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人生100年時代のわたしの社会実験② 希望退職だって

前回の記事からの続きです。


仕事の実績も、お金の蓄えもないので、

「希望退職者募集の件」というタイトルのメールを見ても、

当初は、何ら心は踊りませんでした。


僕は定年まで会社に居る。

いまからの残り4年間をキャリアコンサルタントとして、

社内外で力を付けてから60歳で独立する。

そう決めていました。


希望退職募集は11月1日に発令されて、

11月15日が提出締め切りでした。


人事部に在籍していたので応募人数だけが耳に入ってきました。

50名の募集に対して、応募が50名を超えたらしい。

ちょっと意識が変わりました。

みんなそんなに危機感を持っているんや。


早速、家に帰って現実的な話、

お金の計算をしてみました。


希望退職金は年収の2倍。

その金額と、

会社に残って4年間でもらえる給料。

この2つを比べてみました。

前者の金額に、失業手当とその後働いていくらもらえれば、

会社に残ってもらえる給料より上回るのか?

月20万以上稼げば、60歳でトントンか。

※金額は覚えていませんので感覚です(^^;

だとすれば、

自由と、

外の世界での実践経験が手に入る

希望退職を選択したほうがいいのではないか?


いやいや、そんな机上の空論では納得できない。

そもそも、会社での経験が、たった1年半の人間が通用するのか?

世の中、そんなに甘くないだろう。

そして家族も納得しないだろう。

次に、そう考えました。


けど、待てよ。

60歳から独立しても、すぐには稼げない。

体力的にも知力でも衰えが出る。

稼げるペースも遅くなるのではないか?

本当に会社で働きながら、

外での実力を蓄えることができるのか?

そんな思いも芽生えてきました。


色んな思いを巡らせていくうちに芽生えたものは。

80歳の自分でした。


まだ元気に仕事をしている姿。

若い仲間がいて、彼らの仕事の相談やキャリアの相談に乗っている。

家は、富士山が見える西伊豆。

少し小高い山の中腹にある、小さな平屋のリノベーション物件。

持ち主は住む気はないが手放したくない。

建て替えない限りは何をしてくれてもいい。

そんな条件で、安く貸してもらっている。

猫5頭と嫁さんと暮らしながら、野菜を作り

朝はフレッシュな摘み立て野菜のサラダを毎日食べる。

仕事はほぼネット。

月に1回くらい東京か大阪に出ていき講演をしている。

貯金はないが、年金と自分の稼ぎだけでお金の心配はほぼない。

吹き渡る風が頬を撫で、

夕景の相模湾を眺めながら、

ただひたすら時の流れを感じている。

さあ、いったい何歳まで生きるんだろう。



11月13日、突然。

会社、絶対辞めたほうがいい。

決心しました。


よくセミナーとかでも話しているんですが、

「行くも地獄、戻るも地獄、同じ地獄なら希望のある方を選びたい。」

そう思い決断しました。

 

嫁さんに伝えました。

死ぬまで働くことを考えると、

いまこのタイミングを逃したらダメだと思う。

だから今回こそは僕のなりたいようにさせてほしい。


いままで頑張ってきたんだから、もういいよね。

好きにしたらいい。


まさかの嫁ブロックがなく、軽く越えてしまった。

本当に感謝。


11月14日、

僕は朝、希望退職の申請書をメールで人事部長に発信した。

すぐに内線電話が。

おい!早いわ。

だけど嬉しかった。


受話器の向こうから上司の笑い声が。

「中野さん、ダメですよ~!

一緒に若い人を盛り上げていきましょうよ~」

でも、もう僕の決心は揺るがなかった。


ありがとう。Sさん。

あの時の君の言葉は34年勤めてきた僕に

凄く力をくれた。

逆に前に進む力になった。

あの言葉に報われた気がした。


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