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財務活動も含めた企業の事業全体の収益性を把握するため、経常利益をお伝えしましたが、企業の収益性を示す指標として広く使用されており、経常利益とともに重要な指標として、売上高経常利益率をお伝えします。


【売上高経常利益率:OPR(Ordinary Profit Ratio)】

  経常利益÷売上高×100%

財務活動も含めた企業の事業全体の収益性を示すため、本比率が高ければ高いほど好ましいことになります。

主要な11種の産業大分類の、目安となる業種別平均値(2021年発表、2019年決算実績値)は以下のとおりです。

(日本標準産業分類: 経常利益率)
  建設業 4.83%
  製造業 4.14%
  情報通信業 5.36%
  運輸業・郵便業 3.10%
  卸売業 1.86%
  小売業 1.49%
  不動産業・物品賃貸業 7.63%
  学術研究、専門・技術サービス業 13.82%
  宿泊業・飲食サービス業 1.55%
  生活関連サービス業・娯楽業 3.45%
  サービス業(他に分類されないもの) 3.98%

参照先:e-Stat 政府統計の総合窓口:中小企業実態基本調査 令和2年確報(令和元年決算実績)2021年7月29日

▽URL

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00553010&tstat=000001019842&cycle=7&tclass1=000001156334&tclass2=000001156335&cycle_facet=cycle&tclass3val=0

では、売上高経常利益率を自社の経営に生かすには、どのような分析を行えば良いのでしょうか。

ここでは、具体的に4つの手法をご紹介します。

(1)自社分析
まずは、自社の当期数値を徹底的に分析することから始めることをお勧めします。

(2)期間比較
期間比較は、自社の昨年度の業績と比較する方法です。
会社を取り巻く環境は日々激しく変化しており、それが結果として一つ現れるのが売上高経常利益率という指標となります。
前年度と数値を比較して変動要素を細かく分解し、自社の経営状況を適切に分析するようにすることをお勧めします。
なお、年度のみならず「半期」「四半期」「月次」等、それぞれ同比率の分析を行えば、季節トレンド等の影響も見えてきます。

(3)自社の属する業界平均と比較
自社の売上高経常利益率を、先述した業界平均と比較することが可能です。
マクロの視点で業界平均と比較し、自社がどれくらいの立ち位置にいるか把握します。

(4)自社の属する業界の競合企業や上場企業と比較
マクロの視点で業界平均を確認したら、最後に競合企業や上場企業の売上高経常利益率を確認します。
上場企業であれば有価証券報告書などのIR資料、未上場企業であれば帝国データバンクや東京商工リサーチ等のサービスで確認することが可能なため、特定の企業と収益構造や費用の構成を比較でき、自社の収益改善に役立ちます。

原則、売上高経常利益率を上昇させるためには売上高を上昇させるか、各種費用を減少させるかの二択になります。

特に費用面に関しては削減できるコストがないか、あるいは使用している各コストが適切に回収できる見込みがあるか精査することをお勧めします。

また、売上高営業利益率と売上高経常利益率を比較するのも効果的です。

①売上高経常利益率が、売上高営業利益率より高い場合
営業外損益(営業外利益―営業外費用)がプラスであることを示します。
資産運用により株式売却益や配当金を計上していることを示し、本業で余った資産を上手く有効活用していることがわかります。
一方、売上高営業利益率がマイナスにもかかわらず売上高経常利益率がプラスの場合は、本業の事業が落ち込んでいることを意味するため、きちんとした事業のモニタリングが必要となります。

②売上高経常利益率が、売上高営業利益率より低い場合
営業外損益(営業外利益―営業外費用)がマイナスであることを示します。
主に借入金の利息が大きく、マイナスになっている会社が多い傾向です。
自社の経営状況に見合った借入金と金利であれば問題ありませんが、将来のキャッシュフロー計画に影響を及ぼす可能性が高ければ注視する必要があります。
また、株式売却損や有価証券評価損が大きいことも、営業外損益をマイナスとする要因になります。
その場合、資産運用のあり方や余剰資金の用い方を見直す働きかけが必要となります。


売上高経常利益率は会社が経常的に行う事業活動の収益性を示し、もっとも重視すべき指標のひとつです。

同比率を分析し、会社の収益性向上を目指すことを意識して日々行動していきましょう!

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