恐妻から学ぶ退職金事情
大卒1,897万円、高卒1,497万円
この金額が高いかどうかは別にして、経営者やサラリーマンにとって老後の生活資金として必要な退職金。
ただ、すべての企業が退職金制度を導入しているわけでもないのが実情です。
「退職金を支払うべし」と法律で決まってはいないので、当然退職金のない会社もあります。
退職金制度のある会社は、80.5%です。そのうち1000人以上の企業では92.3%、30~99人の企業では77.6%となっています(厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」)。
では、退職金制度ですが、3種類に分けることができます。
(1)確定給付企業年金
加入者は933万人と、もっとも多いタイプ。
労使同意のもと、企業が実施する企業年金制度。
原則的に掛金は企業が負担します。
企業が負担した掛金は、年金資金として管理・運用されます。
年金は確定給付ですので、受け取れる年金額が決まっています。
受け取れる期間は、原則として終身、または5年以上の有期です。
しかし、実際には終身年金は減ってきており、10年や15年といった有期年金の形が多くなっています。
(2)企業型確定拠出年金(DC)
基本的にはiDeCo(個人型確定拠出年金)と同じ仕組み。
iDeCoは個人が掛金を出しますが、企業型は会社が掛金を負担。
加入者は750万人。
運用先は個人が指図します。
そのため、運用実績に応じて年金額や一時金額が変わってしまいます。
運用がうまくいくかどうかは、加入者の自己責任となります。
拠出金の上限は決まっているものの、加入者が拠出できるマッチング拠出やiDeCoに加入して増額することもできます。
(3)厚生年金基金
基本的には確定給付企業年金と同じように、会社が掛金を負担して年金を管理・運用する制度。
ただ、国の老齢厚生年金の一部も代行し、厚生年金基金の独自の上乗せをしていましたが、厚生年金基金を解散、または確定給付企業年金への移行が進み、加入者は12万人と少なくなっています。
大手は、(1)+(3)の傾向が強く、それ以外は(1)あるいは(2)の傾向が強かったです。しかし、厚生年金基金の責任準備金の基準が厳しくなったため、退職金制度があるほとんどの企業が(1)or(2)or(1)+(2)のパターンに集約されています。
では、退職金の平均はどのくらいなのでしょうか。
勤続35年以上で退職一時金のみの場合は、大卒・大学院卒が1897万円、高卒(管理・事務・技術職)が1497万円、高卒(現場職)が1080万円です。
一方、中小企業については、東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年度版)」によると、大卒は1118.9万円、高専・短大卒は1026.0万円、高卒は1031.4万円となっています。
退職金ですが、受け取り方法が2つあります。
①一時金
→全額を一括で受け取るパータン
→勤続年数が長いほど控除額が多い
→住宅ローンの一括返済や資産運用を考えている場合はお得
②年金(最近は5~10年間のケースが多い)
→一定期間年金として受け取るパターン
→雑所得として扱われるため税金が引かれる
→ただ、年金運用率が高い場合は年金のほうが特になるケースあり
退職金は、まずは生活資金、あまれば余裕資金という考えで計画を立てることをおすすめします。
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