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共同親権についての緊急を要する陳情書を提出しました。

令和6年2月13日

内閣総理大臣 岸田文雄様
内閣官房長官 林芳正様
内閣府特命担当大臣 加藤鮎子様
内閣府特命担当大臣 高市早苗様
内閣府特命担当大臣 河野太郎様
内閣官房内閣審織官 岡田恵子様
法務大臣 葉梨康弘 様
法務省法制審議会 家族法制部会 部会長 大村敦志 様

共同親権についての緊急を要する陳情書


一般財団法人 国際福祉人権研究財団

 陳情の趣旨


離婚後も、原則、共同親権とし、両親の協議によって単独親権にすることが出来るという制度に改正を求める。

 陳情の事由


 現行法によれば、婚姻中は共同親権であるところ、離婚後には、民法834条の手続きを行うことなく、両親は協議で一方を親権者に定めるという単独親権制度となっています。

 日本の法律では、親権を喪失した親で、かつ、監護権を喪失した親、つまり被親権者は、ネグレクトを強制させられる制度です。事実婚の場合、両親が共同養育を同意しているのに、単独で親権者となる親が、単独で子を監護し、片親という制度に基づく対応になります。つまり「親権がなくても共同養育できる」という主張もあるところ、日本では、親権者と被親権者という上下関係を作出した上で親権者の「善意」に依拠するものであって、両性の基本的平等に反します。

1,被親権者の情報不開示



 離婚後も、不当に親権を喪失させてはならない、その物理的かつ正当な理由が明確に存在します。それは、被親権者に対する情報不開示の実体です。離婚後、親権者の新パートナーが子を虐待するといった事件があってニュースを賑わせており、また児童相談所や児童養護施設にも、そのような事情で児童が保護されていますが、子どもが性的虐待を受けて、警察に保護され、児童相談所に移行されても、被親権者は警察や児童相談所に情報開示請求しても不開示となります。子の法定代理権を有しない被親権者は、子が利益を侵害されても救済する責務が喪失するのです。

 令和5年3月9日第211回国会参議院法務委員会第2号という資料を添付します。この国会で梅村みずほ議員の質疑により、国は不作為を明確に認めました。2頁目の下から7行目から6行目にかけて「別居親が、同居親による子の虐待の事実を調査するようなことを直接目的とする手段については、民法には規定がございません。」と政府参考人が答弁しています。

2,親権者の「善意」



 ア 親権者が「子の最善の利益」を鑑みず、「子の利益」を害するといった行為を始めたら被親権者は救出困難。



 単独親権制度上、子どもの利益は親権者の「善意」に限定して委ねられるという実態があり、親権者の「善意」の喪失は、子の利益に反することがあるが、被親権者は救済困難となるという懸念です。ですから親権者の「善意」は、子を利用したDVの性質(後述  )は、親権者が「力の支配」により精神的苦痛を被親権者や未成年者らに与えかねず、「善意」が大きな存在となります。

被親権者が親権者に配慮しなければならず、親権者の「善意」に対して被親権者が遜ることに相当し、日本で離婚した両親の地位は、親権者による優越的地位の濫用に類推されうる弊害が生じ、法の下の平等の原則(憲法14条1項、24条2項)に反します。

つまり現行法では親権者と非親権者が対等に協力し合い、子供の利益を最優先に考えることが期待されていますが単独親権制度であるがゆえに被親権者にも親としての自然に子を愛する権利がありますが、親子交流を含め、親権者の「善意」に依存しなければなりません。

言い換えれば、親権者が「善意」で協力的であれば、子と被親権者との関係が円滑に進むでしょう。しかし親権者が「善意」を欠き、協力的でない場合、被親権者が配慮を求めても「善意」を求めても、法的には保障されているわけではありません。したがいまして法的には両性の本質的平等に立脚した制度とは言い難いこともあり、子の情報を求めることも含め、被親権者や親権者の「善意」に遜らなければならないとすると、被親権者や子は親権者の「善意」に依存する側面がないとはいえません。

 イ 被親権者による子の利益の救済責任と「弊害」



民法第709条、714条1項、820条に基づけば子の監護上での子の監督責任は親権者であるところ、子の利益についての教育や救済の責務は児童の権利条約18条や教育基本法10条、次世代育成支援対策推進法第3条、は憲法24条2項に基づくものであり、両性の本質的平等に立脚した制度であると解すことは自然です。

ところで親権者の新パートナーが子を虐待し、子どもが死亡するケースは後を絶ちませんが、両親が逮捕され、仮に子の命が救われた場合、この子の行方としては、児童相談所が救済し、児童養護施設で18歳まで居所とすることが想定されます。つまり警察や検察、児童相談所、行政、当然、裁判所など、全ての機関は被親権者である実親に子の個人情報を提供しないことから、直接的な接触が無い環境では、子は被親権者との接触が不可能となり、被親権者は子を救済できず、被親権者の救済責任に「弊害」が生じます。これは子の利益の害を福祉として社会が救済したとしても、親子再統合の理念、かつ児童の権利条約第9条に反します。このことこそ両性の本質的平等に立脚しておらず、単独親権制度の弊害と言えよう。

特に未成年者の性被害は、子にとって親は守ってくれる存在でなければなりませんが、子の利益が重要である、その認識が足りていない親権者が一定数いることから、子の利益に害が生じても親権者が黙認するケースがあります。少し過激な言葉を使えば、子が新パートナーからレイプされ続けるケースがあるのは、親権者と新パートナーとの良好な関係を壊してはいけないと思う子の、つまり一人親を失い、もう1人を失えば、行き場を失うという子の、切なる想い、ここに親権者の「善意」に依拠する関係が明らかとなるのです。同様に、警察や検察、児童相談所、行政、当然、裁判所など、全ての機関は被親権者である子の法定代理人ではない実親に対し、子の個人情報を提供しないことから、被親権者と直接的な接触(親子交流)が無い(親権者が善意を喪失している)環境では、被親権者は子どもを教育、救済することが出来ず、被親権者の教育、救済の責務にも「弊害」が生じます。

つまり親権者の不在時に、親権者の新パートナーが子を性的な加害をして子は性的ハラスメントを受けても、被親権者にSOSを発信する術がないのです。先日、乳児院の職員が強制性交し、逮捕されたニュースがありましたが、ものをいえない幼児は、親権者の新パートナーによる被害について被親権者にSOSを発信する術など、そもそも、なす術がないのです。

親権の有無は、子の利益侵害の危険発生時こそ、本当の意味を持つということです。ですから共同親権の制度にするという改正は、原則、単独親権制度であるが、父母の同意で共同親権に出来るという制度にするべきではなく、原則、そもそもとして、共同親権でなければなりません。原則、共同親権の制度であり、仮に単独親権にしなければならない特段の事情があれば、父母の同意で、その対象となる親の親権を喪失させ、単独親権に出来る制度にすべきであって、民法第819条2項が制度として有用となるべきです。

 ウ、優越的地位と親権の濫用



親権者の「善意」に依拠することは、子と被親権者にとって「優越的地位」で親権という「権限の濫用」と言えます。権限という力で支配することは、パワーハラスメントの定義です。親権者の「善意」に委ねられるという「優越的地位」によって子と被親権者は親権者の意向に従わざるを得ません。

事実婚であろうと離婚後であろうと、親権者の「善意」に依存することは、親権の濫用を招きます。葛藤が生じれば、子と被親権者はいつまでも親権者の「優越的地位」に縛られ、その影響を受けながら人生を過ごさなければなりません。親権者が持つ「優越的地位」により、葛藤が生じることで被親権者や子の意志や権利が度外視され、一方的な支配が続き、「親権の濫用」を招くこととなります。

このような状況では、子や被親権者は自己の意志や幸福を追求する際に親権者の許可を仰がざるを得ず、親権者が行使する「優越的地位」は濫用された親権の一形態となり、殊、親権者の「善意」に依存することで、子や被親権者は自らの利益や権利を守ることが難しくなり、特に子は健全な発達が阻害される可能性も払拭ません。これは、「力の支配」でありDVや虐待、ハラスメントの定義と全く同じです。優越的地位の濫用に類推されうる弊害が生じ、法の下の平等の原則(憲法第14条1項、同24条2項)に反します。両親、どちらかの同意が得られなければ、両親は共同に親権を有することが出来ないのであれば、子の利益こそ害が生じるという合理的な根拠です。

民法第709条、714条1項、820条に基づけば子の監護上での子の監督責任は親権者です。しかしながら、子の利益についての救済責任は、児童の権利条約18条や教育基本法10条、次世代育成支援対策推進法第3条に記載があるとおり、父母であり、親権者に限定される記載はなく、つまり両親に生じるものと解され、合理的な根拠です。これらの根拠を照らせば、被親権者が未成年者らの「子の利益」を守り、害を未然に防ぐためには、仮に、共同親権制度に改正した際には、原則、共同親権ではなくては、子の利益を守れないという不作為を免れません。共同親権制度に改正したとしても、どちらかの同意が得られなければ、両親は共同に親権を有することが出来ないという制度であれば、子が自分たちの自由意思を、親権者の「善意」によらずとも、直接的に被親権者に伝えることが出来る環境や被親権者による開示請求の権限など整備する必要があり、急務であるということです。

このような事態を防ぐためには、親権者と被親権者との協力と公正な権利行使が求められます。「優越的地位」にある親権者が善意でなくとも、裁判所や社会が公正な判断を下し、子の利益を最優先に考えることが重要です。このような親権者の「優越的地位」の濫用を防ぐためには、今後、法的なフレームワークを整備し、子の権利と福祉が守られるよう努め、子ども家庭庁や内閣府、或いは厚生労働省が、そのフレームワークの中で日本国の未来である児童を守っていく必要があります。親権者が「善意」によって力で支配を続けることは「親権の濫用」であり、親権者は被親権者や子にとって「優越的地位」での善意に依拠するものですから、このことからも、原則、共同親権に制度を改正しなければなりません。

3,自力救済という不法行為



現行法上、自力救済禁止の原則を照らし、私力の行使は法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許されるものと解することを妨げないという判例(最高裁昭和40年12月7日判決)があり原則禁止されるべきであるが、日本では両親同意のうえでは協議すれば私力の行使を認める(不法行為と見なさない)という規定となっている。

自力救済禁止の原則は、3回など回数を決め、司法の手続き(調停など)を介さなければ離婚できない、あるいは単独親権者を恣意的に定めることを禁じている国は少なくない(ベトナムなど)。また離婚後、DVや虐待など、特段の事情が明確に認められる場合を除いては、子の監護者は、子の居所を隠蔽してはならないという規定を設けている国も、また少なくない(フランスなど)。

この現行法をうまく利用して、離婚後に親権を獲得たい一方親が、他方親の子(一方親の子でもある)を居所から同意なく別居させ、裁判所が父母の一方を親権者と定めるべく、協議など行わず、一方親が「協議が出来なかった」という理由を作為するケースが後を絶たない。このことは、虐待やDVがあったと虚偽を作為することも少なくない。なぜなら虐待やDVは他方親の「力の支配」を相談すれば、他方親を加害者として裁判所に心証を持たせることが可能であり、一方親に有利に働くという理由である。

4,DVや児童虐待



現時点で105の自治体が「子どもを取り上げる」などといった一方親が他方親から子を力で奪うことについて、DVと定義し、子を利用することが精神的なDVであることを全国の各自治体(男女参画推進センターは発進しています。神奈川県ではDVのガイドラインの1つに「子どもの親権は渡さない」などと脅す」と定めており、埼玉県新座市ではDVのガイドラインの1つに「子どもを奪ったり、連れ去ること。」、また北海道札幌市では「子どもを連れ去ると言って脅す」、兵庫県伊丹市では「「子どもは渡さない」と言って脅す」、福岡県中間市では「子どもを取り上げる・「別れるなら子供を渡さない」と言う」、愛媛県新居浜市では「子どもを「被害者をコントロールするための道具」にする」と定義付けています。

そこで内閣府男女参画局のDVのガイドラインを照らせば「DV(ドメスティック・バイオレンス)と児童虐待 ―DVは子どもの心も壊すもの―」というホームページで「どもの見ている前で、夫婦間で暴力を振るうこと(面前DV)は子どもへの心理的虐待にあたります。」と定義し広報しています。つまり、子を力で奪い、無断で別居させる行為は、DVであり、児童虐待であると解せます。

つまり、子を同意なく先に別居させる一方親の行為は、子を利用し、力で他方親を支配する構図となり、この構図で一方親の矛盾した言動に対して「悪意の遺棄」を照らさない司法の実務運用に問題があろう。しかしながら、残念なことに、明らかに子に心理的負担を強いる虐待であるにもかかわらず、子を連れ去った一方親が「避難である」と主張し、虐待やDVがあったと虚偽を作為することで、司法の心証を覆すのです。室内で起こるDVや虐待は、ガイドラインが明確ではないことから、子を連れて別居した一方親が立証に利用する根拠が「DV相談証明」なのです。これらは根拠がなくとも、相談しただけで発行されるからです。ですから、矛盾が正当化され、ダブルスタンダードとなってしまいます。

5,未成年略取誘拐罪



令和4年2月21日に警察庁刑事局捜査第一課理事官より各都道府県警本部等に対して「親権者であっても、力で子を奪えば、正当な理由が無ければ未成年略取誘拐罪に当たる」という事務連絡を通達しています。つまり一方親が、他方親の同意なく、子を連れて別居し、子を他方親に会わせないという力の支配が生じれば、民法上、自力救済禁止の原則違反で不法行為を認定すべきであり、刑事では、未成年略取誘拐罪の適用がなされてしかるべきです。また家族法では、悪意の遺棄に相当するものと思料します。ですから別居後に継続性の原則や現状維持の原則を鑑みるのではなく、先に子を別居させた時点で継続性の原則や現状維持の原則に反しているのです。

 まとめ



 前述したが、フランスでは、親権者が被親権者に子どもの住所を知らせないなど「善意」を喪失すれば「親権の喪失」に値しうる重大な根拠になるといった共同親権制度上の規定が存在しますが、日本の民法834条は「子の利益を著しく害するとき」という日本独自の規定があり「善意」の喪失だけでは当たらず、「善意」の喪失により実際に弊害が生じた根拠が必要です。ただし本来、被親権者の救済責任とは、害が生じる前に防ぎ、未然に避難させるといった責任があるということです。

 つまり面会交流という制度があっても、実際に面会交流が行われていないケースが存在するのは、被親権者が自分の子から救済を求められる環境にない証明、それは親権者による「善意」の喪失が、少なからず、その原因となっている証明です。したがいまして被親権者が「子の最善の利益」を守り、害を未然に防ぐためにも、子の法定代理権を離婚したからという理由で、不当に喪失させてはならないということであり、離婚後も両親は、原則、共同親権でなければならず、また親権者が「善意」を喪失し、調停を申し立ても欠席し、協議が成り立たなくとも、子が自由意思を、直接的に被親権者に伝えることが出来る環境をも、並行して整備する必要があり急務ですから、緊急を要する陳情書として提出いたします。宜しくお願いします。

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