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金と品格

どうやったら金持ちになれるかを考えている。今さらアメリカのIT長者や中国の富豪やロシアのオリガルヒになろうとは思っているわけではない。さすがにそこまで浅はかではない。

持てたものより持てなかったものの方が多すぎる半生となっているが、とりわけ手に入れられなかったものに商才がある。商才に長けていない人間が分析するのは僭越だけれど、ビジネススキルの両輪は営業力と財務管理能力で僕はそのどちらにも適性がなかった。

そもそも適性以前の話として、何かのビジネスをやりたいとか事業を興して財を成したいという強烈な野心を抱いたことがない。こればかりは無いものは無いのだから仕方のないことだが、そういう欲望や情熱があったのなら今の自分はどこか違う場所にいただろうか。

そうなのだ。金を稼ぎたいという強い思いもないのに、それでいて人は金が欲しいと宣う。金を稼ぐ資格のある人間とは強烈に金を稼ぐ意志を持つ人間のことだ。スタート地点に立とうともしていない人間にはその資格はない。

今から大金を稼ぐのは無理そうだが、安易に金が欲しいと口にしない品格だけは身に付けようと思う。金を稼ぐより難しいかもしれないが。

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