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2022J1第20節

行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

盛者必衰の色が殊更強いJリーグを年間全試合観るにあたり、(DAZNの視聴期限が来ても)あとで振り返るための外付け・記憶の引き出し。個人的に好みだったシーン、"おっ"と思ったシーンを節ごとに格納していきます。需要は私自身にあります。

湘南×G大阪

湘南:レンタル元との契約で谷が出場できず、GKはJ1初出場の馬渡。最終ライン中央も大岩から大野に、瀬川のペアも町野から大橋に変更。
G大阪:3バックは右から高尾・三浦・福岡。CHは2人とも入れ替わり、ダワンの脇に倉田が下がってシャドーに山見が復帰した。

05'30"
大外に立った黒川と福岡の身体の向きに加え、内から外に開いた石毛の動きで池田を動かして中央を空けさせる福岡が運んで角度を作り、アンカー田中の横から背中に差し込むようなパスコースを坂本が使って大野を引き出す。
そのあとの高尾のインターセプトから間を縫って持ち上がる運びもセンスを感じる。
54'15"
ダワンとのパス交換で湘南の3センターによるプレスを引き出しておいて、絞った小野瀬の対角のサイドチェンジから黒川。石原、池田を押し下げたところでボールを下げて倉田、インスイングでファーへのクロス。
湘南の立ち位置と前向きの矢印の強さに対するアンサー。
55'10"
3トップ気味に出ていった池田の脇に降りた石毛を経由して前進、前を向いて受けた山見がファールを受けて杉岡のイエローを誘う。
97'00"
平岡の巧みに時間を使う運び。タッチライン際のプレーだけでなく、起点となったところでボールホルダーの米本に相手を向かわせないブロックもとても賢い。変な言い方だが、鹿島的な球際の強さ。

磐田×福岡

磐田:三浦、伊藤、上原、鈴木を除く7人が入れ替え。上原と鈴木も本職のWB、CHへと配置換え。3バックは右に森岡、左に大井。3トップは杉本、金子、黒川。
福岡:磐田に合わせて3421の形。ルキアン、山岸に加えて渡が前線に入り、両ワイドが柳、湯澤に変更。

53'30"
森岡が大外、鈴木雄斗が内に入ったところで引き取る杉本。一度最終ラインまで戻して再び杉本、経由して内側で鈴木雄斗。福岡の守備陣を必要以上に寄せておいて金子と宮を勝負させるスルーパス。
DFとの間に入る難しいクロスを弾いた直後に立ち上がり、適切なポジショニングから左足を抜いてニアへのシュートにも好反応する永石。

横浜FM×広島

横浜:畠中のペアがエドゥアルド、左SBが小池裕太、CHは岩田と山根。
広島:1トップ2シャドーの形。右に柏、左に東。前節と全く同じ。

01'20"
最終ラインの松原から下りた水沼、連続したアクションでIHの背後を取った岩田。水沼と役割を入れ替えた西村を背後に走らせる。
レオセアラが最終ラインを引っ張ってマイナスのエウベルに合わせる。
16'20"
密集で失わない山根のプレー。プレスバックしてくる相手からボールを隠すコントロールもうまいが、いったん預けた後の首振りによる認知と、それに基づいたワンタッチでの水沼へのワンタッチ。
34'50"
山根のボールの流し方と細かいキックフェイント。自ら時間の猶予を確保する細工。
42'50"
佐々木の走るコースのうまさ。相手につかせない。
57'10"
代わったばかりの小池龍太とのワンツーで相手のプレッシャーラインを越えた畠中が山根と岩田が相手を引きつけた間から少し運び、中央の広大なスペースへ縦パス。
球際で勝ったレオセアラが左へ展開すると、これまた交代直後の宮市が受けて相手と正対したところからカットイン、元のサイドへ振るアーリークロス気味のサイドチェンジ。
エリア内で余裕を持って状況を見た水沼がワンタッチで落とし、サポートに入った小池龍、中に折り返して西村が押し込む。流麗な崩し。
90'10"(AT)
開いた岩田から藤田、マルコスジュニオールが立ち位置で相手に影響を与えて空けた小池龍へハンドサイン。
内から外へ佐々木の裏に走る仲川へスルーパス、最終ラインの背後に優しいクロスを流し込んで逆サイドから入ってきた宮市。

FC東京×札幌

東京:中村帆高が前節で負傷した右SBに長友が回り、左にはバングーナガンデ佳史扶。アンカー東を継続し、渡邊の入っていたIHにルーキーの梶浦。CFはディエゴオリヴェイラではなくレアンドロ。
札幌:GKが大谷に代わり、最前線にシャビエル、シャドーに駒井と青木亮太。

00'20"
アダイウトンが小さく回って相手を剥がし、素早く反応した松木に預けて前へ。レアンドロのフリックから右に送って紺野、斜めに入ってきたレアンドロにつけて切り返しからフィニッシュ。ポジトラで縦方向に強く出す矢印と広いところを使う意識、局面でその方向を切り替えて相手の守備の矢印を折る個の技術。
11'30"
東のプレスバック、梶浦の長友に下げるようなキックフェイントと身体の向きで菅、青木亮、福森、高嶺を動かしておいて逆方向、前方のレアンドロへスルーパス。
32'40"
ハーフウェイライン手前から低い位置までやり直し、バングーナガンデ、森重、東の引く動きで札幌の前線を引き出す。
ボールを受けた東の両脇に開いたレアンドロ、松木と菱形を形成したアダイウトンへ縦パス。岡村らが守備位置に戻る動きの中で止まってフリーになったレアンドロの待ち方。

柏×名古屋

柏:細谷がスタメンを外れ、最前線に武藤。マテウスサヴィオと小屋松がその下で横並びのイメージ。椎橋の脇にドッジ。前節は出場停止だった高橋祐治が戻り、右大外に大南。
名古屋:チアゴ、内田のところが藤井、森下に戻った。

03'10"
攻守の切り替わった瞬間、数歩動いてドッジの背後に顔を出して受けたマテウス、持ち出し方と柿谷のダイアゴナルランで相手の3バックを引っ張ったスペースに回り込む森下をよく見ていた。
さらに柿谷に引っ張られた最終ラインの手前に稲垣とマテウス。
30'50"
レオシルバが中央をすり抜け、突出した上島を斜めのパスでいなす。引き取ったマテウスがレオシルバの追い越しに対応した高橋の背中を通して外に開いた柿谷。
レオシルバへの折り返しのパスコースを絞った古賀が塞ぎ、唯一の選択肢となった柿谷のシュートを佐々木が確実にセーブ。
63'30"
スローインをタッチライン際の狭いスペースに走り込んで受けた柿谷。内から迫る高橋を背中で感じ、右足アウトサイドでのファーストタッチで入れ替わる。ジーニアス柿谷まじジーニアス。
80'30"
川口からの横パスを内田と丸山の間で受けるマテウスサヴィオの立ち位置、逆足で引きながらターンしたことで身体を入れる受け方。呼応してチアゴの背後から斜めに裏を取る細谷の走り込み。

鹿島×C大阪

鹿島:最終ラインは継続。三竿がアンカーに入り、ピトゥカは前目の位置どり。仲間が右、カイキが左に入って和泉が鈴木優磨と組む。
C大阪:ヨニッチと組むのは鳥海、CHは奥埜と鈴木徳真でここは変わらず。2トップにアダムタガートと山田寛人。

03'50"
内から外へ流れた和泉にパスを出し、レーンを入れ替わって内を取ったカイキ。和泉がピトゥカを経由してカイキに戻し、中央へ戻っていくと空けたスペースに走り込んで推進力を見せる広瀬。
53'30"
最終ラインからやり直してジンヒョンから毎熊への縦パス。ピトゥカ、和泉が前線に、三竿が空いた奥埜に出ていったところで間を通す。
左サイドで詰まりかけたところで、自陣方向から詰めてくる鈴木優磨と仲間を身体の向きで足止めして進みたい方向を塞がせない加藤の技術。
67'00"
セットプレーのカウンター、クォンスンテのディストリビューションからピトゥカ。ドリブルのコース取りとカイキ、樋口2人の裏へのランニングを使って毎熊と奥埜を無効化しておいて右の和泉。ピトゥカの正面という危険なところを最初に塞いでおいて和泉にも撃たせない鈴木徳真と松田の対応が見事。

神戸×清水

神戸:小林友希の相方が大崎に戻った。そのほか、飯倉や小田の右SHなどは変わらず。
清水:立田が外れて原がCBに入り、片山が一列下がって西澤が右にスライド。空いた左SHにはカルリーニョスジュニオ。

05'40"
最終ラインでのボール回しで清水の前線を引き出し、飯倉からその裏へのフィードでイニエスタに届ける。汰木を裏に走らせてDFラインを押し下げ、バイタルエリアのスペースを確保して再びイニエスタ。
イニエスタのために後方で時間の貯金を作り、イニエスタのために相手を押し下げてバイタルエリアにスペースを作る。
51'00"
汰木と橋本のワンツー、イニエスタのダブルタッチでのスルーパス。相手の矢印を誘って折る。
91'45"(AT)
大迫、武藤、橋本が縦に入れ替わり立ち替わりポスト役となり、じわじわと清水の固めるエリア内に侵入。最後は中坂のパスのアイデアと橋本の収める技術、無理な体制から枠内に収める大迫の個人技。

浦和×京都

浦和:右SBに酒井が入り、岩波とショルツの左右が前節とは逆。左SBには関根。岩尾の相方が伊藤に戻り、SHは右にモーベルグ、左に大久保。前線は明本と松尾。
京都:契約で荻原、金子が使えず、開幕節と同様の最終ライン。IHに福岡と武富が入って武田はベンチスタート。左のWGに大前を継続。

11'30"
左サイドのスローインから、こぼれを拾って右へ展開。モーベルグが左足を囮に縦に行って右足でクロス、こぼれを拾って内の伊藤へ。回り込んだモーベルグへのリターンもあったが、伊藤の選択はファーへの速いクロス。
左に流れたクロスを松尾が仕掛け、やり直したところを岩波から伊藤への強い縦パスでもう一度モーベルグ。伊藤が空けたスペースに酒井がインナーラップしてクロスまで。明本がニアで潰れて後方から走り込んだ関根。猛攻。
14'00"
松尾の裏抜けで最終ラインを引っ張り、京都の中盤とのギャップで明本がショルツからの縦パスを引き出す。左右に大久保、モーベルグも走っており収まればビッグチャンス。
27'00"
岩波から西川と繋ぎ、大前・ウタカの背後で岩尾。福岡も含めた京都の前線に追わせておいて岩波に戻す。右サイドの深い位置でスペースと時間を与え、岩波の武器を存分に生かすビルドアップでクリーンに松尾へ。
32'30"
岩波の高さのあるロングボールを落下点に走り込みながらピタリ止める松尾のコントロール。
34'30"
大久保とのショートコーナーから岩尾がファーサイドへ。DFの視線を集めてその外を狙う定石。戻りながらの酒井のゴール天井へのフィニッシュはストライカー顔負け。
36'00"
松尾の白井を外す最初のタッチが大きすぎず優しい。ドリブルのコース取り、タッチの細かさと緩急で対峙する相手に足を出させない。
47'20"(AT)
岩波から明本へピンポイントのフィード。しっかり収めてモーベルグ、松尾の動きでDFを引きつけ大外を回った大久保。
45'05"
関根がタッチライン際で粘ったところから、大久保が巧みに相手のスライディングをかわしてアピアタウィアを背負った松尾につける。
松尾が頑張り、スイッチで入れ替わって大久保が運ぶ。最終ラインの手前に走ってきた江坂とモーベルグであわや決定機。
48'45"
岩尾のサイドチェンジからモーベルグに預けて内側を出ていく酒井。モーベルグは前方に流れてきた江坂を使い、酒井のスピードを落とさないパスを内につけてクロスを上げるも、よくついてきた武田がカット。
52'00"
飛び込んできた江坂を剥がすアピアタウィアのターンと戻ろうとするモーベルグの足を止めさせる武田の運び、前線から伊藤の脇を出入りする武富の絡みで相手を押し込む。
57'10"
酒井、モーベルグ、岩尾でリズムを作りつつ相手を引き出す。配置を整えて岩波から岩尾を飛ばして中盤の背後に降りた江坂へ。江坂から松尾へ極めて質の高いスルーパス。最終ラインからパス2本でフィニッシュまで。
58'25"
武田の左足の前に立って前方にも逆サイドにも出させない江坂、福岡に素早く詰めた大久保、唯一のパスコースとなった武富への岩尾らの追い込みからファールを誘う。
岩尾のクイックリスタートの判断、アイソレーションとなったモーベルグの仕掛けとフィニッシュ。エリア内にも松尾、江坂、松尾、大久保、伊藤に加えて岩波まで飛び込んできている。
63'45"
武田将平のアイデアある縦パス。身体の向きは左の大外、手前にいる選手を飛ばす強さのパスで酒井、岩波を出し抜いてウタカへ。ただショルツと西川が対応。
返す刀で西川の低空パント。収めた大久保が間合いを作ってモーベルグへサイドチェンジ。
65'00"
PA角で大久保が持って仕掛けたところから。逆サイドの関根への展開を見せて相手を一枚滑らせておいて右へやり直し。
エリア内でモーベルグ、伊藤がダイレクトで小気味よく繋いで外の酒井がフリー、これまたダイレクトで高速のクロス。
79'30"
岩尾から受けた江坂がアングルを変える強いパスで縦の大久保、左の関根へ展開。内→外と流れる大久保のもう一つ内、白井とアピアタウィアの間に上がってきてリターンを受ける。
80'15"
松尾と江坂の2トップに加えて岩尾が強くアンカーまで出て相手のビルドアップを誘導、福岡への鋭い縦パスを強いて乱れたところを岩尾が回収。
岩尾の運びと松尾の立ち位置で江坂のところを空け、細かいタッチで間隙を縫う個の技術でアピアタウィアの股を抜いて松尾にクロスを届ける。
83'00"
白井のアバウトな浮き球をカットしたままダイレクトで岩波の縦パス。ボールの落下点の予測と出し先の認知・視野、実現するキックの技術。文句なしのハイレベル。振り向きざまにアピアタウィアの股を抜いた江坂の反転の技術も高い。
91'30"(AT)
岩波から裏に走るモーベルグへ長い距離、絶妙なフィード。モーベルグがエリア内で相手の足を止めてサポートに入った伊藤、折り返して松尾のフィニッシュがクロスバー。

今節のMyベストイレブン

鳥栖川崎が延期となっており、ひとまず暫定。岩尾、鈴木徳真、武富、柿谷を入れたかった。


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