2019年5月の北京旅行記
始めに
wemです。ゴールデンウィークにまた中国旅行に行こうと思っていたが、新型コロナウイルスの影響で頓挫してしまった。同じように自粛して過ごしている人も多いと思うので、去年のゴールデンウイークに行った北京へのこの旅行記で旅の気分を共有して少しでも気を紛らわしてくれれば幸い。
旅行準備
中国には今のうちに行かないといけないと思っていた。
理由は3つ、
日中関係が悪くない
中国国内旅行が活発になり観光地が整備され始めていて、恐らく中国が中国らしい最後のタイミングと思われる
インフラのIT化が日本より遥かに進んでいるのでそれを体験したい
数ある都市の中で北京にしたのは権力の中心地であるのと、台北に続いて北京の故宮博物院もみたかったから。
北京旅行を決めたのは直前の4月29日(月)。航空券と宿泊先をすべてその日のうちに決めた。荷物は最小限にして財布、パスポート、スマホ、下着と靴下一組、VPN付Wifiだけ。QRコード決済のためにAlipayとWeChatをスマホにインストールしてアクティベートしようとしたがWeChatは中国の口座が必要ということで断念。Alipayにクレジットカードを登録するだけ留まった。
1日目(5月3日)
期待と不安を胸に5月2日(木)夜に出発した。
写真は21時20分の羽田空港。深夜1時30分の出発なのに早く来過ぎた。展望デッキに上がるといちゃつくカップルの横で航空ファンが写真を撮ってた。
北京旅行だが直通便は使わない。マニラ空港でトランジット。マニラは降り立った瞬間に花の香りがした。北京行きを待つ間、記念に木彫りのロザリオを購入。
マニラー北京のフライト中に撮った写真。日本だとどこかに海と森が映るが大陸はどこまでも陸地で全てが耕作地か住宅のように見えた。
北京空港到着
遣隋使に派遣された小野妹子もかくや、という感動を覚えつつ入国審査を受ける。両手10指の指紋を取られた。
空港内にコンビニを見つけてミネラルウォーターを持ってレジに向かい、Alipayを試すが、うまくいかない。2時間くらい色々試したが、どうやら直前に仕様が変わってAlipayも使えなくなっていたらしい。ミネラルウォーターは結局クレジットカードで買った。旅の理由の一つが早くも達成できなくなってしまったが、旅行中もこれが影を落とすことになる。
構内のソファで休んでいたら隣の人がハースストーンをやっていた。声をかけるか迷ったが、プレイ中に外国人に話しかけられたらどうなるか想像して自重した。
空港内は白い綿のようなものが飛散していて清掃員が体育館にあるようなモップでずっと掃除していた。疑問に思いつつも空港を離れ、地下鉄を使って北京中心部に向かうことにした。
北京市街
写真は中国美術館
文化の異なる場所に来たらいつも道行く人の観察から始めている。まず国によって交通ルールが違うし、土地によってはマナーも違う。知らないうちにルールを破って事故に遭う事態は避けたい。
観察していると二輪車はすべて電動のようでエンジン音がしない。二輪車が音もなく接近してくる可能性を考慮しながら歩く必要がありそうだ。
横断歩道は日本と同じ感覚で良さそうだが、赤信号でも右折はOKらしいのでその点は注意する必要があるだろう。
この時期は中国でも労働節の連休で観光客が多いせいか、警備員や公安も多かった。
観察を終えて歩き始めると空港で見た白い綿が至る所で渦巻いていることに気づいた。よく見ると空中にも結構な密度で舞っている。後で調べたところ北京市内に植えられている柳の綿が舞う季節だったらしい。コロナウイルス発生前にも関わらず、道行く人はほとんどマスクをするかスカーフで口を覆っていた。
宿泊先のホテルに向かっていると「五四大街」という道を通った。五四運動と関係があるのかと思っていたら「五四現場」と書かれた看板が見えてきた。どうやら本当に五四運動と関係のある場所だったらしい。五四運動は1919年のヴェルサイユ条約批准に対する反対運動で、当時の日本では抗日暴動と認識されている。ちょうど100周年ということで日本人と知られるとちょっかい出されるかもしれないと思って足早に離れた。
故宮の濠に寄り道。左に釣り人がいるが、目の前に大きな字で釣り禁止と書かれていた。釣り人がルールを守らないのは万国共通らしい。
ホテル到着
宿泊先は北京南京大飯店。天安門と繫華街である王府井の間という好立地にも関わらず一泊5000円ちょっとだった。ただし、窓無しのシングルルームでシャワー室はシースルー。
ホテルマンの女の子が英語を話せたのでその子と雑談しながらチェックインを進めていると、同僚の青年と上司らしい男が警戒するような目でこちらを見ているのが目の端に入った。外国人がナンパしているように見えたのかもしれない。
晩飯はホテルのビュッフェでとった。ビールが美味いと思ってサーバーをよく見るとアサヒビールだった。
コカ・コーラもあった。
食事は中華はもちろん洋食も寿司もあり、どれも美味しかった。食事を一番心配していたのでホテルで確保できたのは有り難い。結論から言うと毎日朝晩ともホテルのビュッフェで済ませて昼食は抜いた。理由としては観光に時間を使いたかったのと下手な屋台で食中毒になって旅が台無しになることを避けたかったからだ。
自室にて
現地のテレビを見ていると五四運動100周年の特集をやっていた。
字幕を読んだところ抗日運動という話は一切なく、ナショナリズムに目覚めた中国人による初めての反帝国主義運動として扱われていて大国としての自信を深めているように見えた。日本との関係がいい時期だったからかもしれないが。それから五四精神なるものを語っていたが、これはプロパガンダ臭が強かった。
地域のニュースではアクセルとブレーキの踏み間違えによる事故や逆走事故を特集していて日本と同じだなと思った。
2日目~3日目(5月4日~5日)
2日目に天安門広場と故宮周辺、3日目に故宮内部を観光した。
天安門
天安門には長い行列ができており、行列の先には検問所があった。マイナンバーカードのようなものをタッチして進むようだが、あいにく持ち合わせが無かったのでパスポートを渡した。警備員を観察していたが、適当にパスポートのページをめくっているだけのように見えた。X線検査機もあったがこっちもまともに見ているようには見えなかった。
流石は明や清の皇帝の居城だっただけあってデカい。
門の内側は憩いの場になっているのはどこも同じか。
天安門広場はさらにデカい。写真は広場の真ん中の記念碑から撮影したものなので後ろにも同じ広さの広場がある。
ぶらぶら歩いてたら家族連れに写真撮影を頼まれた。「イーアーサン」の掛け声で撮影してあげたら最後まで外国人と気付かなかったらしい。
社会主義国らしいレリーフ。先頭の男が掲げているのは多分毛主席語録で、右の男がアサルトライフル、左の女は麦の穂を掲げていると思われる。
この奥の建物は毛主席記念館で防腐処理がされた毛同志が安置されているらしいが開いてなかった。
臺灣で流行ってるらしい遊び。天安門にかけられてる文字を読むと・・・
景山公園
この日は故宮には入らず、北にある景山公園に行った。故宮の濠を掘って出た土を積み上げてできた山から故宮を一望した後、石碑を見つけた。ざっと読んだところ明の皇帝が自殺した場所らしい。ここは明の最後の皇帝が反乱軍に追い詰められて首を吊った木がある場所で、清が滅んだ後、漢民族に主権が戻ったことを契機に建てたらしい。ほかにもこの景山は義和団事件を鎮圧した連合国軍によって略奪にあった話が碑文にしてあったりして歴史をより深く知ることができる。
故宮
3日目は故宮に入ることにした。事前にホテルマンの女の子に頼んで現金を渡す代わりにAlipayに送金してもらった。しかし、QRコード決済で入場料を払おうとしたがうまくいかない。手持ちの現金でなんとか入れたが手持ちが無くなってしまって故宮博物院に入るお金がなくなってしまった。なお、入場方法はチケットではなく、パスポートの番号に紐づけて登録するという仕組みになっていた。
この日は珍しく快晴で観光日和だった。
中国人はよくルールを守らないと言われているが、多分それは正しくない。正確には明示されたルールは必ず守るだ。この写真の岩は遠くから運ばれてきて庭石にされたものらしく、「登るな」と掲示されており、誰も登ろうとはしないが、隣の歴史的建造物の欄干には座るなと書かれていないので平気で座っている。
似たようなことはこれまでも見ており、例えば行列に横入りする人はいても、行列を仕切っている柵を乗り越えるような人は一人もいなかった。これは何千年も前から強大な国家権力が抑圧してきた結果と思われる。自由主義国において逸脱者はむしろ称賛されることすらあるが、中国でそれは通じない。恐らくこれが自由主義に慣れた人間が一番気を付けないといけないことだと思われる。
4日目(5月6日)
朝早い便なので居眠りしていたホテルマンの同僚の男の方をたたき起こしてチェックアウトした。
北京空港で見かけたDPRK(北朝鮮)の選手団。ばれたら追いかけられるかもしれないと思ってこっそり撮った。
香港空港
帰りの便も直行はしない。香港経由で成田空港に向かう。写真は香港空港で見かけた味千ラーメンの店。日本では熊本中心に展開するラーメンチェーンだが、中国では日本食レストランとして最も成功したチェーンになっている。トランジットで時間が無くて入れなかった。成田空港に着く頃には夜になっており、次の日は仕事だったので早く寝た。
総括
中国は未だ外国人に易しくない旅行先だが、日本人に限れば漢字が読める分かなり難易度が下がるからおススメだ。中国語はちゃんと勉強すればすぐにニュースやWikipediaも読めるようになるが、そこまでしなくともスマホの地図と道路標示の漢字を照らし合わせれば道に迷うことはないし、今年中にはQRコード決済が外国人観光客にも開放されるらしい。そして外国人向けの整備が遅れているからこそ自力で旅行してきたことが自信につながる。
それから中国に限らず異なる文化に触れることは強くお勧めしたい。パンデミックが明けた後の世界は恐らく、外国など異文化との距離がさらに縮まっている。そのとき必要なのは語学力以上に多文化理解だ。多文化理解の重要性は他にもっとわかりやすいサイトがあると思うからそれを参照してほしいが、要は他者との違いを認めることであって、これは攻撃性の低下と寛容さの向上をもたらして結果的に自分の精神的安定に寄与する。
あぁ早くまた旅行に行きたいな