M4 iMacのポートについて

M4 iMacのポートはモデルによって異なっている。その中の2ポートモデルはThunderbolt / USB 4ポートを搭載している一方でThunderbolt 4に対応している。
そこで本記事では、2ポートモデルのポートが、Thunderbolt 4に対応しているのにもかかわらず、Thunderbolt 4ではなくThunderbolt / USB 4となっている理由について考える。


M4 iMacのモデルによるポートの違い

M4 iMacのモデルにはポートが2つのものと4つのものがある。

両者のポートは以下のように異なっている。

  • 2ポート:Thunderbolt / USB 4ポート

  • 4ポート:Thunderbolt 4ポート

その一方で、両者ともThunderbolt 4に対応するとされている。

なぜ、同様にThunderbolt 4に対応しているのにもかかわらず、2ポートモデルのみThunderbolt 4ポートではなくThunderbolt / USB 4ポートとなっているのか。
Thunderbolt / USB 4ポートとThunderbolt 4ポートの違いはどこにあるのか。

Thunderbolt / USB 4ポートとThunderbolt 4ポートの違い

下記のAppleによるMacのポートに関するページ(公開日:2024年11月25日)において、Thunderbolt / USB 4とThunderbolt 4について以下のように記載されている。なお、両者で表記が異なる箇所を太字で示している。

Thunderbolt / USB 4

Thunderbolt 3ケーブルまたはUSB-Cケーブルで接続する外付けのディスプレイやその他のデバイスを1台接続できます。また、USB-C充電ケーブルを接続してノートブックを充電するか、USB-C - LightningケーブルでiPhoneやiPadを充電することもできます。このポートには接続できないデバイスをお持ちの場合も、アダプタを使えば接続できる可能性があります。

Thunderbolt 4

Thunderbolt 4ケーブル、Thunderbolt 3ケーブル、またはUSB-Cケーブルで接続するタイプの外付けディスプレイやその他のデバイスを接続できます。また、USB-C充電ケーブルを接続してノートブックを充電するか、USB-C - LightningケーブルでiPhoneやiPadを充電することもできます。このポートには接続できないデバイスをお持ちの場合も、アダプタを使えば接続できる可能性があります。

以上より、Thunderbolt / USB 4とThunderbolt 4に関する記述の違いは以下の2点である。

Thunderbolt 4ケーブル

  • Thunderbolt / USB 4:記載なし

  • Thunderbolt 4:記載あり

接続可能な外付けのディスプレイやその他のデバイスの数

  • Thunderbolt / USB 4:1台

  • Thunderbolt 4:複数台

なお、Thunderbolt 4に関する記述において「ケーブルで接続するタイプの」という表現があるけれども、英語(米国)ページでは以下のように「タイプの」に対応する表記がないため、本記事では重要でないと考える。

Thunderbolt 4

You can connect external displays and other devices that connect using a Thunderbolt 4 cable, Thunderbolt 3 cable, or USB-C cable. You can also connect a USB-C charge cable to charge your laptop, or a USB-C to Lightning cable to charge your iPhone or iPad. If you have a device that doesn't connect to this port, you can use an adapter to connect it.

M4 iMacの2ポートモデルのポートはThunderbolt 4に対応しているため、その点においてはあえてThunderbolt / USB 4とする必要性はない。
その一方で、M4 iMacの2ポートモデルのディスプレイ出力は1台であり、上記のThunderbolt / USB 4に関する記述と符合している。

したがって、M4 iMacの2ポートモデルのポートがThunderbolt / USB 4であるのは、ディスプレイ出力が1台であることが影響していると考えられる。

M3 iMacのポート

M3 iMacはM4 iMacの2ポートモデルと同様にThunderbolt / USB 4ポートを搭載している。
しかしM4 iMacと異なり、M3 iMacで対応するのはThunderbolt 3である。

したがって、Thunderbolt / USB 4ポートでありながらThunderbolt 4に対応するようになったのはM4からということになる。

Thunderbolt 3とThunderbolt 4の違い

下記の日本経済新聞のページによると、Thunderbolt 3とThunderbolt 4は、端子の形状(USB-C)や最大転送速度(40Gbps)、供給電力(最大15W)などが同じである。

その一方で両者の主な違いは以下のようになっている。

最大ケーブル長

  • Thunderbolt 3:0.8m / 2m

  • Thunderbolt 4:2m

PCIeの必要転送速度

  • Thunderbolt 3:16Gbps

  • Thunderbolt 4:32Gbps

ディスプレイ出力

  • Thunderbolt 3:4K1台

  • Thunderbolt 4:4K2台または8K1台

この中で今回注目するのはディスプレイ出力である。

M4 iMacの2ポートモデルのディスプレイ出力は最大6K1台である。つまり、Thunderbolt 4の2台または8Kに達していない。

それに対して、4ポートモデルのディスプレイ出力は6K最大2台または最大8K1台なので、Thunderbolt 4の要件を満たしている。

M4 iMacの2ポートモデルがThunderbolt / USB 4ポートである理由

M4 iMacの2ポートモデルのThunderbolt / USB 4ポートはThunderbolt 4に対応すると明記されているため、Thunderbolt 4の性能や機能を有していると考えられる。
それにもかかわらず、Thunderbolt 4ポートではなくThunderbolt / USB 4ポートであるのは、ディスプレイ出力がThunderbolt 4の要件を満たしていないからであると考えられる。
つまり、M4 iMacの2ポートモデルのポートにおいて、たとえThunderbolt 4と同等のディスプレイ出力が可能であったとしても、ポート以外の要因によって結果的にそれが4ポートモデルよりも制限されているため、Thunderbolt 4ポートではなくThunderbolt / USB 4ポートとなっていると考えられるのである。

ディスプレイ出力を制限するポート以外の要因として考えられるものは2つある。第1に、4ポートモデルとのGPU性能の違いである。
M4 iMacのGPUは2ポートモデルが8コア、4ポートモデルが10コアとなっている。したがって、2ポートモデルは4ポートモデルよりもコア数の少ないGPUを搭載しているため、ディスプレイ出力が制限されているのではないかと考えられる。第2に、4ポートモデルとの差別化である。
ポート数の違いで十分差別化されていると思われるけれども、更なる差別化としてディスプレイ出力に差を設けていると考えられなくもない。

まとめ

M4 iMacの2ポートモデルのThunderbolt / USB 4ポートはThunderbolt 4に対応するとされている。
しかしながら、そのディスプレイ出力は最大6K1台であり、Thunderbolt 4とは異なっている。
したがって、M4 iMacの2ポートモデルは、ポートとしてはThunderbolt 4であっても、ディスプレイ出力がポート以外の要因によって制限されているため、結果的にThunderbolt 4の要件を満たしていないと考えられる。
それゆえ、M4 iMacの2ポートモデルのポートは、Thunderbolt 4に対応していてもThunderbolt 4ポートとはいえず、Thunderbolt / USB 4ポートとなっていると考えられる。

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