「働きがい」のある職場にするには①
前の記事で「働きがい」のある職場にするには、「働きやすさ」と「やりがい」の両方を満たすという話をしました。
2020年に行われた、パーソル総合研究所と慶應義塾大学・前野隆司教授共同研究でによると、はたらく人の幸せと不幸せにはそれぞれ7つの因子があることがわかったそうです。
つまり、幸せの7因子を満たしているほど社員の幸福度が高いので、この因子をどう満たしていくか考えていけばいいわけです。
いろいろな企業をリサーチした結果と、私自身が20年以上会社員として働いていた経験から、「働きがい」を感じられる職場とはどういう職場かということをそれぞれの因子の意味とともにまとめました。
今回は7つの因子のうち、3つをご紹介します。
①自己成長(新たな学び)
仕事を通じて、未知な事象に対峙して新たな学びを得たり能力の高まりを期待することができている状態。
「私は、仕事を通じてやりたかった事を実現できそうだと思う」「私は、仕事で好奇⼼がくすぐられることがある」「私は、仕事を通じて知識・スキル⾯での成⻑を感じる」
【働きやすさ】
積極的に新しいことを学べるように研修中は勤務時間に含む、あるいは特別休暇などで有給休暇を消化しなくて済む、費用を負担するといった、金銭面や時間の制限といった負担のないような制度を作り土台を整えることが重要です。
【やりがい】
上長もチームメンバーが学びたいと言ってきたことについて、たとえ短期的な売上に直結しなかったり、業務から多少関わりが薄くても、全く関係ないものではない限りできるだけ柔軟に承認する、学びたいという姿勢に対して周りが揶揄したり足を引っ張ったりするような風潮を作らないことが必要です。
会社という組織で働く人は、出世や昇給があるため上長や同僚など他の社員からどう思われるか、ということをとても気にするものです。若手ならなおさらその傾向は強く、出る杭を打ってしまう雰囲気や、周りからの圧力のせいで気が付いたら上長に何の相談もなく会社を辞めてしまった、ということも多いです。チームを率いるリーダーの方たちは、ぜひご自身が若手だった頃の気持ちを思い出してみてはいかがでしょうか。
②リフレッシュ(ほっとひと息)
仕事を一時的に離れて精神的・身体的にも英気を養うことができていたり、私生活が安定している状態。
「私は、仕事の⾝体的な消耗から回復することができている」「私は、仕事の精神的な消耗から回復することができている」「私は、プライベートなことに気を揉むことなく仕事ができている」
【働きやすさ】
自席から離れて仕事やチームメンバーと距離を置き、一息ついたり自分のことやプライベートのことを考えたりすることができるフリースペースがあるとリラックスできます。そのようなスペースを作ることができない場合は、近くのコンビニや公園など昼休み以外でも少しの間外に出ることを許可するなど柔軟な姿勢があるといいです。喫煙ルームならある、という職場も多いと思いますが、喫煙しない人たちにとっては不公平感を持たれることも多いです。短時間でもリフレッシュすることはパフォーマンスにも大きく影響が出ます。だれでも公平にリラックスできるような工夫があると、社員同士が思いやりを持てるようになります。
【やりがい】
こちらの記事でも書きましたが、せっかくリラックスするためのスペースを作っても「自席にいないとさぼっているように思われるから使えない」という声は非常に多いです。私が以前いた会社でも同様で、チームメンバーがみんな自席にいるのに自分だけフリースペースにいる状態がとても居心地が悪くほとんど使ったことはありませんでした。現在はどこにいてもいつでも連絡が取れるようなオンラインツールは充分にありますし、それらを活用しながら上長が自ら積極的にフリースペースを使用したり、ミーティングをする人たちのためにちょっとしたお菓子を置いておく、午後の30分間を使ってドリンクを飲みながら社員同士が話すようなちょっとしたイベントを開催するなど、スペースに対しての親しみと使いやすい雰囲気を作ってみてはいかがでしょうか。
③チームワーク(ともに歩む)
仕事の目的を共有し、相互に励まし・助け合える仲間とのつながりを感じることができている状態。
「私には、相互に励まし、助け合える仕事仲間がいる」「私は、仕事仲間との⼀体感を感じている」「私は、仕事仲間と⽬的を共有している」
【働きやすさ】
チームで仕事を成し遂げたことに対して評価することが必要です。人は他人を思いやる気持ちや、誰かの役に立ちたいという思いは持っているものですが、仕事という「対価」を求める場においては、メリットがない状態で他人を助けることを求められるのは辛いことです。それに、売上に貢献したチームを表彰することももちろん大事ではありますが、「いつもあそこのチームが表彰されるのは、たまたま売れる製品を扱っているからだ」といった不公平感も生じがちです。売上以外の部分でもチームの優れた点を評価されるような制度もあると、よりチームの結束が高まるのではないでしょうか?
【やりがい】
「心理的安全性」という言葉があり、いいチームには確かにこれが不可欠です。しかし、これは「和気あいあいとしてみんな仲が良く、何でもオープンに話せる」という状態のこととは少し違います。何でも話すことで、むしろ愚痴やネガティブな発言を助長してしまったり、話したくないようなことも話さなくてはいけない雰囲気ができてしまうこともあります。本当の意味で心理的に安全な環境を作るには、「情報交換がスムーズにできること」や「何か行動する時や新しいことを始める時に足を引っ張らずに支えること」「アイデアを否定しない」といったことを指標にすることが大切です。こういった指標を基にすると、例えば営業の部署だったら、「多少ピリピリした雰囲気がある方がお互いに切磋琢磨できて、結果的にチームとしても成績が上がる」とか、総務だったら「たまにみんなでお茶をしながらカジュアルにミーティングをすることで、若手やベテラン問わずに新しいアイデアが気軽に出る」といったその組織らしさが出て、みんなが自分らしく成果の出せるチームができていきます。
次回につづきます。
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