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「さしすせそ」の「し」
☆しょうゆのはなし☆
近年、塩分の摂りすぎは高血圧を引き起こすと言う考え方から、減塩指向の風潮が高まりました。しかし、最近になって、高血圧は塩分の過剰摂取が原因で起こる場合よりも、身体の中のミネラルバランスが崩れることで起こることの方が多いと考えられています。では、身体の中のミネラルバランスが崩れるのはどうしてなのでしょう。その原因の一つとして考えられるのが、「精製塩」です。精製は、少ない手間で大量に作ることができ、安価なので、広く普及し、現在もっとも多く市販されています。精製塩は成分の約99.5%が塩化ナトリウムで占められており、それ以外のミネラルはほとんど含みません。なぜなら、製造の過程でにがり成分が取り除かれているために、貴重なミネラル分が失われているからです。
ナトリウムは摂りすぎると血圧が高くなる傾向がありますが、日頃、私たちは加工食品や調味料などから塩化ナトリウムを過剰に摂取しています。降圧作用を持つカリウムは野菜や海藻などに含まれていますが、その摂取量は少なくなってきており、さらに近頃は化学肥料によって栽培された野菜が多く、ミネラルの含有量が減っています。このため、たくさん野菜を食べているつもりでも、充分にミネラルを摂ることができません。また、カルシウムとマグネシウムにも血圧を下げる効果があることが解っていますが、慢性的に不足しています。
塩は、私たちの暮らしに欠かすことのできない大切なものです。塩は、調味料として、またその優れた殺菌力から食品の保存にも役立ってきました。しかし塩の役割はそれだけではありません。塩は海水から生まれたもの。海水は実に約90種類のミネラルを含んでいるといわれています。私たちの体が健康に機能するためにはカリウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウムなどのミネラルが不可欠ですが、塩はこれらのミネラルの補給源としてその大役を担っているのです。本物の塩はミネラルの宝庫なのです。自然海塩は、じっくり時間をかけて結晶化させるため、海水のミネラルをそのまま残しています。毎日のお料理に精製塩から切り替えるだけで、微量なミネラルをバランス良く摂ることができます。ただ塩辛いばかりの精製塩と違って、やわらかい後味を持つ美味しい塩です。高血圧はナトリウムの摂りすぎで起こるだけではなく、ミネラルの不足によっても起こるということを知っておいてください。