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戦うヒーローにも帰る場所がある

2021年6月、一般社団法人 全国カラオケ事業者協会主催の「医療従事者の皆さまへの感謝と応援の気持ちが込められた手紙」という公募を見つけた。
コロナ禍で奮闘されている医療現場の皆さんに対する感謝の気持ちを手紙にしましょうという取り組み。
その瞬間、つい最近聞いた話を思い出した。
幼い姉妹と、その母親の話。
私はすぐにPCに向かった。

<看護師の妻をもつ友人の話>
電話の向こう、「ママ、頑張ってね」という声は震えてた。
まだ小さい娘たち。
本当なら今日は、娘の誕生日をショートケーキとハンバーグでお祝いするはずだった。
でも、私は今日も仕事に向かう。
精一杯我慢した、娘たちの「ママ、頑張ってね」を耳の奥で繰り返しながら。
小学4年生のお姉ちゃんは、2年生の妹の頭を何度も何度も撫でながら「ママも頑張ってるから、頑張ろうね。」と言っていたそうだ。
テレビからは医療現場のひっ迫した状況が繰り返し流れてくる。
新型コロナウイルスの恐怖と闘いながら、命を守ってくれている人たちへの感謝は常に胸にあったけれど、その家族にまで思いを馳せたことがなかった。
こんなに小さな子どもたちが、自分の気持ちを押し殺しながら、誰かの命を守る親を応援している。
自然と涙が出た。
医療現場の皆さん、その家族の皆さん、本当にありがとう。
世の中が落ち着くまであと少し。
私たちも日々の予防を気をつけて、皆さんの普通の生活が戻るよう、一緒に新型コロナウイルス感染症と戦っていきます。

こんなに小さな子どもたちが、母親の仕事の大切さ、尊さを理解し、精一杯我慢して、「ママ、頑張ってね」と言う。
その思いに自分を奮い立たせて、過酷な命の現場に立つ母親がいる。
私にできることは少ない。でも、感染しないように努力することはできる。
自粛生活は疲れるし、外に出たい。会いたい。
でも、1日でも早くこの親子に日常を返すことができるように、共に戦っていこう、そう誓った手紙だ。


この手紙が最優秀を受賞し、シンガーソングライターのハナフサマユさんが、この手紙をモチーフにして、「感謝の手紙」という曲をつくってくださった。

ありがとう ありがとう 戦うヒーローにも
帰る場所があるんだ
待っている人がいる だけど誰かの
大切な人を守るために進むヒーロー
< ハナフサマユ 「感謝の手紙」より >

手紙を書いてから4か月。
緊急事態宣言は解除され、オリンピック・パラリンピックは終わり、感染者数は減少傾向。
街は少しずつだが、日常を取り戻しているように見える。

でも私たちは、今でも命の現場で戦っている人、その人を支えている家族がいることを忘れてはいけない。
世界が完全に日常を取り戻すまで共に戦っていくのだと、「感謝の手紙」を聴きながら自分に誓う。

10月17日(日)から11月30日(火)までの期間中に「感謝の手紙」をカラオケで歌ったり、YouTubeでミュージックビデオを視聴すると、1回につき10円が医療従事者支援のための”「カラオケ文化の日」基金”に積み立てられるというチャリティプロジェクトも始まっている。

このnoteを読んでくださったあなたに、聞いてもらえたら、届いてくれたら、嬉しい。


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