筒美京平がジャニー喜多川に放った言葉~少年隊「ABC」「STRIPE BLUE」
「令和の少年隊ミュージック論」全起こし③
②の続きです。さて、鎌田さんはなぜ筒美京平から「ヘビ男!」と怒られたのか。それをきっかけに話題がふくらみ、筒美京平の知られざるエピソードが明かされます! このトークイベント全体のひとつの山場とも言える箇所、ぜひご堪能ください。当日、現場で聞いていても震えました。
Text by WE LOVE SHONENTAI編集部
Photograph by 宮田浩史
筒美京平に怒られ、山下達郎に褒められた名曲
鎌田 僕が少年隊の曲で好きなのは、「君だけに」「ABC」「仮面舞踏会」の順番なんですよね。で、「ABC」っていうのは、簡単に言うと循環コードでトニック(安定したコード)にいかないというね。ちょっとスージーさんやってみてください。
スージー いちおう、BGMとして弾いときます。
鎌田 そう、BGMでね。
スージー (ギターで「ABC」の循環コードを弾きながらメロディを口ずさむ)
鎌田 これ歌っていいんですかね?(メロディをしばらく口ずさむ)
スージー トニック(主和音)にいかないって、今流行ってることしてますよね。シティポップのコード進行っていうのが。
鎌田 ね。で、サビもその繰り返しなんです。それでこの繰り返し、延々とワンパターンで押し切るような曲を作ってほしいと言ってるんだけど、筒美先生はそうじゃない曲をくれるわけですよ。僕はそれもやってみるんだけど、「先生、もう一回」って。もう本当に失礼なことに6曲ぐらいやってもらって、最後にこれができたときはもう、「You、あなた……」って、あ、「You」っていうのはジャニーさんだ(笑)。
スージー いや、もう、ダブってますよ、イメージが。怖いから(笑)。
鎌田 筒美先生は「あなたね、僕にね、こんなに何曲もやらせんのはあなたしかいないよ」って。「あんたはヘビ男だ!」って(笑)。「切ったら緑の血が出てくるだろう」って言われて。僕、メリー(喜多川)さんにもヘビ男って言われましたけど。「しつこい」って。
スージー さぁ来た!(笑)
鎌田 ありえないって怒られて。僕はずっと「すいません、すいません、すいません。ありがとうございます、ありがとうございます」って。それで作ったあとのある日、山下達郎さんに会って、「鎌田、『ABC』はいいよ」って。「日本のマイナー歌謡のアイドルがね、メジャーの循環コードでトニックにいかない繰り返しをよくやった。おまえ、えらい!」って褒められて、すごいうれしかったんです。
スージー もー、これだけで今5問ぐらい質問したい(笑)。
鎌田 それでね、嵐の「a Day in Our Life」っていう曲で、スケボーキングの方々がサンプリングで使ってくれて。それもいろんなテレビ局がね、「鎌田さん、あの曲サンプリングで最高じゃないですか~!」って。あの循環コードでワンパターンのを作っていたから、使われたわけですよね。
矢野 そうですよね。ほんとそう思います。
鎌田 それから「ABC」っていうのは、公園で女の子と遊んでいるっていうシチュエーションを松本さんが書いてくれて。その公園っていうのは、のちのちSMAPの「夜空ノムコウ」に出てくる女の子と手を握り合った公園っていうことなんですよ。
矢野 これすごい話ですね。つながってるんですね。
鎌田 つながってるんですよ。だから青春時代にみんなそういう思いをして、どんな世代もみんな女の子と知り合って、恥ずかしくて公園で遊んでちょっと手握ってみたり、「あ、おっとっと!」みたいな。世界中、思春期にはみんな同じだっていうところで、つながるといいなと思って。
スージー 弾いていいですか?
鎌田 はい、どうぞ。
スージー (ギターで「ABC」のコード進行を弾いて)このコード進行がひたすら続くってことですね、循環コード。
鎌田 そうそうそうそう。
スージー なぜ筒美京平に6回もダメ出ししてまで、鎌田さんがこの循環コードの進行を作ろうとしたのかを聞きたいです。
鎌田 ちょうどその頃、リック・アストリーとかバナナラマとか、ユーロビートみたいのあったじゃないですか。あと「Give Me Up」(マイケル・フォーチュナティ)とかね。
矢野 Hi-NRG(ハイエナジー)とかね。
鎌田 ああいうのも循環コードなんですよ。それをユーロビートのまんまやるのはつまんないから、少年隊風にアメリカのエンターテインメント入れて、打ち込みでコンピューターミュージックで作ってんだけど、生のリズムでいってるんですよ、実は。「ドンツッチャッチャ♪」って、ディスコだったりするんですよ。ユーロビートなんだけど、ちゃんとアメリカのディスコを入れて、少年隊らしい循環コードで作っていくから、ユーロビートにはくくられないんですよ。
スージー ユーロビートの影響下にあるんだけれども、アナログ、マニュアルのディスコでやってる。あれ最初のきっかけは、「Give Me Up」とか?
鎌田 そう。だから打ち込みのコンピューターミュージックなんですよね。だけどそれをもっとアメリカンのほうに。
矢野 そうですね。僕はジョルジオ・モロダーを思い出したというか。
鎌田 はいはいはいはい。
矢野 ディスコなんだけど、もちろんユーロビートっぽい。僕はもともとブラックミュージックが好きだったので、メロディで展開する曲か、ループする曲なのかって、大別するとその2種類で見るところがあるんですね。そうすると「ABC」っていうのはずっとループしていて、さっきおっしゃったように嵐の「a Day in Our Life」がすごい画期的だったのは、サビもラップだったっていうことなんですよね。メロディで魅せるというよりは、本当に全部ループのなかでラップで押し切ると。
鎌田 そうそうそう。
矢野 その原型というか先祖に「ABC」があるっていうのは、なるほどーって。サンプリングによってすごくわかったっていうかね。
鎌田 そうそう、そうですね。
矢野 わかったというか、だから少年隊ってディスコっぽいんだって思いましたね。で、それをさらに山下達郎が褒めるっていう。それすごくいい話ですよね。
スージー 具体的にどんな感じでタツロウ・ヤマシタが「ABC」を褒めたかって、わりと細かく教えてもらえますか?
矢野 重要なポイントかもしれない(笑)。
スージー さっきのね、(ギターで「ABC」のコードを弾いて)これって、山下達郎もよく使うやつ。(ギターを弾きながら、山下達郎が作曲したアン・ルイスの「恋のブギ・ウギ・トレイン」を口ずさむ)さあ、お乗~り、恋の旅~♪
鎌田 そうです。
スージー だから山下達郎は、自分がやりたかった音楽をメジャーシーンでやってくれたっていうのがあったんじゃないかなと思う。
鎌田 そもそもはマッチが昔、RVCと言われていたレーベルと契約していたときに、僕はそこのディレクターだった小杉理宇造(こすぎりゅうぞう)さんのアシスタントになって。で、その小杉さんがたまたま山下達郎さんもやってた。(小杉さんは)桑名(正博)さんとかもやってたんですけどね。で、達郎さんが歌謡曲ではないところでやってた頃、マッチと達郎さんは「ハイティーン・ブギ」で出会うんですけども。
僕は小杉さんのアシスタントになったから、最初はMoon Records(山下達郎のレーベル)で達郎さんの『BIG WAVE』ってアルバムとか、(竹内)まりやさんの『VARIETY』作ってるときにスタジオ行って。で、達郎さんが下北ロフトとかにまだ出ていたような頃に、僕はKODOMO BANDで会ってて。だから「おまえ、KODOMO BANDのやつだろ」とか言われて、「そうなんですよ、(これからは達郎さんを)お手伝いしますからよろしく」とか言って、「そうかそうか」みたいな感じで案外近い存在になったんです。スタジオで隣り同士だと、僕は挨拶に行って、「達郎さんの隣でチンドン屋やってます」みたいな、話をしていくわけね。
スージー チンドン屋(笑)。
鎌田 そしたらあるときスタジオに(山下達郎が)バーンって入ってきて、(握手をするしぐさをしながら)「鎌田、『ABC』いいな」って。「循環コード、よくやった、よくやった。“メイジャー”の循環コードな、これをアイドルがやるのはいいこと。これはいいことだ。ページを塗り替えたぞ」みたいな。そんなことを言われるわけですよね。で、「ありがとうございます」。「よかったよかった。うー、よしよしよし」。
スージー シビれますね。
鎌田 そういう感じなんですよ。バーン!って入ってくるんですよ(笑)。
スージー (腰に手を当て胸を張りながら)「ABCいいな、いいじゃない。まりやもいいって言ってるぞ」って(笑)。
鎌田 僕は「ありがとうございます」。
スージー メジャーを「メイジャー」って発音するんですね(笑)。あー、今日来てよかった。
矢野 達郎さんはそのとき『BIG WAVE』とか『FOR YOU』とかやってて。
鎌田 そうそうそうそう。
矢野 でもああいうサウンドは、マッチにはやんなかったですよね。
鎌田 まあ、マッチはどっちかっていうと重たいロックなタイプじゃないですか。
矢野 そうですよね。
鎌田 だから軽やかな循環コードではないし、踊りも踊らないし。それはよくわかってんですよ。だからロックのほうだなっていうことはわかってるけど。でも少年隊は……達郎さんは本当、(山下達郎の曲)「FUNKY FLUSHIN’」を僕らのほうでカバーしただけなんですけども。
スージー あれも循環(コード)ですよね。
鎌田 そう。それで達郎さんの「恋のブギ・ウギ・トレイン」はね、実はSMAPの「雪が降ってきた」なんですよ。
スージー・矢野 あー。
鎌田 「(テーブルを叩いてリズムをとりながら「雪が降ってきた」を口ずさむ)タッターン、タララン、タララン、タッターン、タララン、タララン♪」はね、「恋のブギ・ウギ・トレイン」のところを使ってるんですよ。
矢野 なるほど。
鎌田 そう。「雪の降る街、タラララ~♪」。
スージー おお、雪の中をトレインが走っている。
鎌田 Bメロの「タッターン、タララン、タララン♪」ってのは、「恋のブギ・ウギ・トレイン」なんですよ。「タッターン、タララ♪」って。それを(作曲家の)馬飼野(康二)さんと、「あの感じいいよね」と言って作ってる。
矢野 へー。
聴く人を「焦らす」落ち着かないコード進行
スージー 「STRIPE BLUE」もトニックにいかない。あ、専門的な話でごめんなさいね。
鎌田 解決しないんですよね。
スージー 解決しない。えーと、わかりやすく言うと、歌謡曲にありがちな「タンタカタッ、ダーン」って終わる、すごく落ち着いたコード。マイナーであれメジャーであれ、ここに落ち着くっていうか、座る感じがこの曲にはなくて。ずっと踊り続けてるっていうか、ループする感じがする。「ABC」もそうなんですけど、「STRIPE BLUE」も。また筒美京平ですよ。
鎌田 そうです。
スージー 怒られました? 「何本、青と白の線、描いてんだよ」って(笑)。
鎌田 それはね、焦らすってことなんですよ。「じれったいね」もそうですけども、お客さんを焦らす。解決までいかなくて、「来ないかな、来ないかな……あ、来ないじゃな〜い」と(笑)。「ここですよ」って落ち着かせないってことなんですよ。だからいつも「あれ、どうなんだろう、どうなんだろう」と、普通の歌謡曲は「どうなんだろう……あー、そうなった」ってなるんだけど、「どうなんだろう、どうなんだろう……あー、どうなんだーだだだー」みたいなことで、お客さんの心を落ち着かせないんですよ。
スージー えっと、具体的に言うと、(ギターで「STRIPE BLUE」のサビを弾きながら歌う)タ~ラ~ラララララ~ララ タララタ~ラ~ラ~ラ~ラ~ララン、ここで普通なら(ギターの音と一緒に)ジャン!って終わるじゃないですか。でもこの(ギターでもう一度最後の音を鳴らして)「あー終わった」っていう、これにいかない。
鎌田 うん、いかない、いかない。
スージー いかない。だからずっと(ギターで同じコードを繰り返し弾きながら)、あ~、いつまで続くんだろうって。
鎌田 (ギターに合わせて「STRIPE BLUE」を口ずさみ)ラ~ラ~ララララ~ララ~ララララ~ララ~ってね。
スージー (ギターを弾きながら)ジャーンって終わったら、普通の歌謡曲はここに(ギターで落ち着くコードを弾きながら)いくんですよ。でもいかない。
鎌田 いかない。
スージー 「ABC」も「STRIPE BLUE」もずっと青と白でいきっぱなしっていうね。歯磨きのCMソングでしたから、ずっと磨きっぱなし(笑)。
鎌田 そう。「じれったいね」もほとんどいかないわけです。筒美先生が「もっともっと、じれったくしましょう」って言って。
矢野 「STRIPE BLUE」ってコーラスめちゃめちゃいいんですよね。あのコーラスってEVEなんですか?
鎌田 EVEです。
矢野 あー、やっぱり。
鎌田 だいたいEVEです。
矢野 あの時期ってEVEの声のパッションがね。
鎌田 そうそうそう。アレンジャーの人がだいたい(コーラスの譜面を)書くんだけど、EVEさんが来て、「ちょっとEVEさん、ここもなんかちょっと付けない?」と言うと、「OK、OK」って、そこでやってくんですよ
スージー あ、そこもやっぱりその場で?
矢野 思った以上に現場でできあがってるんですねぇ。
スージー レコーディング現場に筒美京平はいます?
鎌田 まあまあ、いますね。「テンポ速い」とか、「ちょっとここ変えよう」とかってなりますよ。
スージー 松本隆はいました?
鎌田 けっこう来てくれましたね。
スージー やっぱりその場なんだ。
鎌田 その場なんですよ。松本さんなんかその頃、軽井沢に住んでて、フェラーリとかポルシェとかでスタジオに来て、そのまままた軽井沢帰っていきましたからね。「かっこいいなぁ。そういうことなんだ」みたいな。
高岡 「そういうことなんだ」って(笑)。
鎌田 松本さんもそこで歌詞を変えるんですよ。
スージー ですよね。
鎌田 「筒美先生、ここ歌詞こうしたほうがよくない?」って。「うーん、でもここはこれでいいんじゃないの?」って、ゴソゴソやってるわけですよ。
ジャニー喜多川に筒美京平が放った言葉
スージー 他の本とか読むと、筒美京平はそんなに現場にいなかったですよね、作って終わりで。だから現場主義的に作ったのは、少年隊だけかもしれないですね。ちょっとわかんないですけど。
鎌田 田原とかマッチのときも来てたと思いますよ。ジャニーさん、メリーさんが、まだまだ若かったから。ものすごい大変だったんですよ。
スージー 大変?
鎌田 大変。もう、怖くて(笑)。OK出ないし。だからもうあの手この手で、どうやったら満足してくれるのかをみんな考えてくれて、なんとなく時間があったら来てくれてたみたいな。だからそういう力が加わってるんですよ。(少年隊の)3人も、決して自分で履歴書書いて送った3人じゃないんだけど、なんか選ばれて、タコ壺に入れられてシャッフルされて。
高岡 タコ壺(笑)。
鎌田 ニューヨークとかロサンゼルスとかわけのわかんないとこ連れてかれて、あれもやれ、これもやれって言われて。わけわかんないところでいろんな力がグッと集まったんですよね。
スージー じゃあレコーディングもその場で歌詞が変わったり、リズムが変わったり?
鎌田 そう、コードが変わったりするんですよ。
スージー なるほどね。
鎌田 テンポなんかしょっちゅう変わりますよ。やりながら、変わるんですよ。
矢野 歌入れの最中ですかね?
鎌田 いやいや、オケ録ってるとき。
スージー たまりませんねぇ。
矢野 すごいですね。
鎌田 仮歌で僕なんかが歌ってるじゃないですか。そうすると筒美先生に「メロディが違う」って怒られるんですよ。「勝手に変えないで」「すいません」って(笑)。
スージー さすがに筒美京平をもってしても、鎌田さんには「やい、ヘビ男」って言ったかもしれないけど、ジャニー喜多川さんには歯向かわないですよね。
鎌田 いやー、あのねぇ。
矢野 あー、その関係性ちょっと気になりますね、たしかに。
鎌田 何の曲のときだったか覚えていないけど、ジャニーさんと僕と筒美先生でミーティングで会ったときに、ジャニーさんはお世辞も半分で、「筒美先生みたいにセンスがあると、いろんな曲がスッスッスッと生まれてくるんですかね」って。ジャニーさんはお世辞もありながら、本当にそう思ってたわけですよ。そしたら、筒美先生がバーンってテーブル叩いて(そのしぐさをしながら)、「なに言ってんですか! 違うんですよ!」って。「曲なんかね、5曲書いたらおしまいですよ。あとはありとあらゆる世界中の音楽を聴いて、自分の中に入れて、汗と血と涙でグーーっと絞り出していくしかないんですよ」って。
スージー いい話! 最高。
鎌田 「そこそこの曲なんて5曲書いたらおしまいですよ。人間の才能なんてそんなものですよ」って言うんですよ。
矢野 いやー、これいい話ですね。
鎌田 ジャニーさんはそんなつもりで言っていないから、「あ、先生ごめんなさい」みたいな。
スージー いい話ですねえ(と泣くポーズ)。
鎌田 もっと時代をさかのぼると、昔のヒット曲ってのは、筒美さんがのたうちまわって、2週間寝ないで血を吐きながら作っても、ベスト5に入らなかったんです。
スージー うん、うん、うん。
鎌田 そのぐらい職業作家に強力な人たちがいて。そうやってしがみついてやってきたんだっていうことを言ってましたね。
スージー へー。ジャニー喜多川に筒美がキレた話、いい話だなぁ。
鎌田 キレたというかね。
スージー まあ、主張したっていうね。
鎌田 うん。本当のことを知ってくださいっていうことでね。
スージー 本音でしょうね。
矢野 逆に天才扱いされるほうがあれだったんですね。
鎌田 そうそう、いやだった。
矢野 そうじゃなくて、努力というか……。
鎌田 筒美さん、見せないからね。すごいスマートなわけですよ、おしゃれで。いつもきれいな格好してて、語り口もすごく穏やかで、「(やわらかい口調で)え、なになに? なんなの? 鎌田くん、なにそれ? 教えて」っていう感じなわけですよ。そんな筒美さんがバーンと机叩いて言ったってのは……。
スージー 1回だけ? 机叩いたときは。
鎌田 そういうことは、そうですね。
スージー 「筒美机バーン事件」。すごいですねぇ。
矢野 いやでもそれは本当に、ある意味、凡人に勇気を与えるというかね。誰だってなれるんだって。
鎌田 そうそう、なれるんだってことなんですよ。
矢野 これジャニーズイズムでもあると思うんですけど。
鎌田 そうそうそうそう。
矢野 誰だってなれるんだみたいなね。
スージー 筒美京平は洋楽聴いてぽんぽんアイデアが出て、ロボットみたいに曲作ってるってイメージが強いから。
鎌田 もう天才だからね、みたいな感じじゃないですか。でも、じゃないんですよ。
矢野 「愛のコリーダ」聴いて、「KUNG FU FIGHTING」聴いて、「情熱熱風せれな~で」を作るみたいな。そういう感じじゃないですかね。
鎌田 あのパイドパイパーハウス(1975年から1989年まで青山骨董通りにあった輸入レコード店)で、洋楽、全部買ってますからね、筒美先生。全部聴いてますよ。
スージー パイドパイパーハウスって伝説のレコード屋ですよね。泉麻人も言ってましたけど、入口に行ったら段ボール箱にバッと洋楽が入ってて、“筒美京平様”って書いてあるっていう。
鎌田 全部買うんですよ。全部聴いてんですよ。で、いいのがマル、サンカク、バツって付いてんですよ。自分で付けてる。
スージー 松本隆とか近田春夫も言ってますけど、イントロからワンコーラスだけ聴いて「はい次」って。
鎌田 ポンポンポンポンって聴いてね。
矢野 あー、伝説ってありますよね。
鎌田 「なんか使えそうなのないのかな」っつて、「B△」とか「イントロ」とか「リズム」とか(メモが)書いてあるんですよ。
矢野 すごい。DJとやってること同じだな。
④へ続く!(まだ半分も終わっていませんw)
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