中枢性感作(Central Sensitization)とは?
中枢性感作とは、脳や脊髄(中枢神経系)が過敏になり、本来は痛みを感じない刺激に対しても痛みを感じる状態のことです。これは慢性痛の重要なメカニズムの一つとされ、偏頭痛、線維筋痛症、過敏性腸症候群、慢性腰痛などの疾患に関係しています。

中枢性感作の特徴
• 痛みの閾値が低下する(通常なら痛みを感じない刺激でも痛く感じる)
• 痛みが長引く(本来なら治るはずの痛みが持続する)
• 痛みの範囲が広がる(ケガをした部分だけでなく、周囲にも痛みが広がる)
• 触覚や光、音に対する過敏性が高まることもある

中枢性感作を和らげるためにできること

完全に「治す」というよりは、中枢神経の過敏な状態を改善し、痛みの管理をすることが重要です。以下の方法が効果的とされています。

1. 運動療法
• 有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、ヨガなど)
→ 軽い運動は中枢神経の過敏性を和らげ、痛みの閾値を上げることが知られています。
• ストレッチやピラティス
→ 筋肉や神経の緊張を和らげる効果が期待できます。

2. 認知行動療法(CBT)
• 「痛みに対する恐怖」を減らすことが重要
• 「動くと痛くなる」「また悪化するのでは?」という不安を軽減し、適切な活動を促す

3. 睡眠の質を改善する
• 十分な睡眠をとることで、中枢神経の過敏性を抑える
• 寝る前のスマホ・カフェインを避ける、就寝時間を一定にする

4. ストレス管理
• 瞑想やマインドフルネス、深呼吸法を取り入れる
• ストレスホルモン(コルチゾール)が中枢神経の過敏性を高めるため、リラクゼーションが重要

5. 食事の見直し
• 抗炎症作用のある食品(オメガ3脂肪酸、ビタミンD、ポリフェノールなど)を積極的に摂取
• 避けるべき食品:加工食品、砂糖、カフェインの過剰摂取

6. 温熱療法や理学療法
• お風呂や温熱パッドで筋肉の緊張をほぐす
• 理学療法士の指導のもと、適切なエクササイズを取り入れる

7. 薬物療法(医師と相談)
• 三環系抗うつ薬(アミトリプチリンなど) → 痛みを抑える効果あり
• 抗てんかん薬(プレガバリンなど) → 神経の過敏性を下げる
• SNRI(デュロキセチンなど) → 慢性疼痛の治療に使用される

まとめ

中枢性感作は、単なる「体の問題」ではなく、神経系が過敏になっている状態なので、運動・睡眠・ストレス管理などを組み合わせて改善していくことが重要です。無理をせず、自分に合った方法を少しずつ試してみるのが良いでしょう。

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