リトクラブ*その組織と山本りとの謎に迫る
「リトクラブとは何なのか、調べてほしい」
編集長からの唐突な司令が来た。サラリーマンではよくある日常だ。
しかし、私はそれなりに記者歴が長い。
ネットで大まかな情報をつかみ、今日もササッと記事を書き上げるだけだ。
冷めたコーヒーをググッと飲み干し、パソコンの電源をONにする。
Googleの検索バーで「リトクラブ」と入力し、情報を精査する。
リトグラフ、リトグラフ、リトグラフ … どこを見ても「リトクラブ」という文字は見当たらない。
これは厄介なことになりそうだ。
気を鎮めようとマグカップに手を伸ばすが、コーヒーはすでに飲み干した後だった。
…
リトクラブは地下組織なのか?
Google検索では情報を全くつかめなかったため、X(旧ツイッター)で探りを入れることにした。
最初に視線へ飛び込んできたのはノリンという人物だ。
そのプロフィールには「リトクラブ会長」と書かれている。
会長は「フリルのついた花柄ワンピ」が好きだということも分かった。
しかし、リトクラブ会長という肩書の割にフォロワー数はさほど多くない。
この感じだと、リトクラブなるものも数人程度の仲良しグループか何かに違いない。
私は、長年の経験からそう読んでいた。
ところが、調べを進めるうち、このリトクラブなるものがとんでもない存在であることに気づいて驚愕した。
会長以下、副会長、外務大臣、園長、経団連会長も有する巨大組織だったのだ。
そして、そのトップに就任しているのが山本りとという人物。
リトクラブはひょっとしたら、政界への太いパイプを持った地下組織かもしれない。
私は、パンドラの箱を開けてしまったのだろうか。
…
リトクラブのサイトに仕掛けられたトラップ
さらに取材を進めていくと、リトクラブには公式サイト(山本りと公式ファンサイト)なるものがあると分かった。
なんとなく古めかしく、素人っぽい感じのサイトであったが、今流行りのWordPress、そしてSWELLという超高額の有料テーマを使用していることも分かった。
こういうのを宝の持ち腐れと言うのだろうが、アジトであることを見破られないよう、わざと目立たなくしているのかもしれない。
私は恐怖に怯えながらも、そのサイトの内部へ侵入する。
サイトのメニューバーには、たった一つの項目しかない。
「Sample Page」だ。
おそらくこれは、おとりだ。近づかない方がいい。
画面を下へスクロールすると、そこには「Hello world!」がずらりと並んでいた。
これでは、どのページが重要なのか見分けがつかない。
敵の侵入を防ごうとする用意周到なトラップが、あちこちに仕掛けられているようだ。
地雷を踏まないよう用心深くスクロールすると、「メンバー募集のお知らせ!」という、アイキャッチ画像がない記事を発見した。
ページを開くと、そこに本文はない。
たった一つのYouTube動画が貼り付けてあるだけの、殺風景なものだった。
動画を見る限りでは、リトクラブは密かにメンバーを募り、組織拡大を狙っているらしい。
リトクラブとは何なのか、ますます謎が深まる。
…
山本りととは誰なのか?
リトクラブがとんでもない組織だと分かった以上、そのトップである山本りとの素性を調べる必要がある。
山本りとのプロフィールは簡単に見つけられた。
そこには「脱OLゆるフリーランス」と書かれており、その文面からはゆるさしか感じられない。
「月18万PV/収益6桁を達成」とも書かれており、どうやらブロガーらしいということが分かった。
さらに、kindle本や無料メルマガなるものも発行しており、あの手この手で組織を拡大しようとしているらしい。
だが、これだけでは人物像がまるっきり分からない。
こうなれば、山本りとが書き下ろしたkindle本を手にとるしかない。
給料日前の私が自由に使えるのは、Amazonで貯めた600ポイントのみ。
私は、そのポイントの大半を注ぎ込み、山本りとの謎へ迫ることにした。
…
ゆるSEOとは何なのか?
私が手にしたのは、
個人ブログは「ゆるSEO対策」で月間10万PVを目指そう!
というkindle本だった。
レビュー評価は4.5だが、サクラである可能性も否定できない。
本文を開いた途端「残念!ハズレでした!」みたいな一文だけで終わるオチかと思ったが、予想外にボリュームのある記事だ。
「ゆるフリーランス」といい、「ゆるSEO」といい、山本りとはとにかく「ゆる」という言葉が好きらしい。
しかし、その言葉のイメージと違い、内容はかなりガッツリ系だ。
SEOの基礎から始まり、いかにしてアクセスを集めるか、具体例を交えながら踏み込んだ内容を紹介している。
そして核心とも言える部分が第6章、
なぜ私は「ゆるSEO対策」でブログ運営しているのか
に書かれていた。
ゆるく生きる、ゆるくブログ運営を行う。
のんびり楽しみながら、ゆるゆる過ごすのが、山本りと流らしい。
…
私のスマホに、編集長からメッセージが届く。
「できあがった記事、さっさと送れ!!!」
エクスクラメーションマークが3つ並んでいるということは、かなりお怒りのようだ。
私は編集長に返信する。
「そんなカリカリしないで、ゆるくいきましょうよ」
私はそっと、スマホの電源をOFFにした。
…
リトクラブの入会方法(おまけ)
会社を首になった私は、一大決心をした。
そう。リトクラブへ入ることを決めたのだ。
リトクラブが「入会費無料」「月会費無料」であることをすでに知っていた私にとって、怖いものは何もない。
リトクラブへの入会方法を知りたい人は、ノリン会長のこちらのポストを見ればいい。
さあ、余生をリトクラブとともに過ごそう!
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