恐妻家から学ぶ_経営者保険④
経営者として、保険に加入したほうがいいですかとよく問い合わせいただきます。
保険に加入したら節税効果がいいよねと言われますが、近年改正が入ってから厳しくなりました。
今回は、解約返戻金についてわかりやすくお伝えします。
(1)解約返戻金とは
「解約返戻金」とは、生命保険などを契約途中で解約したときに、保険契約者に対して払い戻されるお金のことで、「解約返還金」ともいわれます。
この戻ってくるお金は、払い込んだ保険料の一部が積み立てられたものです。
ただし、払い込んだ保険料の全額が戻ってくるとは限りません。
一般的に、加入年数が長いほど、返戻率が上昇し、場合によっては払い込んだ保険料を上回ることもあります。
また、解約返戻金が受け取れない保険もあります。
(2)経営者保険の保険料の新しい損金算入ルール
国税庁は、最も高い返戻率(ピーク時の返戻率)に応じて、保険料の何%を損金に算入できるか決めました。
①ピーク時の返戻率が50%以下
・支払った保険料全額を損金算入可能
・返戻解約金は全額、益金(雑収入)に計上
②ピーク時の返戻率が50%超~70%かつ被保険者1人あたりの保険料の額が30万円以下
・支払った保険料全額を損金算入可能
・返戻解約金は全額、益金(雑収入)に計上
③ピーク時の返戻率が50%超~70%かつ被保険者1人あたりの保険料が30万円超
(保険料に関して)
・最初の4割にあたる期間:60%を損金に算入できる
・4割超~75%にあたる期間:全額損金に算入できる
・75%超にあたる期間:164%を損金に算入できる
(返戻解約金に関して)
・資産計上額の総額を差し引いた額を益金(雑収入)に計上する
④ピーク時の返戻率が70%超~85%
(保険料に関して)
・最初の4割にあたる期間:40%を損金に算入できる
・4割超~75%にあたる期間:全額損金に算入できる
・75%超にあたる期間:196%を損金に算入できる
(返戻解約金に関して)
・資産計上額の総額を差し引いた額を益金(雑収入)に計上する
⑤ピーク時の返戻率が85%超
(保険料に関して)
・最初の10年間→(100%-ピーク時の返戻率×90%)を損金に算入できる
・10年後:(100%-ピーク時の返戻率×70%)を損金に算入できる
(返戻解約金に関して)
・資産計上額の総額を差し引いた額を益金(雑収入)に計上する
ピーク時の解約返戻金率が高くなるほど、損金に算入できる保険料の%が下がります。
損金に算入できる保険料の%が下がるということは、節税効果が低下することにつながります。
(3)最後に
経営者が、経営者保険の節税効果を考えるとき、返戻率も同時に計算しなければなりません。
理由としては、節税効果が高くなっても、返戻率が下がってしまっては「トータルのお得」が減ってしまうからです。
また、返戻率が高くても、節税効果が低ければ「トータルのお得」はやはり減ります。
節税効果と返戻金の最大化を図ることができるかが今後のキーになりますので、経営者保険を検討される際はしっかりと吟味されることをお勧めします。