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恐妻から学ぶ_わかりやすい会社法(5)2021年3月改定
2021年(令和3年)3月1日から改正会社法が施行されました。
会社法の改正から約1年経過しますが、コーポレート・ガバナンスの観点から経営の透明性をより確実なものにするため、取締役や株主総会に関する規定の見直しが行われました。
【2021年改定ポイント】
(1)取締役における報酬決定方針の策定義務化
(2)会社補償・D&O保険の規律の整備
(3)社外取締役の設置義務化
(4)社債管理補助者の創設
(5)株主総会資料の電子提供制度の創設(2022年9月)
(1)取締役における報酬決定方針の策定義務化
①公開会社であり、かつ、大会社、②監査等委員会設置会社、のいずれかの取締役会は、取締役の報酬の決め方について、決議をした内容と方針、概要の開示を求めることを義務付けられました。
(2)会社補償・D&O保険の規律の整備
役員が業務上発生した損害について、株主から株主訴訟などで損害賠償請求を起されることがあります。
これらの事態に遭遇した場合、役員が負担する損害賠償金を一定の範囲で保険会社が補填する役員等賠償責任保険(D&O保険)の新設されました。
※D&O保険(Directors and Officers Liability Insurance)
(3)社外取締役の設置義務化
会社と取締役が利益相反の関係にある場合、社外取締役が会社を代表するというケースがあります。
この場合、社外取締役は会社と利益相反の関係にならないのかといった問題の指摘から、厳格化されました。
(4)社債管理補助者の創設
社債を発行する場合には、社債の発行額などを考慮したうえで、社債管理者と社債管理補助者(主に弁護士や弁護士法人)のいずれを置くのかを決定することが求めらるようになりました。
(5)株主総会資料の電子提供制度の創設(2022年9月)
株主総会資料の電子提供制度とは、株主の個別の承諾を得なくとも、株主総会参考書類、議決権行使書面、事業報告および(連結)計算書類を自社のホームページ等のウェブサイトに掲載する方法(電子提供措置)により、これらの書類を適法に株主に提供したものとする制度となります。
ポイントしては、
①上場会社においては、電子提供制度の利用が強制
②電子提供措置(ウェブサイトへの掲載)は、原則として株主総会の日の3週間前まで
③アクセス通知(狭義の招集通知)の発出は、株主総会の日の2週間前まで
④株主は、基準日までに書面交付請求をすることで、書面の交付を受けることも可能
となります。
会社法に限らず、どの法律でも法改正は知らなかったとは言えないです。
最近では、Youtubeでもわかりやすく説明されていますので、法律の存在をまずは知ることをおすすめします。