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社内にオープンスペースを作ってもなぜ活用されないの?

ハーバード大学の研究で、「他者とのつながり(それが親密であれ、そうでないものであれ) は全て私たちの健康に重要だ」ということがわかっています。

私たちの生活においては、友人や住んでいる地域、あるいは学校や職場などあらゆる場面で他者との関わりが出てきます。
最近は、オフィス内にカフェのような空間やラウンジが作られたりして、社員同士が積極的にコミュニケーションができるようにしているところが増えてきました。

先日、ある上場企業の本社を訪問する機会がありました。
そこは都心のおしゃれな高層ビル内にあり、数千人いる社員のうちの数百人が在籍していました。広々とした執務スペースの他に、打ち合わせや仕事にも使える社員食堂、気軽に社員同士が雑談ができるようソファやテーブルの置かれた空間などがありました。
しかし、社員食堂では数組打ち合わせをしていたものの、ソファやテーブルのあるエリアには誰もいませんでした。その会社は在宅勤務が認められていますが、常時約8割の社員が出社しているとのことで、執務スペースには目立った空席がないぐらいたくさんの人が座っていました。

案内をしてくれた社員の方に伺ったところ、「うちは老舗の日本企業でとても古い体質なんです。自席にいないと『さぼっている』と思われる雰囲気なので、在宅勤務もあまり活用せずに出社する人が多いんです。だからオープンスペースで仕事なんて誰もしないんです。それに典型的な縦割り組織なので、ソファの席で他部署の人と隣になったとしても話しかける文化なんてないんです」とのことでした。

これは、最近の傾向として本当によく聞くパターンです。
社員同士の交流が増えるとそこから新しいアイデアやコラボレーションが生まれ、イノベーションが起こりやすくなることは確かですし、社員同士の信頼関係もできて「心理的安全性」も生まれます。
しかし、会社側がカフェテリアやオープンスペースなどの「物理的な環境」を整えただけで交流が活発になるのは、元々土台となる企業文化があったり、交流を促す人がいたため、というパターンが多いのです。

オフィスの移転やリノベーション、レイアウト変更といった物理的な環境の変化は、社員の行動にも影響します。
この機会に物理的な「働きやすさ」を整えるだけではなく、社員の「やりがい」を満たすにはどうしたらいいかも考え、会社としてのめざす方向を改めて見直すことが大切です。

「働きがい」のある会社にするためには、「働きやすさ」と「やりがい」の両方を満たす必要があります。これはまた次回お話ししたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。


私たちは、一級建築士や組織コンサルティング会社、研修会社などと提携し、みなさんの会社の「働きがい」を向上のお手伝いをしています。オフィスの移転・レイアウト変更・リノベーションをお考えの際にはどうぞお気軽にご相談ください。

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