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私が彼女を推す理由

あいさつ

明けましておめでとうございます。
2022年の書き初め、前回から引き続き自分語りの全力投球で始まります。
前の記事で書いた「あるご当地vtuber」についてのお話。

本文

2021年正月、青森に一人の男が降り立った。
男はヘラっていた。なんせ大晦日にこんなツイートをするくらいである。

旅行好きが高じて念願の旅行会社に就職したは良いものの、その会社も件の流行り病によって例外無く打撃を受けていた。
だがその男にとっては、ボーナスが出ないこと以上に旅行そのものが不要不急とされている現実が心に重くのしかかっていた。ボーナスなどで一喜一憂できるのはまだ恵まれている方であることも理解しており、取引先施設の廃業情報などを見るたびにやりきれない気持ちになっていた。

そんな中、世間の風潮にわざと逆らうかのように旅行に出かけたのだが行き先は特に決めていなかった。ハマっていた位置ゲーの「駅メモ」でたまたま未踏の路線に津軽鉄道があったことから、青森に行くことにした訳である。

せっかく津軽鉄道に乗るのであればストーブ列車に乗りたい。そう思って津軽中里駅まで行ったところ、そこでこのポスターを見つける。

津軽中里駅にて

当時vtuberの存在は認識していたものの「にじさんじ」「ホロライブ」などの有名配信者の名前を少し知っていたくらいで、そんなに入れ込んでいた訳でもなかった。この時も、あぁそういうキャラクターがいるのか…と思った程度だったが少し調べてみると衝撃の事実が発覚した。

なんと彼女は個人勢だったのである。

頭を叩かれたような気分になった。個人でもこの情勢下でここまでご当地を盛り上げる活動をしているのに、会社に所属している自分は一体何をヘラっていたのだろうか?

たまたまその日に彼女が配信をしていたこともあり、あっという間に虜になってしまった。憑物が落ちたと言っていいかもしれない。vtuberにスーパーチャットを投げるという体験もこれが始めてだった。

2021/1/2の配信にて

ファンの方々も優しい人達でとても居心地の良い環境だったが、そうやって「推し」を続けているうち、男はふと思い出す。
元々自分がやりたかったのはこういうことではなかったのか、と。
会社での配属先は情報システム部であった。それなりにその手の知識はあったし好きなことでもあったので特段不満に感じることもないまま年月を経ていたが、いわゆる「地方創生」に携わりたいという欲求は消えていなかったことに気づいた。
会社でそれを実現することは今まで叶わなかったが、思わぬ形でその一部分に参加することができた。その男にとってはそれだけで彼女を推す理由になったのである。

それからちょうど一年後の今日、男は再び青森の地に立つ。2021年の感謝を込めて。そして「お仕事」でも「推し事」でも、今年こそ観光のために反撃の狼煙を上げることを決意して。

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