりエンタテインメント・ジャーナリストに転身する。『日経エンタテインメント!』スーパーバイザーを務めていた。
『TVステーション』で連載を務め、麻生もSEYMOURのペンネームでTM NETWORKや中森明菜に作詞提供をした。
2018年3月6日、篩骨洞癌のため死去した。65歳

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

TMのファーストアルバム『RAINBOW RAINBOW』とセカンドアルバム『CHILDHOOD'S END』で歌詞を手掛けた作詞家さんといいますか

その後、コラムニストや評論家としても活躍され、雑誌「日経エンタテインメント!」でもコラムを連載されていましたが、惜しくも2018年、癌により他界されました

彼の作詞が何とも抽象的かつ、どことなく哲学的で考えさせられると言いますか、受け手によりとらえ方が異なる歌詞

当時のTMのエレポップと相まって、若干SF的な星新一「ショート・ショート」にありそうな世界観です🖋️

麻生さんから見たTMの楽曲やビジュアルの「印象」をそのまま歌詞にしたのかもしれません📡

手掛けられた作詞は以下の曲です

アルバム『RAINBOW RAINBOW』より
🔹「カリビアーナ・ハイ」(CARIBBEANA-HI)
🔹「クリストファー」(CHRISTOPHER)
🔹「パノラマジック (アストロノーツの悲劇)

 アルバム未収録であったが後年発表
🔹「OPEN YOUR HEART」
🔹「グリニッジの光を離れて」←2024/3/9追記

アルバム『CHILDHOOD'S END』より
🔸永遠のパスポート(Seymour名義)

私の独断と偏見で、それぞれの楽曲の特に印象に残ったフレーズを紹介したいと思います


「カリビアーナ・ハイ」(CARIBBEANA-HI)

「試してごらんよ カリビアーナハイ 
   やめられなくなる カリビアーナハイ」

「カリビアーナ・ハイ」(CARIBBEANA-HI)より

冒頭のいきなりサビの歌詞で、いたってありそうな普通の歌詞ですが、
カリビアーナハイって何なんでしょうか
カリブ方面のビーチでパリピが盛り上がってるイメージでしょうか🏖️


「クリストファー」(CHRISTOPHER)

「青くそよぐ絵はがきの中で 斜めのサヨナラ サーフィンしている
 パームツリー抜けて 赤い自転車で君は
 Where are you going to where, to where? 」

「クリストファー」(CHRISTOPHER)より

麻生ワールドが展開し始めました
シュールレアリズムの絵画の世界ですね
昔の向精神薬の広告デザインを思い浮かべます💊

「古い冷蔵庫を開けると セピアの老婆が微笑む
 家賃は払ってほしいと 幸せの月日の分まで」

「クリストファー」(CHRISTOPHER)より

冷蔵庫開けるとおばあさんが中に入っていて、家賃の催促…
冷蔵庫を開けている時、振り返ると家主の老婆が催促しているということでしょうか🪦
(それはそれで怖いですが)
冷蔵庫開けると中におばあさん入っている説も捨てきれないのが 麻生香太郎


「パノラマジック 」(アストロノーツの悲劇)

Mercy,Love Is Panoramagic
宇宙(そら)から見れば 小さな Green Green Apple
Mercy,Love Is Panoramagic 不思議な世界へ ふたりだけで
(Welcome Mercy Wonder Mercy ha…) ..

パノラマジック (アストロノーツの悲劇)より

「残り1つのエアロビクスを心をこめ  君にプレゼント」

パノラマジック (アストロノーツの悲劇)より

副題の「アストロノーツの悲劇」より、宇宙飛行士のカップルがスペースシップの制御が効かなくなり果てしない宇宙の彼方へ進んでいるんだけど、それは絶望ではなく、永遠の二人だけの世界へ向かっていく…
なので、曲の雰囲気も絶望ではなく、どこか淡々としています

残り1つのエアロビクスは、酸素カプセル?ボンベ?でしょうか


「OPEN YOUR HEART」

「傾くふたりは 電池が途絶えて プラスとマイナス repulseしている」

「OPEN YOUR HEART」より

別れ際で未練はあるけど、歌詞の退廃的な印象は、どうしようもなく若干の絶望感も感じます

「24時をふたつに分け、初恋からやり直そう」

「OPEN YOUR HEART」より

24時を2つに分けるとは、時間の概念を壊してまで、初恋からやり直したいんでしょうね


「グリニッジの光を離れて」:2024/3/9追記

Look Up Phoebe アヒルの池では
Look Up Phoebe 今年も紅樹さ
Keep Out Phoebe 冬には
スケーティングリンクになるんだろう

Stand Up Phoebe 待ちくたびれてたかい
Stand Up Phoebe 機嫌を直して
Stand On Phoebe 涙が
突然図書館を染める

夕陽のシャワーに濡れた髪
水たまりをひとつ飛び越せば
すっかりいつもの君がいる
夏にそよぐアドレセンシー

Look Up Phoebe サックス吹いてる
Look Up Phoebe いつものベンチの
Funky Player いつかは
彼もステージに立てるだろう

緑にスケボー転がして
リトルリーグの少年たち Going Home
白いユニフォーム姿より
泥に汚れたあの子がいいね

いつまでも子供でいたい
君はダダをこねるように言うけれど
それよりももう一度 Children Heart
子供になれるかが大切なことさ

「グリニッジの光を離れて」より

こちらもTM初期の未発表曲で全歌詞を掲載しました。
「グリニッジの光を離れて」と言う題名なので、ものすごくSF感を期待しましたが、イギリス・グリニッジの秋の終わりの夕方の風景を切り取った内容に感じました
作曲が木根さんということもあり、メロディアスな曲調に合っています
多分ですが、初期のSF的なコンセプトから外れたしまったので、未発表曲となったのでしょう…
歌詞で気になるのは、「Phoebe:フィービー」とはなんぞや
個人的には女性のような気がして、彼が彼女(Phoebe:フィービー)にグリニッジにある公園の風景を見ながら語りかけているように捉えました


「永遠のパスポート」

「本当の事は誰も知りたくはないさ 全てを許せるほどやさしくなれない
 眠たげな窓を開けて 風に吹かれながら 
 夏の日目覚める頃 君を追いかけよう

「永遠のパスポート」より

こちらいたって普通のJ-POPの歌詞です
夏の夜明けに都心に向かって車で帰っていますが、ケンカをしたのか、少し彼女が拗ねて、「一人で帰る」と言い出して、でも彼氏はそんな彼女を受けとめている…
全体的にはそんな内容だったかな

本当の事は誰も知りたくはないさ 全てを許せるほどやさしくなれない

誰だってそうですよね。
皆何かしら知られたくない隠したいことを背負ってますし、知ったとして許せないといいますか引っかかる部分はあります
(お互い様といえばそれまで)
それを受け入れて、永遠に一緒にいたい…ということでしょうか


あくまで私の独断と偏見の解説なので、リンクのYouTubeで楽曲を聴いていただき、皆様それぞれ感じたことを思い浮かべていただければ幸いです

最近、SONYの「otonano」という音楽サイトのTMNETWOKのページに藤井徹貫氏によるTMの元プロデューサー小坂洋二氏へのインタビュー記事があり、その中で麻生氏に言及した発言がありましたので抜粋します

デビュー当時、一昨年亡くなった私の友人でもある麻生香太郎君に作詞を依頼したこともありました。彼は、東大出身でインテリジェンスもあるし、歌謡曲の作詞はお手の物だけど、小室君のメロディやサウンドにはまる歌詞は書けませんでした。

「otonano」小坂洋二氏へのインタビュー記事より抜粋

初期の少しの間でしたが、TMの楽曲に独特の世界観を表現してくださった麻生香太郎さん、ありがとうございます
ご冥福をお祈りいたします

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