恐妻から学ぶ_経営者保険の現状
経営者保険といえば、企業の節税対策のイメージが強いですが、なぜかについてお伝えします。
経営者保険とは、経営者や役員に万が一のことがあったときに、保険金を受け取ることができる保険商品のことです。
経営者や役員が被保険者になり、会社が契約者になります。
保険金の受取人は会社になります。
ではなぜ、保険が節税になるかと言いますと経営者保険をかけると節税効果が生まれるのは、保険料が損金扱いになるからです。
会社が支払う法人税などの額は、利益が減ると減額されます。
そのため、損金が増えると利益が減るので、支払う税金の額が減り節税になります。
そこで保険会社は「経営者保険は節税対策になるから経営者に売りやすい」と考え、経営者保険を多数販売しました。その結果、経営者も、積極的に経営者保険への加入を決断しました。
しかし、国税庁は2019年に、経営者保険の節税効果が行き過ぎているとの見解を示したうえ、あらためて経営者保険の保険料の損金算入ルールを確定したためです。
▽新ルール
最も高い返戻率(ピーク時の返戻率)に応じて、保険料の何%を損金に算入できるかに変更。
①全額損金
・ピーク時の返礼率50%以下
・50%超~70%&被保険者1人あたりの保険料の額が30万円以下
②資産計上額の総額を差し引いた額を益金(雑収入)に計上する
・①以外
経営者が、経営者保険の節税効果を考えるとき、返戻率も同時に計算しなければならなくなりました。
なぜなら、節税効果が高くなっても、返戻率が落ちてしまっては「トータルのお得」が減ってしまうからです。
また、返戻率が高くても、節税効果が低ければ「トータルのお得」はやはり減ります。
例えば、ピーク時の返戻率が50%の経営者保険は、保険料の100%を損金に算入できるので節税効果は高いのです。
しかし、返戻率が「50%しかない」ので、解約返戻金が少なくなり収入が減ります。
一方、ピーク時の返戻率が85%の経営者保険は、解約返戻金は高いのですが、保険料の40%しか損金算入できないため、節税効果は高くないです。
経営者保険をかけておけば、経営者が死亡したときに会社に保険金が支払われるので、そのお金で急場をしのぐことが可能です。
また、解約返戻金は、資金繰りに困ったときに臨時の収入になるかもしれません。
また経営者保険によっては、契約者に貸し付けを行っているので、やはり資金繰りに役立ちますので、自社の状況に応じて経営者保険を決めることをお勧めします。