スタッフインタビューVol.5 これまでのGRAPHにない視点を期待される、女性PM。
元美容師で、アパレル会社勤務も経験。
そんな経歴を持つがスタッフがいます。
東京オフィスでプロジェクトマネージャー(PM)を務める八戸 藍さんです。
東京オフィスでは、現在女性のPMは一人だけ。
今までのGRAPHにない視座をもたらす存在として、日々活躍の場を広げている八戸さんへのインタビューです!
▲八戸さん。出身は八戸ではなく宮城県。このときとは髪の色が変わりました。今は金。さすが元美容師。
八木:(以下、--から始まる太字は八木です)ーー八戸さんは美容師の資格をお持ちなんでしたよね?GRAPH入社までの経歴について教えてください。
はい、美容師の資格を取得したあと、上京してサロンに勤務し、4年ほど働いていました。
もともとファッションが好きだったのですが、サロンのお客様の中にはファッション関係のお仕事をされていらっしゃる方もたくさんいらして、ますます服が好きになっていきました。
そして、ある時思ったんです。「私、洋服買うために働いてるな」って。
そこで、アパレル会社に転職しました。最初は販売員としてショップに立っていたんですが、その後はバイヤーやMDをやっていました。いろんな業務を担当させてもらったんです。
美容師時代はお客様相手の仕事とはいえ、毎日練習して、カットモデルを確保して、技術を向上させていく職人のような一面もありましたが、アパレルでの仕事はまた違う経験を積むことができました。
商品の企画を立てたり、シーズンごとのスケジュールを立てたり。
それに服などファッションアイテムにとどまらず、海外のレコードやブックもセレクトしているショップだったので、幅広いジャンルのアイテムに関わることができました。
ーーアパレルブランドには、どのくらいお勤めだったんですか。
14年です。
ファッションアイテムのバイイングや企画の仕事で海外に行く機会もあり、たくさん刺激を受けました。
ーーそこからGRAPHに来ることになったきっかけは?
アパレルの仕事の中で、洋服だけでなく世界のカルチャー全体に触れる機会を多くいただきました。
そこで、デザインやアートが、幅広いカルチャーにもたらす影響力って偉大だな・・・って、と、仕事としての興味を持ったんです。
アパレルに入社して14年経ち、そろそろまた新しい分野に挑戦してみたいなという考えもありました。
転職にあたっていろいろなデザイン会社のことを調べていたのですが、GRAPHもそのうちのひとつでした。
が、実はつないでくれたのは美容師時代の先輩なんです。
先輩に転職の相談をしていたら、そのサロンに、一成さんもお客様として通っているということがわかり、先輩が一成さんに話をしてくれました。
そこから、履歴書を送り、面接をしてもらって、入社することになったんです。
ーーGRAPHの手がけた仕事で、印象に残っていたものはありましたか?
とくに好きだったのは、「サバイバルフーズ」のデザインです。パッケージの洗練された美しさに惹かれ、「イケてる!」って思っていました。
宮城出身なので東日本大震災の経験もあり、保存食を含め防災用品について意識してチェックしていた時期があったのですが、数ある商品の中で印象に残っていたのが「サバイバルフーズ」だったんです。
▲25年という長期保存が可能なうえ、美味しさも追求した「サバイバルフーズ」。「グラフのお店」でも販売中。
それから、入社後に「これもGRAPHだったのか!」と知って衝撃を受けたのが『タルサ』です。
▲ラリー・クラークの写真集『TULSA』の日本語版としてタカ・イシイギャラリーより刊行。
もともとラリー・クラークがすごく好きで、日本語版『タルサ』も欲しかったのですが、どんどん高騰する値段にひるんでいたところ、思わぬ形で近づけました。(まだ買えてはいませんが・・・)
他にも、お酒のラベルやブランドのロゴ、パッケージのデザインなど、日常生活に寄り添った商品のデザインを手がけて、商品イメージやブランドづくりに貢献している会社だというところにも興味をもちました。
アーティスト的なデザインではなく、誰もが当たり前に目にして使うような、日常のもののデザインに関わってみたいと思っていたので。
一方で、GRAPHの手がけるものには、一見すると「なんだこれは?」と思うような、奇抜なデザインに見えるものもありますよね。私自身、奇妙なものに惹かれてしまう性質なので(笑)、そこに自然に引き寄せられた部分もあるかもしれません。
ーー入社してみて、特徴的だなと思うのはどんなところですか?
一番は、手がけるジャンルが幅広いということです。以前の会社でも、企画職だったので、さまざまなプロジェクトに関わってはいましたが、それでも主には「ファッション」という範囲のものでした。
でもGRAPHでは、今日は食品、明日は扇子、その次は公園や神社、そして文房具など、プロジェクトの振れ幅が大きいんです。
一成さんがデスクに来て「縄文時代、詳しいか?」といきなり聞かれたり(笑)。
救急車のデザインを考えた事もありました。
「救急車とは、どういう存在であるべきか?」から考えて、社内のデザイナーとともに提案をまとめました。結果的には採用にはならなかったのですが、視野を広げるいいきっかけになる仕事だったなと思っています。
大阪城の消しゴムは、私もコンセプトづくりから参加して、最終的に今までとはちょっと違うファッショナブルな形にすることができたので、貴重な経験でした。
▲大阪城の消しゴムについては『週刊GRAPH』でも取り上げました。天守閣と伏虎がスリーブにデザインされた消しゴムです。
ーーアパレル出身の経験を活かして仕事をすることも多いですよね。
そうですね。トートバッグやTシャツをつくることになれば、前職のノウハウで制作の段取りを進めたりもしています。
最近手掛けたのは、「ファーレ立川」のオリジナルグッズです。
▲「ファーレ立川」のオリジナルグッズ、Tシャツ。今年の秋以降に販売開始予定です!
▲「ファーレ立川」のオリジナルグッズ、トートバッグ。こちらも秋以降に販売開始予定。
▲シンプルなTシャツとトートバッグのポイントは、両者共通についている織りネーム。「ファーレ立川」のマークのカラーリングでつくったオリジナルネームです。
マークが強く主張するものではなく、普段使いできるようなシンプルなもので、さらにポイントになるオリジナリティのあるもの、として考えました。
ネームは、最初は印刷と同じ色味の糸で作ってみたのですが、”織り”の段階で色が少し沈んでしまったので、最終的にはかなり彩度の高い色の糸で作っています。
そして、大阪の「高槻病院」のグッズも作りました。
高槻病院は一成さんがロゴマークを考案し、”病院のブランディング”という、新しいジャンルに挑戦しています。マークは、黄金比と白銀比でつくられたふたつの四角形を組み合わせ、真ん中に「8」のシルエットを配置。無限(∞)のマークでもあり、鍵穴のイメージでもあります。
▲折り畳み可能なエコバッグ。 スタッフが院内で荷物を持ち歩くためのバッグです。「まずは、働くスタッフに、新しいロゴへの愛着や誇りをもってもらえるように」とつくられました。4色展開。
▲こちらもスタッフ用のネックストラップ。以前はみんなバラバラのストラップを使っていましたが、統一して使ってもらえるようにと考案しました。
ーーGRAPHで仕事をしていくうえで大事にしていることは?
これまでのGRAPHになかった視点を持ち込めるように、という点は意識しています。
前職がアパレルでしたので、トレンドを追いかけることや、SNSなどをウォッチして顧客層となる人たちのリアルな視点を意識すること、プロジェクトや商品に合わせた発信方法を検討したりなど、そういった強みは活かしていきたいです。
それから、単純に女性スタッフが少ないので、女性目線も。
基本はターゲット像や目的を分析して企画を立てますが、第一印象としてかわいい!と思うこと、心地いいと感じること、持ち歩きたいと思えるものなど、ありのままの直感が重要になる案件も多くあります。
入社当初は、意見を言うことに遠慮してしまうこともありましたが、GRAPHの先輩たちはみんな意見に対して否定することはなく、受け入れてくれる姿勢を持っているということがわかりました。
むしろ、「遠慮して言わないでいる」方が、あとあと弊害を生んだりします。だから今は、思ったことは率直に伝えるように意識しています。
ーーいま取り組んでいるプロジェクトは?
入社してから1年2ヶ月ほど経ちますが、長く関わってきたブランディングのプロジェクトが、今年中には形になる予定です。
おそらく、秋にはいろいろと披露できると思います!
先日あるプロジェクトの商品が完成して、撮影のプランニングもし、とても良い作品ができました。
前職でつながりのあったクリエイターやメーカーさんと一緒にものづくりに取り組んだりもしました。
先日の『週刊GRAPH』でも取り上げた「ファーレ立川」では、先輩PM の若狭さんから引き継いで、新しいグッズをつくりました。
バッグやTシャツ、クリアファイルなどが、「たましん美術館」のショップに置かれる予定です。おそらく10月に開催予定のミュージアム・デー付近でのお披露目になるかなと思います。
(開催できますように!!)
ーーこれから取り組んでみたいことは?
食品のデザイン全般に興味をもっています。
食べることと飲むことが大好きなので(笑)、その楽しみをさらに増幅させるようなブランディングや、パッケージのあり方、消費者とのコミュニケーション方法を考えるデザインプロジェクトに関われたらいいいなと思っています。
八戸さん、ありがとうございました!
新しいプロジェクトも楽しみにしています。
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