セルフネグレクトとごみ屋敷~どう向き合うか
セルフネグレクトは自己放任と呼ばれるもの
自分自身の基本的なニーズを満たすことができなくなる状態
食事や排せつ、衛生、医療、住居を維持するなどの日常生活を送る上での
必要な活動を怠ることによって問題化していく
セルフネグレクトは高齢者や精神や身体に何らかの問題を抱えている人々に見られることが多い
主な原因としては
うつ病、アルコール依存症、認知症などの精神的健康問題
慢性疾患や身体障害などによる身体的健康問題
家族や友人との関係性の希薄さ、疎遠などによる社会的孤立
過去の体験によるトラウマ
セルフネグレクトは、健康状態の悪化を引き起こし生活の質の低下を促す
また最悪の場合は命の危機に迫ってしまうこともあるため、外的な支援によって適切に介入していく必要がある
外的な支援は主に
ソーシャルワーカーや医療福祉関係者、精神科医などの専門家の介入
家族や友人の支援
地域のボランティアや身元保証サービスの利用
があげられる
しかし、実際にセルフネグレクトの当事者に関ると一筋縄ではいかない
彼らは自分で自分を虐待していると思っていないから
今までソーシャルワーカーとして働いてきて気づいたことがある
1人暮らしでごみ屋敷化した家で暮らしている人は
自らひとりになることを選択している
彼らが年齢を重ねるうちに
ごはんを買いにいくことや、作ること、洗濯をすること、掃除、
入浴や排せつ、整容、人と会うこと、、、
だんだんと心が遠ざかっていくのだ
しかし、介入し始めると多弁な人が多い
自らの人生を思う存分語り出す
ほんとうは一人でいることは気楽なんだけれど
寂しいのもあったんじゃないだろうか
今まで関わってきたゴミ屋敷化した家に住んでいた方々は死が迫っている方が多い
生きている間に家財処分をし亡くなったあとのことを本人と話す
これがなかなか難しいのだけれど
本人とソーシャルワーカーの心の距離が縮まると
お墓はここに入りたい、病院で最期を迎えたい、たくさんのものを残して旅立ちたくない、、、思いを次々と話してくれる
死生観がしっかりある人が多い印象
どんなに周りからセルフネグレクトが問題だと言われようとも
本人の生活スタイルを尊重した上で生活をそっとサポートできるようになればいいなと
セルフネグレクトという言葉が先行しがちだけれど
これが彼らの生活スタイルなのだから
私は彼らがSOSを求めた時にできるだけスムーズに対応できるようになりたい
「一緒に部屋を片付けませんか」
「まだいい。ほんとに助けてほしい時には言うから。頼むね」
この会話を繰り返しながら、主体の軸をずらさないよう気を付けてソーシャルワークをやろう