【シンプル】
わたしの特技は人を傷つけないこと。
それも、誰ひとりとして。
なぜなら、わたし自身が誰よりも傷つきやすいから。
誰よりも小さなとげで傷ついてしまう人だから。
だから、どんな小さなとげにも気づける力を持っていて、そのとげを絶対に誰にも向けないで生きている。
結果として、わたしの特技は人を傷つけないこと。
わたしのそばにいると安心するとみんなが言ってくれるのはそういうことかもしれない。
傷ついて心が弱っている人がわたしのそばに自然と寄ってくるのはそういうことかもしれない。
わたしのどこを見てもとげがないからなのかもしれない。
自分はとげのない自分でいたいけど、
相手のとげはもう少し見逃せる自分になりたい。
もっともっともっと、鈍感でありたい。
あの人の視線。
どこからどこに動き、下を俯いてから、わたしにチラリと向く。
誰の方に向かってこれくらい、わたしの方に向かってこれくらい。
あの人に向ける視線の色、わたしに向く視線の色。
笑顔になる時の目尻の数、笑顔になる長さ。
話が終わる時の、目線の動き方。
まばたきの数。
あの人の声。
声の質感、声の高さ、声の大きさ。
語尾のひとつひとつ、さっきとは少し違う言い方。
言い切るときのトーン、言い終わるときのトーン。
口の動かし方、息の吸い方、吐き出し方。
あの人の行動。
顔を向ける、手を伸ばす、歩くスピード、振り向く動作。
受け取り方、渡し方、うなずき、相槌。
何を手に取り、何を見て、何を思って、何をしたのか。
洞察力があることがわたしの長所だと思っているけれど、でも本当にただ敏感に気づいてしまうだけ。
その気づきは「傷つき」からきているという、それだけ。
気にする思考とそれを抑えようとする思考がとまらない1日。
自分がどう思われているのか、それを気にしたり周りの目を気にしたりしているというよりも、ただただ自分の存在に対する相手の行動に傷ついている。
周りの目を気にしないで自分を生きようと思うけれども、傷ついてチクッと痛んだ心を見過ごすことができない。
わがままに生きてみたい。
でも、それと引き換えに、自分が耐えられないほどの傷を心に追ってしまう気がする。それが怖いと感じる。
その小さな小さな痛みを味わっては癒し、悩みを抱えて毎日を過ごす。
いろんなことを気にかければ気にかけるほど、考えれば考えるほど、傷つくことを未然に防ぐことができ、回避することができる。
回避することができることによって、みんなとも良い状態で接することができる。
誰にも分からない次元のことでくよくよしなくて済む。
いわゆる繊細さん。とみんなは言うけれど、
わたしはわたしにしかできない生き方をしている。
この自分だからこそ、手を差し伸べられることがあり、
誰かの力になれることがあり、
傷ついた誰かを癒せることがある。
わたしはわたしを大切に生きよう。
この力を外へ向けてたくさん役立てて生きよう。
この自分をだいすきで生きることができているけれど
やっぱりたまには悩んだり凹んだりしています。
それも、わたし。
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