部屋の整理
年を重ねるにつれ、死というものが近づいてきているという事を実感している。
そのせいかどうかは分からないけど、最近部屋の整理を始めた。
近々死ぬ訳でもないのだけれど、なぜかそういう衝動に駆られている。
デザインが好きだけどなかなか着ない服、壁に貼られた海外で集めたポストカードやパンフレット、CD、本、その他細々した使わないものたち。
売れそうなものは片っ端からメ〇カリなどで売りに出し、売れそうにないものは捨てる。
一通り選別して、いらないものたちが詰まったゴミ袋を見て、ふと思う。
なんか、色んな事にお金を使ってきたなぁ、と。
その時その時で必要なものを買って使って余ったものとか、いつか使うだろうと置いておいた雑貨とか、衝動買いした謎のステッカーとか、一時期ハマっていた組紐とか。
それらの殆どは、時が経ってしまえばこんな風にゴミになる。
いや、買って使わずにしまった時点でゴミだったのかも知れない。
「いつか使う」という魔法の言葉に守られて、今までずっと捨てられずにいただけの、ゴミ。
そういう物にお金を使っては、「お金がない、お金がない」といつまでも思っている自分が心底バカだなぁと呆れた。
お金を使う事は悪くない。ただ、使い方が今思い返せば全く以て無駄な買い物が多かったということ。
今はもう必要か不必要か判断して物を買うようにしているし、もし買ったとしても買った分だけ物を減らしているので、物が増えすぎるという事はもうない(はず)。
これからは物欲ではなく、食欲とか少しでも幸せな時間を過ごせるようにお金を使うようにする。コロナウイルスに感染すると味覚を失うらしいといった情報を耳にしてから、味覚という「おいしいものをおいしい」と感じることのできる幸せを大事にしようと思ったから。
日に日に少しずつすっきりしていく部屋。
今まで積み重ねてきたものを自分の手で押し崩していくような独特の寂しい感覚に襲われながらも、
「いつか死ぬ」を考えると、この方が良いよな、と思う。