家ではできないアイロン仕上げ
普段「職人の技をご家庭で」をテーマに
アイロン講座をしていますが、
これは家庭では設備的に出来ないアイロン仕上げです。
今日は久しぶりにちょっとだけアイロン作業 。
毛84%カシミヤ16%のショートコートの仕上げです。
まずは全体的なシワを機械プレスで取りますが、
素材的に表面がモフモフしてしまい
部分的な色むら(蒸気シミ)が出るので
ハンドアイロンで仕上げます。
アイロン作業のビフォーアフター。
もふもふの生地がアイロン後
表面感が変わって艶が出たと思いますが
いかがでしょうか。
普通は、生地にアイロン面当てますが、
この生地はアイロン面を浮かして
たっぷりの蒸気のみを
満遍なく生地に当ててその熱と蒸気を
生地を通過させてアイロン台に吸わせる。
蒸気が足りないと白っぽい部分や濃い部分ができて色むらになります。
業務用のアイロン台は
全面掃除機の吸い取り口のような感じ。
瞬時に熱と蒸気を吸い取ります。
生地の裏から蒸気を当てるので
表から見える部分はアイロンではなく
アイロン台のバキューム作用でモフモフ感を
整えています。
一通りアイロン台で作業後
ハンガーにかけて
余計なシワ取り、襟袖の成形、全体の毛並みをブラシで
馴染ませて出来上がり。
獣毛は基本的な構造が人間の髪の毛と一緒です。
ウール(羊毛)は特に人毛と似ています。
髪の毛をブラッシングすることで髪が健康で艶が出るのと同じく
洋服ブラシで繊維に空気を通して繊維の流れが整うことで
生地に艶が出ます。
もう一つ大事なのは、アイロンカバーです。
業務用のアイロンは蒸気の勢いも
家庭とは比べ物にならないくらい強いです。
普通に蒸気を当てると
引っ掻いたようなキズが
できます。
蒸気孔の小さく細かいカバーで蒸気の勢いをマイルドにしています。
いろんな知識と技術がちょっとづつ体に溜まって
出来ることが増えるのは
いくつになっても楽しいものです。
家庭でやるなら
ウールコートやセーターは
スチーマーを上から下に動かしてかける。
蒸気をしっかり抜いた後、洋服ブラシをかけることで
ある程度同様な艶が生まれます。
スチーマーを当てることで除菌効果もありますので
洗いにくい冬のアイテムのケアにおすすめです。
カシミアはウールよりさらに繊細なので
水分が余計に溜まると水シミのようになりますので
スチーマーアイロンの蒸気の大きさに注意です。
洋服ブラシかけも馬毛など繊細で弾力あるタイプがおすすめです。
次はこの仕上げを家庭の設備でも
より高いレベルで再現できるように考えるのが
また楽しみなのです♪
アイロン講座やってます。
https://www.street-academy.com/qr/class_detail_download?id=61119