【漫才.143】バックパッカー

井口―はいどーもー、ウエストランドです!

河本―いきなりなんですけど、この前刺激的な出会いがありまして。

井口―刺激的な出会い?なんだよそれ。

河本―バックパッカーやってる人に出会ったんですよ。

井口―バックパッカー?

河本―そうそう。その人から。世界を旅していろんな経験してるって話を聞いたんですよ。

井口―うん。

河本―そういうのって憧れますよね。

井口―憧れねーよ。

河本―え?

井口―バックパッカーなんて全く憧れねーよ!

河本―なんでですか。

井口―バックパッカーって、なんでもないから。ただ、リュックサックを背負って旅行してるだけの人だぞ!何者かになったように語ってるけど、なんでもないんだよ!

河本―そんな事ないですよ。何も決めないで、自由気ままに世界を旅してるんですよ。かっこいいじゃないですか?

井口―何がかっこいいんだよ。そんな事してないで働けよ。そもそも、なんでそんな事するか知ってるか?

河本―そりゃ、自分探しとか。

井口―そうそう、バカだよね。おかしいじゃねーか!なんで自分が海外で見つかると思ってんだよ!なんでたまたま行った国で見つかるんだよ!都合良すぎるだろ!そもそもなんで見失ってんだよ!日本にいて自分を見つけられない奴は、海外に行ったって見つけられるわけねーだろ!

河本―そういう事ではないでしょ。世界を旅をしながら自分を見つめなおすんですよ。

井口―日本で働きながら見つめなおせよ。いちいち海外に行く必要ないから。自分探しとか言って、仕事とか嫌な事から逃げてるだけだろ!働けよ!働いて生み出せよ!

河本―いや、でも海外を旅してたら、価値観が変わったらしいですよ。

井口―絶対それを言うんだよ!海外の人と触れ合ったり、子供たちの笑顔を見たら価値観が変わりましたね。そればっかり!どう変わったんだよ!変わってどうなったんだよ!ただ価値観を無理やり変えに行ってるだけじゃねーか!そもそも、これだけみんな言ってる事なのに、なんで行く前に想像できなんだよ!その想像力もない人間は海外に行っても何にも変わらねーよ!黙って働けよ!

河本―働けって言うけど、仕事に悩んでとか、就活が上手くいかなくて、バックパッカー始める人を多いみたいですよ。

井口―それがおかしいじゃねーか!なんで仕事が上手くいかなかったり、就活に悩んだりしたら、海外に旅に行くんだよ。社会からいばらく離れたら、余計働けなくなるだけだろ!ただの現実逃避じゃねーか!もう就職できなくなるぞ!

河本―いや、その旅の経験が就活に有利になったりするらしいですよ。

井口―就活のために行くのは、もう旅でもなんでもねーだろ!この経験は就活に生きるぞーなんて思ってる奴は、海外で何も得ることはないよ!ただの打算的な人間じゃねーか!大体あいつ等、どこに旅に行くか知ってるか?

河本―まぁ、東南アジアとか。

井口―そうなんだよ!なんで東南アジアに行くかって言ったら、物価が安いからなんだよ!めちゃくちゃ打算的じゃねーか!何も決めないで自由気ままって言っておきながら、そこはちゃんと選んでるじゃねーか!その段階で純粋ではないんだよ!タイなんて、バックパッカーの聖地って呼ばれてんだぞ。なんだ、バックパッカーの聖地って!ただの観光地じゃねーか!しまいには、旅の途中でバックパッカー同士で、付き合ったりするんだぞ!何やってんだよ!不純の塊じゃねーか!ふざけんなよ!

河本―怒りすぎでしょ。

井口―散々わがままに旅行しといて、最終的に、日本の良さを再確認しました。とか言うんだよ!じゃあ行く必要なかっただろ!

河本―行ってみなきゃわからない事もあるから。バックパッカーで、行って後悔したっていう人、見たことないですよ。

井口―確かにいなんだよ。でも、それがおかしいじゃねーか!100パーセントの確率で後悔してないって!何でかわかるか?長い月日をかけちゃってるから、口が裂けても後悔したなんて言えなんだよ。どんだけ嫌でも、どんだけ無駄だったと思っても、さすがに後悔したって言うわけにはいかないんだよー。かわいそうな奴らなんだよ。誰も後悔したって言えない段階で、全員正当な判断ができなくなっちゃってんだよ!バックパッカーはそういう奴らんだよ!わかったか!!

河本―わかりました。

井口―わかればいいんだよ。

河本―そんなに言われたら、価値観変わりました。

井口―どこで変わってんだよ!もういいよ。


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