071プラネタリウムと念仏踊り✳海とビキニ✳ルパン現る!?
プラネタリウムは上階にあり、『転移クリスタル』で移動する。
『スーパー/アース/エクスギルドネットワークス』内の共有施設の為、無料で入場できる。
私たちは星空が好きだし、オソラナの三人も好きそうで、はしゃいでいる。
廊下を進むと円形の部屋が観えた。中に入ると薄暗い灯りであるが、歩くには問題はない。他は親子連れで、平日の為か、観客は少なく、貝がらのような寝っ転がりシートに座れた。
寝心地も中々良くて、ボタンを押すと回転もできる。シカナティアがくるくる廻ってるけれど、スピードはそんなに出せないようだ。
貝がらは透明な素材で覆われて、好きなアロマも炊けるらしい。
私はクラリセージ。ソファはローズオットー。シェリーはゼラニウム。シカナティアはイランイランの香りを嗜んだ。
曲は天空の城な曲、それと同じアニメ会社制作別映画のオルゴール曲が流れている。歩くやつとか。
説明はヒューマノイド――と思いきや人で、非常口になる転移クリスタルの位置を告げる。
そうして映像が始まった。半球ドームに映像が映写される。
見た目が男の子と、電気を出すモンスターの有名アニメだ。
(星空じゃないんかい……)
いや、本当は気づいてた……でも星空プラネタリウムがメインだと想ってた――。
まるまるアニメだった。
(まぁ……日食がテーマだからいいか……えくりぷす……ぷすぷす)
(半球ドームでアニメを観るのって、以前使ってたVRゴーグルつけた時に観える映像と似てるわね)
そんなこんなで林原さんの声も聴けて、満足しながらアニメは終幕。
この施設はプラネタリウムの他に、郷土博物館も併設されていて、新両替町と呼ばれていた銀座など、中央区の江戸時代からの推移、漁業、文化などが展示紹介されていた。聖ルカ通りには立教学院、慶應義塾、女子学院などもあったそうな。
気のよさそうな外見は女性(外見がそうでも女性とは限らず、メタジェンダー他、色んな性だったりする)から、『念仏踊り』の映像が観られますとのこと。
「お願いします」
部屋に通され、3Dホログラムの映像が始まった。
「ごゆっくり」
部屋には私たちだけになった。
佃島の念仏踊りの歴史から、インタビュー、そして、旧盆の七月十三日から十五日(一部の東京地域は今も)に、毎年開催日される盆踊りで念仏踊りが踊られる。
シンプルな太鼓のリズムと踊り唄にあわせて、櫓のまわりをゆるりとシンプルな踊りを繰り返す。少し太極拳にも似てるかも。
東京で最古の盆踊りとされ、現在も歌と踊りは変わらずに300年以上の伝統ある夏の風物詩とされる。
歴史を紐解くと、佃島の猟師は徳川家康ともつながり深く、漁業権を得るなど良好な関係だった為か、念仏踊りは1831年の禁止令も物ともせず、受け継がれた。
佃島の住民は埋め立てに貢献、完成した土地は築地と呼ばれる。築地本願寺の御堂は1680年に創建、念仏踊りは築地本願寺を通じて江戸中で廻られるようになったそうな。
今では浴衣以外に仮装して踊る人たちもいる模様。少しは遊びたいものね。
東京以外で念仏踊りは平安時代から踊られ、香川、長野、京都でも踊られていたそうな。
3Dホログラムの念仏踊りに合わせて、
私たちも一緒に踊る。
やがて映像は終わり、私たちはゆるりと部屋を出た。
転移クリスタルで地上に降り立つ。
ここちよい場所で過ごそうということで――
ソファから
「隅田川に行かない?」
隅田川に向かう。
評判の良かったコンビニスウィーツを、ドローンで隅田川のほとりに届けてもらった。
隅田川の観える階段で、ここちよくデザートを食べていると――
「すみません。ドラマの撮影でして……移動してもらえませんか?」
もーーーーう。
スウィーツ食べ中、断りたいが致し方ない。
しぶしぶ移動。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
プラネタリウムを観ていたその頃――仮装――ではなく――仮想世界の私たちは、球体ビルでプラネタリウム――ではなく――近くの海にクランメンバーたちと来ていた。
(サービスターーーイム)
どこからかそんな声が聴こえた気がしたのはさておき、水着の子、ウェットスーツ、Tシャツやキャミの子がいて――裸はさすがにいない。あ……海女さんルックがいる。
私はオフショルダーのセパレートなビキニ、ソファとシェリーは三角ビキニで卑猥――じゃなくてセクスィー。シカナティアはフリルビキニで可愛い。
とはいいつつも、私たちはメタスキル『身体解放』によって体型もその都度、最適化されるのだ。スタイル等は特に気にならない。気がつくと背が伸びてたり縮んでいたりもする。
防音できる異能スキル『サウンドガーディアン』に似た原理の『UVプロテクト』により紫外線対策もバッチリ。だもんでグラサンいらぬが私はつけるのだ。麦わら帽子も忘れない。
仮想世界とはいえ、離岸流と戻り流れには気をつけましょと『Sync/共有』そして麗若き私たち、念の為、盗撮防止『肖像権ガーディアン』発動。呼称は適当。
さて、ほどよく準備運動したら、海にとりあえずダーーイブ。
「あはあはあはあははは」
たーのしーーいーー。
「あはは、はしゃいでらー」
シェリーが言った。
お約束の水かけっこ!
パシャパシャパシャ。
「あはあはあはははは」
パシャパシャパシャパシャ。
私はザブンともぐって、スルっとソファの背後にまわる。そしてすかさずソファのお胸モミュモミュ。
「あはははあはあは」
「キャーーーー」
ソファがきゃわいい悲鳴を挙げたと思いきや――
「なーーんてね。えいっ」
と私をギューっとハグ。
ぷにゅんとやわらかなお胸とおなかと太ももが当たってきもちよい。
水に濡れつつも、ほのかに感じる温かい体温。
やさしいぬくもり。
「嗚呼……これは愛だわ。慈しみの――愛」
そう私が感動する矢先――
「それーーぇ」
ソファに前からハグされたまま、シェリーが後ろから私に抱きつき、おもむろに私のお胸さんをモミュモミュする。
「ふぁーーーお」
思わず声が出ちゃう私。
「えいっ」
そのままソファが私のオシリさんをモニュモニュ。
「ひぉーーーん」
サンドウィッチモミュモニュに私――悶絶。
(やばい、このままだと私……やばい)
私はユニークスキル『ルパンの手』を発動。
スルリと二人の手とからだをすり抜ける。
すぐさま二人のビキニの上の結び目を解いて、シュルリとゲット!
「いぇーーい」
私はお約束にソファのビキニを頭にかぶり、シェリーのビキニは掲げた右手の指に挟み、高らかな声で勝どきを上げた。
「「キャーーーー」」
ビキニがとられた瞬間、二人は腕ブラしたので、大事なお胸さんは観えていない。かつ、クランメンバー以外には視えないように、肖像権ガーディアンの応用やら、何らかのスキルでそうなっていた。
「「待てぇーーー」」
「あははははははは」
私は正座をして、海の上をチュイーーンとシェリーのビキニをたなびかせながら進む。
すると急にキス――『海の上のキッス』をしたくなり、停止。
頭に被っていたソファのビキニを左手に、シェリーのビキニを右手に、腕を広げて差し出しながら、目を瞑ってくちびるを前に出した。
二人は追いつき、水着を受け取り直ぐにお胸さんに装着。
「もーーーう」
と言いつつ、ソファがプチュッとキスしてくれた。
シェリーは目を瞑ったままの私をハグし、チュッとしてくれた。
(ムフフフ『海の上のキッス』コンプリート)
そう笑みを浮かべながら目を開けてみると、私のお胸についてた布きれが――ない。
「キャーーーー」
見るとシェリーが私のビキニを持っていた。そしてスニュっと被る。
「キャーーーー」
被りながらシェリーは私のビキニをユニークスキル『収納』でしまって、代わりに貝のビキニを私に渡した。
「これをつけてね」
シェリーが私に言った。
「あ……私、新しいビキニ収納してある……」
私がそう言うと、シェリーは私の目をじっと見つめながら――
「貝のビキニ可愛いよね。つ・け・て・ね」
私は……
「は、はい」
貝のビキニをお胸につけた。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪
私はぷかぷか海に浮かぶ。ゆーらゆーら。
お胸さんには貝のビキニがついていて、一緒にぷかぷか浮かんでいる。
……こすれてちょっとかゆい。
そうシェリーに伝えると、かゆくならないようにしてくれた。
やさしい……。らぶ。