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【湯守の話】 3白布温泉の泉質と現状

 普段、私が湯守として行っていることは具体的にどんな作業?
…それを語るには、まず、日々向き合っている我らが元気の源:
白布温泉について解説する必要があります。

今回は白布温泉の泉質と現在の様子についての話題です。


温泉街のやや奥地、森の中にある源泉のうちの1つ。
昔は地上むき出しでしたが、今はこうして小屋の中に守られています。

全国津々浦々さまざまな泉質の温泉が湧く、いで湯幸わう国:日本。
そのひとつである白布温泉は、自然湧出する源泉を3か所に持つ
カルシウム‐硫酸塩温泉です。

年に一度、毎年6月12日に開催される源泉祭の日にだけ御開帳となる
源泉の一つ。今日も滾々と源泉が湧いています。

その総量は毎分約1150ℓ。
山形県はすべての市町村に温泉が湧いているという温泉大国ですが、
自噴量だけで見ていくと、白布は蔵王に次いで2番目の湯量の多さです。
掘削による揚湯量を含めても6番目に多く、大変恵まれた温泉であることが
よく分かります。それだけの湯量をたった3軒で分けているわけです。
「白布は屈指の湯量を誇る」と言われる所以です。一切人の手を経ずに
これだけの量が700年以上も変わらず湧いてくるわけですから、有難い限りです。

白布温泉の成分分析表。

温泉のpHは7.3、ほぼ中性です。ヒトの血液とほぼ同じです。
適応症は主に筋肉痛や神経痛、打ち身など。
前回そのわけをお話ししました通り、現在はほぼ無色透明です。
基本的に入る人の体質を選ばず、適温であれば湯あたりすることもなく、
豊富な温泉を心行くまで堪能できます。
人と大地にやさしい温泉。いつも感謝して使わせていただいています。


温度調整用の湯桝にて、源泉の流入口に温度計を差し込んで
湯量や温度の様子を確かめているところ。

さて気になる白布の源泉温度ですが、若干の季節変動はあるものの
約57~59度ほどあります。温泉卵を作るには少し惜しい、
しかしそのままでは当然熱くて、加水しなければ湯船には流せません。

温度調整を施した温泉が、お風呂のすぐ裏にある湯滝用分岐桝に
勢いよく注がれる様子。この温泉がお客様を癒します。

この、年中無休の温泉の湯量と温度を常に最適な調子に整え、
いつも安心してお客様にご利用頂けるよう
時に手を添え、日々守っていく。

これが、私の湯守としての
最大にしてほぼ毎日必修のミッションというわけです。

(続く)

午後の光が差し込む西屋の湯滝風呂。
私にとって、とても大切で特別な場所です。

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