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防衛費の増額で老後資金はどう変わる?

連日「防衛費に伴う増税」の報道がありますが、皆さんはどのように感じていますか?

僕自身は、法人税の増税には反対ですが、復興特別所得税の振替・たばこ税の増税には反対です。

法人税の増税

法人税は、企業の利益に対して課せられる税です。

つまり、従業員への給与や、設備投資の後に課せられるのが法人税ということになります。

言い換えるなら、法人税が上がったからと言って、給与が下がることはないし、設備投資が縮小することもありません

社長が、「どうせ法人税で取られるなら、給与上げたるわ」「どうせ法人税で取られるなら設備投資しよう」と言えば良いだけのことなんです。

ではなぜ、企業は法人税の増税を嫌がるのか?

自民党案では、4~4.5%の上乗せということでしたので、現在の法人税と併せて例を作ってみました。

法人税のみで大雑把な計算ですが、仮に4.5%上乗せとなると、現在23.2%の企業が27.7%になる例を2つ作りました。

<例1:社員還元型>
10億円の利益がある企業であれば、法人税は2.32億円→2.77億円になります。
しかし、1.6億を社員に還元すれば、8.4億円の27.7%なので法人税は以前と変わらない約2.33億円となります。
問題点は、内部留保の増額分が減少することです。

<例2:内部留保型>
10億円の利益がある企業であれば、法人税は2.32億円→2.77億円になります。
従来の内部留保(7.68億)を確保するためには、純利益を約10.6億にする必要があります。
問題点は、0.6億円の経費削減(人件費・設備費)が必要になることです。

内部留保と配当金が減ると困る企業は、反対派というのが何となく見えてきますよね。

でも、あからさまにそんなこと言ったら叩かれるので、「給与が下がる」というシナリオを全面に押してきているのかもしれません。

法人税の増額で株式配当金は下がるかも・・・

配当金は、純利益と配当性向によって決まるので、企業が社員還元型を選択すれば、経費増・利益減となり、配当金は下がります。

世が優待制度を廃止する流れにあっただけに、配当金が下がることでの一般投資家の投資意欲の減退は、「貯蓄から投資へ」の足かせになるのでは?という議論につながるかもしれません。

しかし個人的には、所得(給与)が上がることで、生活が豊かになったり、NISAなどの投資に回すことが可能になると思うので、法人税の増税には賛成です。

復興特別所得税の一部転用

復興特別所得税は、すでに納税者であれば支払っているので、それの一部転用であれば実質負担増はありません。

しかし予算が削られることで、「復興にどの程度影響が出るのか?」については、報道がないため分かりません。

ただ、復興予算が減らないよう20年延長ということは、復興が20年遅れるとイコールという認識でいます。

そもそも、計画があるから徴収していたはずの税なので、転用というのは選択として間違っているのではないかと思います。

たばこ税の増税

昨日のニュースで、たばこ税の増税は「3円/本」という話がありました。

ほとんどのタバコが20本/箱だと思いますので、1箱あたり最低60円の値上げということになります。

しかし、この値上げ分には日本たばこ産業㈱や販売店の利益は含まれていません。

値上げを機に、喫煙を誓う方も少なくないかもしれませんよね。

被害が飛び火した企業としては、減収分の上乗せをしたくなるのが正直なところだと思いますので、最終はもう少し値上げされるかもしれません。

参考ですが、2010~2019年までの喫煙者数のデータを見つけましたので紹介しておきます⇩。

僕はタバコを15年以上前にやめましたが、その立場からしても一部の方々が、「今を生きる国民の責任」として1,000~2,000億も負担するという思考はおかしいと感じました。

結局どうなる?

仮にこのまま、防衛費のために増税すると決断されれば、復興地の住民と喫煙者以外は、ほとんど影響がないと思われます。

しかし、【国家の最大の責務は国民の生命、財産、そして国益を守ること】であるならば、政治の最優先事項となる有事への対応にかかる費用については、他の予算よりも優先するべきだし、その結果、他の省庁で予算不足になれば、それに応じた増税というのが筋なのではないでしょうか。

ただ上記案だと、各家庭の支出は逆に膨らんでしまいます。

復興税・たばこ税という一分の負担を増やすぐらいであれば、全額法人税でまかなうか、予算規模を2%以下に縮小するのがベストな案になるのかもしれません。

今後の動向に注目していきたいと思います。

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