黒岩祐治神奈川県知事がもっと評価されていい3つの理由
もうすぐ都知事選か。毎度思うのだが、世界に誇るこれだけの大都市を司るのだから、任意の自己推薦ではなく、東京で優秀な上位100人を強制的に連れ出してきてその中から選ばせてほしいものだ。
さて、都知事と関連した話なのだが、現役の神奈川県庁職員と話す機会があった。彼らの語る黒岩知事評が世間一般のそれとは少し異なるリアルさがあったためよく記憶している。基本的にマスメディアでもSNS等でも黒岩知事を評価する論評を見たことはないのだが、彼らは冷静に是々非々で評価していた。以下に「是」の部分を3点記していく(もちろん「非」の話もしていたがそれは他で読めるので割愛)。
①話がうまい
さすがに元キャスターなだけあって、話はうまいのだそうだ。この点については、庁内の「反黒岩派」でさえも一定程度認めている部分のようだ。年初の訓示など、導入があって山場があって、そろそろ時間だというところで一気にかつ綺麗に話をたたむ。その間、ほとんど言いよどむことなく、原稿に目を落とすこともなく、聴衆の目をしっかり見て語りかけるのだそうだ。
②組織人である
テレビ局のしかもキャスター職を一般企業人と並べていいものかは悩むところではあるが、少なくとも組織の中で働いたことのある人なので、組織で仕事を動かすことにある程度理解があるようだ。この点、タレント、作家、政治家専業、学者などだと、自分の理想論を無理やり押し付けようとしてしまうことだろう(近隣自治体でも遠方でもなぜかこの種の人物が首長になる事例があまりに多い)。一方で、同組織の重役が首長選に出馬する場合もあるが、この場合は組織のことをわかりすぎているため、しがらみにとらわれて大胆な改革は難しいだろう。
③経済政策がよい
経済政策といっても幅広いので、各論でいれば賛否両論あるものと思うが、大きく言うと「少子高齢化産業を味方につけて成長エンジンとする」ということだ(ヘルスケア・ニューフロンティア構想というらしい。ニューなフロンティア……)。一般に、少子高齢化は自治体財政の重荷とされ、病魔のごとく「闘う」対象となるが、黒岩知事は少子高齢化産業の集積を志すことで、少子高齢化が進めば進むほどむしろ企業が潤うようにと考えた。そしてあわよくば世界に先駆けて進む少子高齢化を産業化し、海外への輸出も目論見たというのだ。その成否がどうなっているのかはよくわからないが、考え方は非常に正しいと思う。
黒岩知事といえば、過去の醜聞が週刊誌で報道され、相当な嫌悪感を持たせてしまった。嫌悪感を持つのは個人の自由であるが、別に法を犯したわけではない。むしろ、みんなベッド上での我が身を振り返ってみてほしいのだが、多かれ少なかれ、人に見せられないことを言ったりやったりしているだろう。胸を張って自分は清廉潔白だという人以外は、ブーメランになっていることに気付いているだろうか。
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