5/3 ニューアルバム「海に石を投げろ」リリース記念、架空インタビュー(part2)

3年ぶりのニューアルバムリリースを控えてWeekday Sleepersへのインタビューのpart2をお届けします。
--アルバムタイトルの「海に石を投げろ」というのは何を意味しているんですか?
ヤスヒロ(以下、Y):ストリーミング配信にリリースするというのはビッグアーチストでない限り、大海原に石を投げてるようなものなんですよ。時間をかけて作った作品を放り込んでもポチャンと音を立てて終わるだけとか。それでも思いっきり海に石を投げてやろうと。誰かに石が当たればいいんだけどなあ。バズりたいとかはさすがにもうないです。
--それでは曲について聞きたいです。1曲目のヘビーに歪んだギターサウンドのループで歌われる「こんばんは赤ちゃんたち」はSNS批判にも思えましたが。
Y: SNS、特にXをうまく使いこなせている人はいいと思うんですけどね。私はダメなんであまりポストしないようにしてます。なんでこんなに政治ネタが増えたのかも分からないです。陰謀論、デマ、差別、10代、20代の若い人は別のプラットフォームに行っちゃったって話をこの間、聞きました。まあおじさんたちはXで吹き溜まると。あとXのプロフィールをちょこちょこ変更して今の気持ちを表してるっていうのを最近知りました。そんなとこでっ?て思いました(笑)
SNSは苦手だと思いつつも今回みたいにアルバムリリースの宣伝などがあると使わざるを得ないですよね。私の場合はなぜかポストをするたびにフォロワーがどんどん減っていくんです。粋じゃない、幼稚だとか言いながらみんな使い続けていますよ。
--やはりSNS批判じゃないですか。
Y: そうなのかな… まあSNSは大人のおしゃぶりということでバブー。
--なんじゃそれ。
Y: そうえいば「旦那デスノート」のサイトを覗いたら「イイネ」が「死んだらイイネ」になっていて笑ってしまいました。
--2曲目の「Easy Life,Hard Life」ですが、お得意のドライブソングですね。
Y: そうです。具体的にイメージして作るのが好きです。今回は峠が多いので関越道からフジロックでお馴染みの苗場あたりまでの道のイメージで作りました。月夜野インターを降りてから結構長いですよね。
--今までの人生はイージー?ハード?
Y: まあ本当のことを言えば、めちゃくちゃハードです。会社員の苦しみだけならまだしも、持病絡みでここでは言えないことが多すぎて。でもイージーだったと強がっていたいです。こんなのちょろいちょろいと。
--3曲目の「お前の中に」ですがハードロック調ですね。
Y: 妻に初めて聞かせた時に「こんなダサいのありなのか?」って大笑いしてました。最初に洋楽を聴いたのがKiss、Queen、Aerosmith、Deep Purpleとかだったんで元々ハードロック大好きなんですよ。大抵、女がどうしたこうしたって発情ソングが多いです。
--自分の中でこれはありなんですよね?
Y: もちろんありです。90年代にDinosaur Jr.のMurphが「Iron Maidenはイケてるって言ったらイギリスのメディアの連中は変な顔をしてたよ。吹っ切れ方が足りない。」とか言ってたのを思い出します。インディーズシーンではハードロックは馬鹿にされる対象でしたからね。日本でもそうじゃないですか?
--ちゃんと聴いたことないので聴いてみます。
Y: この曲はハードロック調だけどギターソロとかはかっこよく仕上げてます。なんとなくミチロウさんが歌ってるのを想像しながら作ってました。
--「来世なんて要らない 一度きりで結構」って歌っていますが。
Y: もう色々ありすぎたんでこの人生を全うしたら宇宙の塵になりたいです。行きた証とかどうでもいいです。生まれ変わろうだなんてどこまで図々しいんだと思います。
--次は「夕日ロック」。ポップロックですね。
Y: 曲はすぐにできたんですけど歌詞が全くできなくて。困った挙句に図々しくもカンパニー松尾監督に歌詞の作成をお願いして一旦やってみるってなったんですけど、おそらくサニーデイの映画制作が大変だったみたいで最終的に断念になりました。で、自分のボツソングの歌詞を集めたファイルがあるんですが、それをパラパラと見てたら夕日ロックっていうのがあって、一時期気に入って部屋でよく歌っていたのを思い出して採用しました。歌詞はメロディに合わせるように書き直しました。
--夕日みたいにでっかいハートでいようというメッセージにもとれました。
Y: そう言われるとなんかチープですけど、まあそういうことかな。めちゃくちゃチンケなハートの持ち主なので、でっかいハートの人に会うとおおっと圧倒されますし、憧れます。一生でかいハートにはなれないだろうなあとも思います。曲としては「好きな人の前では俺って何てわかりやすいんだ」からの場面転換ででっかい夕日と会話するっていうのを想像して作ったんですけど、なんかうまくいかなかった。でも曲は気に入ってるので聞いて欲しいです。
--「Lonely Dancers」は跳ねるリズムが印象的な曲ですね。なんでロンリーなんですか?
Y:両親とも亡くなってしまい、思い出が詰まった実家だけがポツンと残ったんですよ。姉から家を処分するので必要なものは選別して欲しいと連絡がありまして、真夏にひとりで立川の実家に帰ったんです。その時の気持ちを主に歌ってます。リビングには父親がよくうたたねしていたソファーがあって、テレビのHDDレコーダーには母親が情熱を注いでいた韓ドラが山のように録画してありました。自分の部屋に入ったら学生時代のままで。オーディオコンポとパンクやインディーズ、オルタナのレコード、カセット、CDたち、音楽雑誌の山、壁にはThe Clashのポスターが貼ってありました。その時にJoe Strummerと目が合ったんですけど、すごい眼力でした。思わず目を逸らしてしまいました(笑)
--私も実家に帰ると不思議な感覚に襲われます。
Y: まさにノスタルジーの嵐に襲われたのと同時に汗だくで選別作業している自分は部屋にひとりぼっちと。ただそのことだけでなく多摩地区を離れて海のある町に引っ越して新しい暮らしを始めたいっていう気持ちも歌っているんですよ。
--「新しい波にライドして」ってやつですか。さて次は「インタールーズソックス」。これは訳がわからないです。
Y: アーチストによってはアルバムにinterludeを箸休めに入れていますけど聴いてる時には大抵スキップしてます。これ必要なの?と。 そこでもうちょっと面白いinterludeを作ってみようとチャレンジしたのがこの曲です。シューゲイザーっぽいし、最後にはグランドピアノとティンパニーも加わって壮大なアホな曲になってます。ルーズソックスのようにスイートでだらしなく脳がとろけるように願って。
--僕の頭も空っぽになりそうなのでちょっと休みましょう。
Y: ワンモアコーヒーでももらってこようっと。
(次回に続く場合あり)




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