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好きと言うのが怖い

「好きなものって何?」と聞かれたとき、すぐに答えられるだろうか。

好きな食べ物や趣味を気軽に挙げる人もいれば、答えるのに戸惑ってしまう人もいる。

私は後者のタイプだ。

何かを「好き」と言うことが、年々難しくなっている。

もしかしたら、それは自分の「好き」が誰かに否定されることへの恐れかもしれないし、本当に大切に思っているからこそ、雑に扱いたくないという気持ちの表れかもしれない。

この記事では、「好き」と言うことに対する違和感や、自分の気持ちの扱い方について考えてみたい。

好きを口にすることへの抵抗

(1) 誰かに否定されるのが怖い

何かを「好き」と言うことで、それが他人から評価されたり、時には否定されたりする場面がある。

「え、それが好きなの?意外だね」

「それ、そんなに良いかな?」

といった一言を浴びた経験がある人も多いのではないだろうか。

本当に好きなものほど、その一言が刺さる。自分の大切なものを「そうでもない」と切り捨てられるのは、自分自身を否定されるような気持ちにさせられるからだ。

(2) 好きなものが「コンテンツ」化する感覚

好きなものを公言すると、それがどこか「消費される」ものに変わってしまう感覚もある。

SNSでは「これが好きです」と発信することで、それが自分のアイデンティティの一部として切り取られる。

好きなものが、ただ純粋な好きではなく「評価の対象」や「他人の参考情報」に変わるのが息苦しく感じることもある。

本当に好きなものほど、言葉にできない理由

(1) 語ることで壊れてしまう気がする

本当に大切なものや好きなものほど、それについて語ることが怖くなる。

言葉で説明することで、その好きな気持ちのニュアンスが薄まったり、歪められてしまうのではないかという恐れがある。

たとえば、大好きな映画や音楽があるとして、それを誰かに説明しようとするたびに「うまく伝わらないな」と感じることがある。

その瞬間、自分の「好き」がちっぽけなものに見えてしまう。

(2) 自分だけの世界にしておきたい

本当に好きなものほど、自分だけの秘密にしておきたくなる。

それを誰かと共有することで、その特別な感覚が薄れてしまうような気がするのだ。

誰かに「これが好きだ」と伝えることで、それが自分だけのものではなくなり、手垢がついたように感じてしまう。

だから、あえて口にしないで胸の内にそっとしまっておくことを選ぶ。

それでも「好き」と向き合う方法

(1) 誰のためでもなく、自分のために好きでいる

「好き」という気持ちは、他人に伝えるためにあるものではない。

自分がその感情を持てるだけで十分価値がある。

だから、誰かに共有したり評価を求めたりしなくても、自分の中で大切に育てていけば良いのだと思う。

(2) 語らない「好き」を許す

好きなものを言葉で説明する必要はない。

「これが好き」と誰にも伝えないままでも、好きな気持ちには何の問題もない。

むしろ、それを語らず自分だけの秘密にしておくことが、その好きなものを特別なものとして守る方法になることもある。

(3) 共感を求めない

好きなものについて誰かに語ったとしても、その相手が共感してくれるとは限らない。

それでも、「共感されなくてもいい」というスタンスを持つことで、心の負担は軽くなる。

好きなものは、共感のためにあるわけではないのだから。

おわりに

何かを「好き」と言うのは、案外難しいことだ。

けれど、その気持ちは誰のものでもなく、自分自身の中にあるだけで十分だと思う。

好きなものを言葉にしないことで守れる感情もあるし、語らないことで深まる特別な価値もある。

誰に見せるわけでもない、自分だけの「好き」を抱えて生きていくのも悪くない。

もしこの記事を読んで、「自分も同じように感じることがある」と思ったなら、その感覚を大切にしてほしい。

それこそが、あなたの「好き」が本物である証なのかもしれない。


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