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地方で働くのも、いいじゃない?

昨年、新型コロナウイルスが世界を、そして日本を大きく変えた。それは生活スタイルだけでなく、働き方に関しても同じだ。

これまで「大きなことをやってやろう」という熱い想いを抱えた若年層は、その多くが東へ向かった。

「東京に行ってビッグになるんだ~!!」

なんていう、青い匂いのする若者たち。

一昔前のドラマでよく見かけたものである。


都心じゃないと働けない??

新型コロナウイルスの感染拡大によって変革を余儀なくされた私たち。ただ、ここ10年ほどの間に、じわりじわりとワークスタイルも変わってきていたように思う。

#日経COMEMO #地方で可能になった働き方


私も、これまでのワークスタイルを変えて働きはじめたうちの一人。2017年から在宅でライターの仕事をはじめ、今年で5年目を迎えた。


私の場合、働きたいけれど家を離れられない(当時、次男はまだ乳飲み子だった)。でも、家でじっとしていられない性分。

だから、自分ができる範囲、動ける範囲で「働く」ことを選んだ。


当初はクラウドソーシングで活動をスタート。しばらく仕事から遠ざかっていて、働くことに飢えていた私。身内以外の人との関係が生まれ、その楽しさから一瞬で夢中になった。

社会とのつながりがあるのは、一人の人間として生きる糧になる。

今思えば産後うつのような状態だった私にも、一筋の光が見えてきた。


大学卒業後は愛知県名古屋市で働いていたが、ライターの仕事をはじめた当時は三重県津市に在住。働く場所が都会であろうと地方であろうと、「働けない」わけではないことを知った。

発想を変えれば、無理な通勤ラッシュに巻き込まれることなく、健やかに働ける人が増えるのではないか。大きな可能性を、自らの体験によって痛感している。

2019年には、当時よく利用していた「ランサーズ」ランキングで、ライター部門の「直接依頼数」都道府県別(三重県)1位を獲得。直接依頼とは、不特定多数に募集する案件ではなく、ライター個人に直接案件を依頼すること。

大人になってから、親になってから、何かしら「1位」をもらうことなんてなかったものだから、素直にうれしかった。

地方に住む女性の「起業」もアツい

在宅で、私ができる範囲で「書く楽しさ」を経験したのち、私は2020年頃から徐々に三重県の女性起業家とのつながりを持ちはじめる。

三重県では2019年9月に女性起業家・企業家ビジネスプラットフォームWiz:(ウィズ)が立ち上がり、私も参加することにした。

Wiz:(ウィズ)は、女性起業家・企業家同士が学び合い、地域貢献につながる活動を推進。女性起業家のエコシステム構築を目指している。

国内でも2016年、経済産業省による女性起業家等支援ネットワーク構築事業がスタートした。女性の起業は労働力人口減少に歯止めをかけるだけでなく、地方の社会問題に対し新たな視点で解決の糸口を見出す秘策となるはずだ。


地方での働き方は十人十色、無数にある。

コロナ禍もあって急速にオンラインが普及。今や地方で暮らすことが、働くことに対し絶対的な障壁ではなくなった。

身近で見聞きしていると、ちょっとしたヒントでたくさんの人がにぎわうスペースに変わる。それはちょっとしたきっかけで。

たとえば、築150年以上の古民家や閉館した公共施設を地域再生の拠点にする。コワーキングスペースや市民の学び、集う場の提供。

三重の食材を使ったレシピ開発や、真珠を施したネイル。素材とスキルを掛け算したアイデアは無数にある。

女性が日々の暮らしの中で積み重ねている、ほんのちょっとした工夫や解決策の数々。これが社会問題の課題解決にも、大きなヒントとなることが多いように思う。


地方の人口減少問題は深刻。「起業」が地方での働き方を変える

多くの地方で問題になっているであろう人口減少問題。三重県も例外ではない。三重県は南北約170キロという長い県土を持つ。中京圏に近く工業地帯が連なる北勢部と、伊勢志摩や熊野古道など自然の恵みあふれる南勢部。「南北問題」ともいわれるのだが、経済格差は非常に深刻だ。

経済格差は人口問題とも直結する。三重県での市町村別人口は、10万人以上である上位6市で三重県全体の約6割。そのすべてが北勢・中勢部である。そして若年層の女性人口の社会減も深刻さを増している。

この背景には、学業などで県外に出たのち、そのまま三重を離れる女性が増えていることも影響しているだろう。

もし、自分が望む働き方が故郷で叶うなら。やりたいことが地方でも好きなようにできるなら。「○○っていいところだよ!」と、帰ってくる若者が増えるのではないか。

そのためにも、「起業」しやすい土壌づくりは必須だと感じている。


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紡/Tomomi Sugimoto
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