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「働きがい」のある職場にするには③

全3回にわたり、「はたらく人のしあわせの7因子」の各因子の意味と、それをどう職場の「働きやすさ」と「やりがい」につなげたらいいかをお伝えしています。今回はその第3回目です。

前回までの記事はこちらです。
「働きがい」のある職場にするには①
「働きがい」のある職場にするには②

⑥他者貢献(誰かのため)
仕事を通じて関わる他者や社会にとって、良い影響を与え、役に⽴てていると思えている状態
「私は、仕事で関わる他者の成⻑を感じることができる」「私は、仕事を通じて、他者を喜ばせている」「私は、仕事を通じて、社会へ貢献している実感がある」

【働きやすさ】
特に顧客や社会に対してどんな貢献ができているのか、大きな会社ほど分業化されていて自分の貢献度は大したことないと感じてしまいがちです。このため、会社としてこういうことに貢献しているということを社会に対してPRしていくことは社員にとっても大事です。世の中に「あの会社は素晴らしい事業をしている」と認知されることで、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上や、求人応募者数にも影響が出てきます。会社がどのような価値を持ち、どのような貢献をしているのかをあらゆる角度から見出し、それを伝えることが大切です。

【やりがい】
③チームワークのところで、社内の人たちへの貢献について触れているのでここでは顧客や社会に対しての貢献についてお話しします。
私が以前、会社で営業のアシスタントをしていた時のことですが、基本的に私はお客様と直接お話しする機会がありませんでした。営業に頼まれて接待で使うお店を自分で探して手配したり、お客様が必要としている資料などを用意してもそれがどんな風に役に立ち、お客様に喜ばれたかはわからないので、仕事がどこか事務的に感じていたのです。しかし、途中で異動してきた営業部長がわざわざ私に「あのお店すごく雰囲気もよくて、お客さんも喜んでたよ」とか「あの資料のおかげで1000人の困っている人たちに情報が伝わったよ」などと言ってくれる方で、その時に仕事に取り組む姿勢が変わったことを覚えています。特にお客様や取引先と直接やりとりしない部署では、社会に貢献できているという気持ちが薄れがちです。お客様や取引先から感謝の言葉をもらったら、ぜひ自分をサポートしてくれるメンバーにもシェアする文化を作ってみたらいかがでしょうか?

⑦⾃⼰裁量(マイペース)
仕事で⾃分の考えや意⾒を述べることができ、⾃分の意志やペースで計画・遂⾏する事ができている状態
「私は、仕事を⾃分の裁量で進められている」「私は、仕事の計画を⾃分で⽴てて進めることができる」「私は、仕事で⾃分⾃⾝の考えや意⾒を表現できている」

【働きやすさ】
子育てや介護をしている時など、時間のやりくりに苦労する人は多いと思います。必ずしも毎日同じ時間に全員が会社にいる必要があるのかどうかをまず検討してみましょう。昔からそうだから、今さら変えられないといった古い慣習や固定観念に縛られてはいませんか?可能な限りフレックスタイム制や、週の何日かを在宅勤務可能にするなど柔軟な勤務体系であることは、今の時代は特に働く会社を選ぶ基準のひとつとして重要な条件となっています。少しでも自分の時間をコントロールできるという安心感が、仕事への集中力やモチベーションにつながります。
また、独身者や子供のいない社員への「業務のしわ寄せ」問題も起こっています。相模女子大学大学院特任教授の白河氏によると、時短や育休産休中の社員をサポートするとそれが評価され、給与にも反映する企業も出始めているそうです。このような不公平感をなくすことも大事です。

【やりがい】
育休産休や時短勤務などの制度が整っていても、それを利用しづらいと感じる人はとても多くいます。チームメンバーに負担がかかる、前回の育休産休からあまり時間が経ってないのにまた取っていると言われそう、といった心理的な負担がかかっていることもあります。
制度の充実も大事ですが、使いにくい、気を遣うという雰囲気があるとチームワークにも支障が出てしまいます。
また前出の白河氏によると、時短勤務をしている同僚がいる男女それぞれ150人に調査をした結果、2割が『不公平さを感じている』、3割が『実際に業務負担が増えた』と回答したそうです。「あなたは独身だから残業できるよね」「この業務はイレギュラーな対応が少ないから、子育てしている社員を優先的にアサインしよう」というような不公平感が生じるような考え方や発言がないように注意しましょう。
それと、これは私が前職で実際にあったことですが、先輩の女性社員から「子供が欲しくてもできなかったから、みんなで出産のお祝いしようって言われたり、会社に子供を連れてこられるのは少し苦痛」と言われたことがあります。会社という組織の中での人間関係や心情は、友人同士とは違ったものがあります。お互いに必要な距離を保ちながら、仕事に集中できるような雰囲気づくりを心掛けましょう。

社員のウェルビーイングの向上のために、環境の改善や制度の改革ができることは望ましいですが、時間がある程度かかるような大掛かりなことをやる前に、今すぐできること、部署単位でできること、個人の心がけを変えればできることもたくさんあります。
今後もこうしたヒントをお伝えしていきますので、ぜひ小さいことから取り組んでみてはいかがでしょうか?

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