どこ行くマクロン大統領?
中国訪問
マクロン大統領が訪中し習近平総書記と会談した。マクロン大統領個人のツイッターアカウントでは訪中の一部始終をドラマチックなテイストに仕立て上げた動画を上げており、さながら中仏黄金時代を演出している様だ。マクロン大統領が訪中する前段階として王毅外交部長が訪仏しており、今回の訪中を完璧のものにする準備をしていた。その甲斐あってか、マクロン大統領から台湾危機に関して「我々の問題ではない」という言葉を引き出した。この発言は世界各国から批判を浴びているが、マクロン大統領はこの後「開かれたインド太平洋」を求める立場に相違はないと波紋を広げた発言を火消しに追われた。
アメリカもイギリスも中国との黄金関係構築を望んだがいずれも失敗に終わった。プーチン大統領に袖にされた二の舞にならないことを願う。
内燃機関車対立
フランスは内燃機関車(エンジン車)の新車販売においても他のEU各国と対立している。 EUは当初の方針を転換し2035年以降も内燃機関車の新車販売を認めた。当初の案では2035年以降の内燃機関搭載車の新車販売を禁止とするとしていたが、土壇場でドイツやイタリアなどが反対を表明し方向転換を強いられた。電気自動車への傾倒が顕著であったEUにおいて、この方針転換の意義は大きい。
現在、自動車産業は100年に一度と言われる大変革期にある。これまでの主流だった内燃機関車から電気自動車へと変わるかどうかの瀬戸際にいる。その中で、フランスは2040年までにガソリン車及びディーゼル車の販売を禁止することとし、来たる電気自動車時代の先駆者になるために国を挙げて電気自動車の推進に邁進している。昨年行われたパリ・モーターショーでマクロン大統領は低所得者向けの補助金を7000ユーロに引き上げると発表した。一方で、電力不足を受けて停止していた火力発電所を再稼働させており、一概に環境重視派とは言えない。
今回の方針転換はフランスが自動車業界で覇権を握れるか否かを左右する事象である。
厳しい内政
マクロン大統領は内政においても難題に直面している。その難題とは年金の受給開始年齢の引き上げである。現行の62歳から64歳への引き上げを強行採決した。これに対して、フランス国民は各地で抗議の声を上げている。この過程で市民の間でボイコットが広まり、パリ市街地ではゴミが回収されず異臭が漂ったり、一部のデモ隊が過激化しルーブル美術館やエッフェル塔などの主要観光施設が臨時休業に追い込まれている。この様な状況下でマクロン大統領の支持率は20%代に落ち込んでいる。各地で非難の嵐であるがフランス憲法上、大統領の任期は2期と決まっておりマクロン大統領は現在2期目であるため怖いもの知らずの状態である。