量から質の時代へ 保育園整備に訪れた〝転換点〟|【特集】あなたの知らない東京問題[PART-4]
東京と言えば、五輪やコロナばかりがクローズアップされるが、問題はそれだけではない。一極集中が今後も加速する中、高齢化と建物の老朽化という危機に直面するだけでなく、格差が広がる東京23区の持続可能性にも黄信号が灯り始めている。「東京問題」は静かに、しかし、確実に深刻化している。打開策はあるのか——。
文・編集部(櫻井 俊)
「タワーマンションが次々に建ち、2~3年前まで〝保活超激戦区〟だった武蔵小杉エリアでさえ、0~1歳児の受け入れが可能な認可保育所がある。小規模保育園だと数人の〝空き〟が出ているだけで経営への影響は大きい」
川崎市の村山善徳・保育所整備課長は昨今の状況をこう語る。
認可保育園への入園を希望するも定員などにより入園できない待機児童のうち全国の約38%を占める東京圏(2020年4月1日現在、東京圏:東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)。その東京圏の「保活事情」に、近年、川崎市で見られるような変化が生じている。
これまで国や自治体は待機児童解消に力を注いできた。特に国は13~17年度の「待機児童解消加速化プラン」や18~20年度の「子育て安心プラン」を掲げ、保育の受け皿整備が各自治体で精力的に進められた。その結果、東京都における認可保育園の設置数は15年4月の2184カ所から20年4月には3325カ所に増え、待機児童数は、14年4月の8672人から21年4月には1000人(速報値)を下回った。
待機児童数は減りつつある
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