優酷(YOUKU)が発表した「亜洲超星団」、世界的オーディション番組への期待
要点:
①マンネリ化したオーディション、練習生にも既視感
②東南アジアに参入、ダンス番組「這,就是街舞(Street Dance of China)」
③木村拓哉も招待?メンターが豪華すぎる新番組「亜洲超星団」
2020年8月6日、優酷(YOUKU)の陸偉は「酷青春、正当燃」で、かねてから構想していた世界的オーディション番組「亜洲超星団」の全容を発表した。出演者候補は、アジアでトップクラスの人気を誇る、易烊千玺(TF BOYS)、周杰倫(Jay Chou)、LISA(BLACK PINK)、木村拓哉の4名と豪華すぎる布陣だ(記事下部で説明)。
応募できる練習生もS級(トップレベル)に限ると説明されており、番組の本気度がうかがえる。
オーディション番組の中にダンス、ラップが参入するのは他番組とも同様
ストリートダンスは优酷の人気番組【這,就是街舞】から来ているのでは。
世界的グループの誕生の瞬間が見れるかもしれない、と期待している一方で、国内市場で完結していたはずなのに、なぜ急に世界に目を向けたのだろうかという疑問も浮かぶ。
国際化の波と、アイドル発掘の限界
元EXOメンバーで、オーディション番組に貢献してきた張芸興(Ray)が「哪能出好苗子啊(オーディションのしすぎで、優秀な人が出てこない)」と批判したことがトレンド入りしたが、「創造(Produce)」「青春有你」「少年知名」シリーズなど数多くの番組が並存し、国内は既に飽和状態にある。例えば、少年之名の今季の練習生には過去番組参加経験者の名前もあり、すでに関心を失っている人も多い。そのことは優酷の年度発表会で少年之名が完結していないにも関わらず、「亜洲超星団」について発表していることから、すでに期待値が低いと読み取れる。このようなマンネリ化したオーディション番組に飽きが出ている現状で、30~50歳の有名女性芸能人が参加する「乗風破浪的姐姐」やアイドルグループ対決番組の「炙熱的我們」の紹介でも説明したが、番組制作者は新たなオーディション番組の可能性を模索してきた。
また、これまでは、オーディション番組は中華圏のみでほぼ完結していたが、青春有你2でのLisaや海外からの練習生参加や、中国新説唱(The Rap of China)のメンターとして韓国ラッパーの박재범(Jay Park)が参入するなど、国内オーディション番組は少しずつ国際化してきた。また優酷も「這,就是街舞(Street Dance of China)」で主に東南アジアなどの海外配信に着手したり、世界レベルのストリートダンスの実現に成功した。中国語で進行するという点において制限はあるが、成功した前例があるため、今後はより多くの華人以外のアーティスト・練習生も参加することになり、世界から注目する番組を制作することができるようになるだろう。
つまり、現状新アイドルの発掘が難航している点、世界への進出が進んだ点を要因として、新番組「亜洲超星団」が誕生したと考察できる。あるいみ必然的な流れだったのではないだろうか。
優酷が今回アジア全体でオーディションを開催するに至ったのは、「這,就是街舞」の成功が大きい。これまで日中韓の三国合作はあったが、アイドル界では日本、韓国は既に成熟しており、いくら日本のアイドルが中華オーディション番組を視聴しているとしても参加者はそこまで多くはないと予想できる。しかし、アジア全体に視野を広げ、アイドル市場が成熟していない東南アジアに目を向けたのは非常に興味深い。マレーシア、シンガポール、ベトナムやタイなどは華人が生活する地域でもあり、エンターテイメント業界が日中韓に比べ、まだまだ成長の余地がある地域だ。このような地域から「新苗子」を発掘し、プロデュース番組を成長に成功し、中国はアジアのエンターテインメントを率先できるのだろうか。2021年まで待ちきれない。
文/Tagawa Taichi
補足 (メンター紹介)あくまで4名は招待候補者であり、断る可能性も。
易烊千玺:中国初アイドルTFBOYSのメンバー。「这就是街舞」第一期のメンター担当、その多才さから同世代のお手本と評される。(写真は同番組より)
周杰倫:台湾のアーティストでアジアで影響力が一番ある歌手と評される。Jay Chouの名前は世界的にも知られ、雑誌「Time」の表紙を飾ったことも。The Voice系列の中国好声音(The Voice of China)でメンターを務めた経験もあり、ユーモアあふれる彼の演技指導も見てみたい。(写真:Weibo)
LISA:BLACK PINKのメンバーの一員で世界的に大活躍中、彼女のダンスの技術は言わずもがなピカイチ。今年、青春有你2のメンターを担当し国内外から人気を集め、彼女が練習生とコラボした動画の再生数は番組内トップのため、影響力が非常に大きく、喉から手が出るほど欲しいのだろう。(写真:本人Weiboより)
木村拓哉:唯一メンターの経験がないが、中華との関わりは深いため可能性は否定できない。2010年、台湾を中心に活躍する女優・モデルの林志玲(リン・チーリン)とドラマ「月の恋人〜Moon Lovers〜」で共演。2018年12月には微博(Weibo)のアカウントを開設し、頻繁に中国語で投稿。現地では人気な芸能人として名前があがる。また次女のKokiが「愛奇芸尖叫之夜」で「亜洲新鋭芸人賞(アジア新人芸能人賞)」を受賞するなど中国では木村ファミリーの名前はよく耳にする。