全国児相被害親子連合会への参加表明
記者会見のレジュメ
全国児相被害親子連合会として、私たちも活動していくことになりました。
一時保護の重要性と児相の現実
私命の危険にさらされている児童を、「一時保護」(児童福祉法33条)につなげられるようにすることが、とても大切です。
しかし虐待死は2019年の政策以降も横這いです。
なぜでしょうか。相談件数は、被害者団体から集計する限り2020年までで700件を超え、現在では年間約200件ずつ増加しております。
つまり誤認保護や過剰保護による一時保護が増加していると考えられるのです。
虐待を受けていないのに、大好きなパパとママから引き離される、この事実の被害者は、真に「子どもたち」であり、「人権を侵害」されている「子どもたち」を救わなければならないことを、決して忘れてはいけません。
面前虐待
子どもの前で両親が喧嘩をすると、虐待として子どもは保護されることがあります。その虐待を「面前虐待」と言います。
例えば、父親が子どもを虐待して、母親が体を張って虐待を止め、それで喧嘩になれば、当然、母親と子どもは一緒に母子シェルターに保護されます。
しかし母親が子どもを虐待して、父親が体を張って虐待を止め、それで喧嘩になれば、父子シェルターが、ほとんど無いので「面前虐待」と、児相は故意に評価して、子どもだけが一時保護されるのです。そして児相は虐待を止めていた正義の父親と子どもとを、基本的に面会させません。
子どもは、いつも守ってくれた大好きなパパと会えなくなって一人ぼっちになります。児相職員は、児童の人数が多く、個別に寄り添うことは、ほとんどありません。この子どもたちの寂しさ、虚無感はPTSDになる可能性もあるのです。児相は子どもたちの心を癒す場所だと思ってしまいがちですが、子どもにとって、必ずしもそうとは限りません。
ところで子どもを面前虐待で一時保護されると、児相からは「子どもと面会したければ、夫婦喧嘩を解消しなさい。」と言われますが、「夫婦喧嘩の解消」を証明するための客観的根拠とは何でしょうか。それは「離婚」です。つまり児相は「「離婚」をしなければ、子どもと面会させない。」と迫ります。
一人ぼっちで引き離された子どもが可哀そうで「どうしても早く家に戻さなければ!」という気持ちにかられ、児相によって離婚させられるケースが後を絶ちません。児相の原則である「親子再統合の理念」は無視され、恰も「家族解体や家庭破壊」といった共産主義者の思想、フェミニズム左翼思想のようです。
『家族破壊を促す法曹界の異常』上野晃弁護士(https://jlfmt.com/2022/02/01/55050/)
児相の親子支援は、虐待件数が52,916件中、たったの3.5%とのデータもでております。このことから、現在の政策では、現場が整ていない中で、通報件数が増加し、ただ親子を引き離しておけば虐待死は減るという偏った児相の実務運用がまかり通っています。
1.一時保護とは
一時保護は、「児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため」に行われる、文字どおり一時的な保護の仕組みです(児童福祉法33条)。
・危ない状態の子どもが居る、急いで安全を確保しなければならない。
・心配な子どもが居る、状況を把握しなければならない。
といったケースが想定され、過剰なまでの運用になっています(児童福祉法33条1項、2項)。
誰が一時保護を実施するのかというと、基本的には「児童相談所長」です(児童福祉法33条1項・2項)。
なるべく子どもの意思を尊重しながら、親権者等の同意を得て実施するように努力が行われていますが、児童や親権者等の同意は、一時保護の要件にはなっていません。
児相の所長は、親権者等の意思確認を経なくても、親権者等が「やめてくれ」と言っていても、職権で一時保護をすることが可能です。
つまり児相は、親にも、子どもにも、保護の相談を一切せず、突然、恣意的に決定します。そして事後、一時保護をした後になって、速やかに一時保護の開始の期日及び場所を文書で保護者に通知することになっています。
【児童虐待の防止等に関する法律】
(通告又は送致を受けた場合の措置)
第8条
1 <略>
2 児童相談所が第6条第一項の規定による通告又は児童福祉法第25条の7第一項第一号若しくは第二項第一号若しくは第25条の8第一号の規定による送致を受けたときは、児童相談所長は、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずるとともに、必要に応じ次に掲げる措置を採るものとする。
一 児童福祉法第33条第一項の規定により当該児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせること。
二 児童福祉法第26条第一項第三号の規定により当該児童のうち第六条第一項の規定による通告を受けたものを市町村に送致すること。
三 当該児童のうち児童福祉法第25条の8第三号に規定する保育の利用等(以下この号において「保育の利用等」という。)が適当であると認めるものをその保育の利用等に係る都道府県又は市町村の長へ報告し、又は通知すること。
四 当該児童のうち・・・市町村が実施する児童の健全な育成に資する事業の実施が適当であると認めるものをその事業の実施に係る市町村の長へ通知すること。
3 前二項の児童の安全の確認を行うための措置、市町村若しくは児童相談所への送致又は一時保護を行う者は、速やかにこれを行うものとする。
2.一時保護の発端
一時保護の「きっかけ(端緒)」になるのは、保健所や警察、医療機関、幼稚園、保育所、学校、市民からの通告(児童福祉法25条、児童虐待防止法6条)が主です。
児童虐待の発見と通告(児童福祉法25条、児童虐待防止法6条)
いちはやく189番
「一時保護」とは、子どもから直接、或いは親などの親族からの要望を受けて(家族が入院する場合、養育困難な場合など)、一時保護を行うケースもあります。ただ一般的には警察や医師、近隣住民などの通報により、強制的に子どもを親元から引き離します。
通告を受けた後、児童相談所は、一時保護の必要があるかどうか等を調査することになります。家庭訪問をしたり、学校や地域での聴き取りをしたり。
1.通告を受けたら
「189番」などによって通告を受けた児童相談所は、近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員その他の者の協力を得つつ、当該児童との面会その他の当該児童の安全の確認を行うための措置を講ずることになっています(児童虐待の防止等に関する法律8条)。
児童相談所運営指針」では、この「安全の確認を行うための措置」について、次のように定められています。
安全確認は、子どもに会えないと、虐待の有無や程度は分からないので、子どもを直接に目で見て行うのが基本です。。
また、迅速な対応を確保するために、通告を受理した後、48時間以内に実施することが望ましいとされています。いわゆる「48時間ルール」です。
具体的には、まず家庭や学校を訪問するのが通常です。
家庭訪問等が奏功しなかったときに、安全確認の実効性を確保するために用意されている制度として、出頭要求や立入調査などが法定されています。
3.出頭要求・立入調査
(1)出頭要求
都道府県知事は、「児童虐待が行われている虞(おそれ)がある」とき、保護者に対して、児童を同伴して出頭するよう求めることができます(児童虐待の防止等に関する法律8条の2第1項)。
はっきり「児童虐待がある」と確認できている場合じゃなくても、児童虐待の「疑い」がある場合じゃなくても、児童虐待が行われている「虞(おそれ)」があれば、出頭要求は可能です。
例えば、家庭訪問をしても長期間子どもの姿を確認できない事例や、呼びかけに対し全く応答がなく安否を確認できないような事例では、「虞(おそれ)」があると認めるべきです(児童相談所運営指針)。逆に、求めに応じて真摯に対応する親に対し、甲葛藤だからといって「子を親から引き離すべき」と評価して、突然、子の一時保護を決定することこそ、不当です。人間も動物です。いきなり思いもよらぬ疑いで、子を引き離されると感じた親が感情をあらわにするのは、当然です。
出頭要求をするときは、①出頭を求める理由になった事実の内容、②出頭を求める日時・場所、③同伴する児童の氏名などを告知する必要があります(同条2項)。そうした事項を記載した「出頭要求告知書」を保護者に交付するのが通常です。
出頭してきた保護者に対して、「児童の福祉に関する事務に従事する職員」(児童相談所の職員など)は、必要な調査や質問をします(同条1項)。
保護者が出頭要求に応じないときは、次の(2)で説明する立入調査などの措置をとることになります。
出頭要求を前置しなくても、立入調査は可能なので、緊急に子どもの安全確認を行う必要があるような場合には、直ちに立入調査を行うこともありえます(児童相談所運営指針)。
(2)立入調査
都道府県知事は、「児童虐待が行われているおそれがある」ときは、児童相談所の職員等に、立入調査をさせることができます(児童虐待の防止等に関する法律9条1項)。
虐待通告の内容等から緊急性があると判断できる場合や、虐待通告を受理してから48時間以内に安全確認を行うことができない場合、上の(1)で述べた出頭要求に応じない場合などが、ここでは想定されています。
条文の並びは出頭要求(同法8条の2)→立入調査(同法9条)となっていますが、条文の中身から分かるとおり、出頭要求をしない限り立入調査が実施できないわけではありません。
立入りをする場所は、「児童の住所又は居所」です。
立入調査をするときは、その後の家庭裁判所における審判や刑事告発の際の事実関係の確認の資料にするために、必要な範囲で、
ことになっています(児童相談所運営指針)。
この立入調査を正当の理由がないのに拒んだり、妨害したり、避けたり、嘘の答弁をしたり、児童に嘘を言わせたりする行為は、犯罪になります(児童福祉法61条の5、児童虐待の防止等に関する法律9条3項、児童福祉法29条)。
なお、児童福祉法29条の立入調査等は、児童福祉法28条の承認審判の申立てに関するものです。児童虐待の防止等に関する法律9条の立入調査もこれと同視されます。
親権喪失・親権停止・監護権喪失・児童福祉法28条審判
「親権制限」の制度とセットで比較・検討されることが多いものとして、児童福祉法28条の審判があります。
【民法】
(親権喪失の審判)
第834条
父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。
(親権停止の審判)
第834条の2
1 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
(管理権喪失の審判)
第835条
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。
(第28条審判)
児童福祉法28条
1 保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第二十七条第一項第三号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措置を採ることができる。
一 保護者が親権を行う者又は未成年後見人であるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。
二 保護者が親権を行う者又は未成年後見人でないときは、その児童を親権を行う者又は未成年後見人に引き渡すこと。ただし、その児童を親権を行う者又は未成年後見人に引き渡すことが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。
2 前項第一号及び第二号ただし書の規定による措置の期間は、当該措置を開始した日から二年を超えてはならない。ただし、当該措置に係る保護者に対する指導措置(第二十七条第一項第二号の措置をいう。以下この条において同じ。)の効果等に照らし、当該措置を継続しなければ保護者がその児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他著しく当該児童の福祉を害するおそれがあると認めるときは、都道府県は、家庭裁判所の承認を得て、当該期間を更新することができる。
3 都道府県は、前項ただし書の規定による更新に係る承認の申立てをした場合において、やむを得ない事情があるときは、当該措置の期間が満了した後も、当該申立てに対する審判が確定するまでの間、引き続き当該措置を採ることができる。ただし、当該申立てを却下する審判があつた場合は、当該審判の結果を考慮してもなお当該措置を採る必要があると認めるときに限る。
4 家庭裁判所は、第一項第一号及び第二号ただし書並びに第二項ただし書の承認(次項において「措置に関する承認」という。)の申立てがあつた場合は、都道府県に対し、期限を定めて、当該申立てに係る保護者に対する指導措置に関し報告及び意見を求め、又は当該申立てに係る児童及びその保護者に関する必要な資料の提出を求めることができる。
5 家庭裁判所は、措置に関する承認の審判をする場合において、当該措置の終了後の家庭その他の環境の調整を行うため当該保護者に対し指導措置を採ることが相当であると認めるときは、当該保護者に対し、指導措置を採るべき旨を都道府県に勧告することができる。
(1)児童福祉法の仕組みの概要
子どもを守るために各種の仕組みを用意している法律として、児童福祉法や、児童虐待防止法があります。
児童福祉法上の仕組みには、①発見・通告(同法25条)、②調査(同法29条など)、③一時保護(同法12条の4、33条)、④児童福祉法27条1項3号の措置、⑤児童福祉法28条の承認審判などがあります。
児童虐待等が疑われる場合、児童相談所長は、職権で「一時保護」をすることにより、親子の分離を図ることができます(児童福祉法33条)。とはいえ、この仕組みは、名称どおり一時的なものです(原則は2か月です)。親権を行う者等の同意や、裁判所の審査がないまま、長期間継続することは予定されていません。
このように、立入調査の実効性を高めるために、刑罰が用意されてはいますが、立入調査自体は強制処分ではないので、その場で無理やり家の鍵を開錠したり、保護者にどいてもらったりするといった有形力の行使は予定されていません。
立入調査を拒否された場合、一呼吸を置いて再出頭要求(児童虐待の防止等に関する法律9条の2)をするということもありえますが、もっと強力な措置として臨検・捜索(同法9条の3)をすることもありえます。
※ 立入調査を実施するにあたって、保護者に対しては、立入調査を拒否すると臨検又は捜索(児童虐待の防止等に関する法律9条の3)が行われる可能性がある旨も、併せて告知されます。
告知をしたにもかかわらず、立入調査に応じない状況があれば、その場で、立入調査を拒否したものと認める旨が保護者に言い渡されます。
拒否したかどうかが不明確なままでは、再出頭要求(児童虐待の防止等に関する法律9条の2)、臨検・捜索(同法9条の3)、刑事告発(児童福祉法61条の5)に移るのが困難になるので、拒否した状況を明確にし、記録しておくことが必要だとされています(児童相談所運営指針)。
(3)再出頭要求
出頭要求や立入調査を保護者が正当な理由なく拒否するなどした場合、都道府県知事は、再出頭要求をすることが可能です(児童虐待の防止等に関する法律9条の2)。
以前は、この再出頭要求を経ないと、臨検・捜索等(児童虐待の防止等に関する法律9条の3)ができないことになっていました。
最近の法改正により、現在は、出頭要求(同法8条の2)又は立入調査(同法9条)が奏功しなかった場合であれば、臨検・捜索等の段階に移行することが可能です。
4.臨検・捜索等
都道府県など(児童相談所)による子どもの安全確認のための最終手段として用意されている制度が、臨検・捜索です。
大分でこれが実際に行われたケースはまだないそうです。
(1)概要
出頭要求や立入調査を保護者が正当な理由なく拒んだり、妨害したり、忌避したりした場合で、「児童虐待が行われている疑いがあるとき」は、裁判所があらかじめ発する許可状により、臨検や捜索を行うことが可能です(児童虐待の防止等に関する法律9条の3)。
出頭要求や立入調査は「おそれ」で足りましたが、臨検・捜索は「疑い」がなければ実行できません。
刑事事件における捜索等の強制処分とのバランスなどを考えると、「逮捕」の段階で求められているほどの嫌疑は必要がないと考えられます。
「臨検」とは、住居等に立ち入ることを意味します。本来は居住者の意思に反して立ち入ることができないゾーンまで踏み込むということですね。
「捜索」とは、住居その他の場所について、人(児童)の発見を目的として、捜し出す行為を意味します。
罰則を担保に、保護者の応諾のもとで調査を実現しようとする立入調査(同法9条)とは異なり、臨検・捜索は、裁判所の許可状のもとに行われる強制処分です。保護者が嫌だと言っても、調査の実現は可能です。
裁判所に許可状を請求するときは、①児童虐待が行われている疑いがあると認められる資料、②臨検させようとする住所又は居所に当該児童が現在すると認められる資料及び③当該児童の保護者が第9条第一項の規定による立入り又は調査を拒み、妨げ、又は忌避したことを証する資料を提出します(同法9条3項)。
夜間執行には制限があるので、許可状請求の際には留意する必要があります(同法9条の4)。
許可状は、処分を受ける者に提示をしなければいけません(同法9条の5)。
「処分を受ける者」とは、臨検又は捜索の対象となる住居又は居所に実際に居住している者のことです。
不在等のため処分を受ける者に許可状を示すことができないときは、臨検又は捜索に立ち会う者(同法9条の9)に示さなければなりません。
立入調査と同じく、身分を示す証票の携帯が必要です(同法9条の6)。
必要があるときは、錠をはずすなどの処分が可能です(同法9条の7)。
臨検等をしている間は、なんぴとに対しても、出入りを禁じることが可能です(同法9条の8)。
責任者等の立会いは必要です(同法9条の9)。
臨検・捜索後は、調書の作成や報告等が必要です。
5.警察署長に対する援助要請
家庭訪問や立入調査、臨検・捜索、一時保護をするにあたって必要があるときは、児童相談所長は、警察署長に援助を求めることができます。
以上、児童の安全確認の方法について、まとめさせてもらいました。
このようにして児童の安全確認をした上で、一時保護につ
通告→調査→一時保護→措置、というのが、虐待対応の基本的な流れです(もちろん、違う流れもあります)。
6.一時保護の判断基準
一時保護は、「必要がある」と認められさえすれば、実施することが可能です(児童福祉法33条1項・2項)。
じゃあ、どんな場合であれば一時保護の必要性が認められるのかというと、かなり難しい問題です。
結局は、個別具体的な事情に基づいて判断をするしかないのですが、児童相談所運営指針では、「一時保護を行う必要がある場合はおおむね次のとおり」だとされています。
現場では、厚生労働省が公表している「一時保護決定に向けてのアセスメントシート」、「一時保護に向けてのフローチャート」を活用して、一時保護の適否を判断することもあります。
7.一時保護の内容・場所
一時保護された児童は、児童相談所に併設される一時保護所で生活する場合もありますし、病院や施設、里親などに委託されることもあります。
一時保護所内で生活をするときは、学校に通えないのが通常です。学校に出席した扱いになりますが、まともな教育は受けれていないようです。年齢や到達度に応じて教育を受けることは可能だと説明がありますが、職員が判断した学力の補填(出来ていない部分に限って)として、午前中だけ、勉強の時間にあてられますが、それだけですから、当然、一般教育に戻れない子どもがほとんどです。
ゲーム機でも遊べず、インターネットも制限され、対処する子らは鑑別所や少年院、刑務所などと同じで規律を守らなければなりませんので、寛容な親の家庭からすれば、ほど遠い生活になります。
一時保護の内容には、生活指導、レクリエーション、食事、健康管理、学習指導、保育などがあります。季節ごとに行事、スポーツ大会の催しに参加しなければなりません。
詳しくは、「児童相談所運営指針第5 一時保護」を読むと、イメージしやすいと思います。
一時保護の間に、子と親権者等との面会を実施することは、ほとんどありません。7年間で2回だけというケースは少なくなく、虐待事案として評価されている以上、面会等が制限・禁止されることの方が多いです。この点、児相は「親子再統合の理念」に基づく、実務運用をはき違えていると思います。児童の権利条約には、子どもと親は引き離されない権利があるわけですから、子どもにとって親に会うことを制限しているという、子ども中心の考えたかでは全くないのです。
8.一時保護の期間
一時保護の期間は、原則として2か月までです(児童福祉法33条3項)。それより早く終えることももちろんあります。
実をいうと、2018年4月から、一時保護の期間に関し、新しいルールが適用されています。
親権者等の意に反して、2か月を超えて一時保護を行う場合には、家庭裁判所の承認を得ることが必要になったのです(同条5項)。
※ 父母の監護状況が劣悪であること、児童らが多数であること、児童らの中に学力遅滞の問題があること等の事情から、引き続き一時保護を行う必要性が認められると判断しました(大阪高裁平成30年6月15日決定(判例時報2405号84頁)。
9.一時保護の後
一時保護の期間が満了すれば、すぐ児童を家に帰すのかというと、そうとは限りません。
必要に応じて、施設入所又は里親委託などの措置(児童福祉法27条)をとることがあります。
親権者等が納得しなければ、①児童福祉法28条の承認や、②親権喪失、③親権停止などを家庭裁判所に申立てることもあり得ます。
10.総括
以上が、一時保護という制度の概要です。
ただ、法改正が検討されております。今後、様々に変更があります。児相連からも、様々に改正すべき点を陳情などで国に求めていきます。
(追記:一時保護時の司法審査)
社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会では、一時保護時の司法審査の導入について、法改正が検討されています。
一時保護について保護者の同意がない場合には、裁判官が発行する「一時保護状」、つまり逮捕状みたいなものの発付が必要になるという制度が想定されています。
一時保護状の発行を受けることが必須になってしまうと、緊急に子どもを保護しなければいけない場面(例:このままだと保育園や学校に虐待親が迎えに来てしまう!というケースなど)で、非常に困ることになります。ですから緊急性があるか、ないかを裁判所が判断して一時保護状を発行するのであれば、まずは、緊急に一時保護する権限は児相に残しつつ、それより、家裁に対する弁明の機会が親にないので、家裁は親からの弁明を含めて審理して、一時保護許可状として、一時保護の後に発行すべきか、否かを判断してもらいたいところです。
今のところ、一時保護状は、事前に発行を受ける場合には限定されないという方向で検討されているようです。一時保護開始から数日(7日?)以内に発行を受ける、「事後」の一時保護許可状(仮)も想定されています。
児相と家裁の事務は増えますが、我が国も批准している「児童の権利に関する条約」の規定からすれば、必要な改正であり、また司法審査を経た一時保護を、既存の行政不服審査の制度としても対象にすべきだと考えうるところです。
全国児相被害親子連合会
代表:岩舘愛子
https://jisoren.wixsite.com/jisoren-hp
署名活動
https://chng.it/Fm7KqStFyw
活動協力基金
https://syncable.biz/associate/jisoren