トラウマ【三橋雄斗】
子供の頃、僕はおねしょがなかなか治りませんでした。
このまま一生治らないのではないかと、家族みんなが心配していたのを憶えています。
特に、おばあちゃんはそんな僕を心配し、テレビや雑誌などでおねしょを治す方法を色々と調べていました。
小学校高学年になったくらいのある日、おばあちゃんが一緒に出掛けようと僕を誘ってくれました。
出掛けた先は、歩いて2〜30分くらいの所の古いスーパーの横にある、何の為にあるのかわからないプレハブ小屋。
中に入ると、スーツを着たおじさんがいて、
部屋の中に、小型のマッサージチェアのような椅子が数台並べられていました。
その椅子に、おばちゃんたちが数人、既に座っていたのです。
スーツのおじさんは、僕たちに空いている椅子に座るように言うと、
何やら話し始めました。
聞くと、この椅子には電流が流れていて、その電流が体に良いとのこと。
そして「こんなに効能があるのです!」と、大きな紙を壁に広げました。
その紙には、肩こり、腰痛、リウマチ、神経痛など様々な身体の悩みが書かれている中に、
しっかりと『おねしょ』と書かれていたのです。
ちなみにこの椅子、購入すると50万円くらいするのですが、
当時、各地で無料でお試しできるキャンペーンをやっていて、
それが割と近所にやってくると小耳に挟んだおばあちゃんが、わざわざ僕を連れてお試しに来たのです。
電流が流れているといっても、ビリビリはしないのです。
スーツのおじさんの話を聞きながら、ただ座っているだけの時間でした。
僕もさすがにおねしょは嫌だったので、これで治ればいいなと思いながら、ボーッとしていました。
しばらく座っていると、うたた寝してしまいました。
しばらくして、おばあちゃんが「ほら終わりだよ」と声をかけてくれました。
僕は寝起きでボーッとしていたので、「うん…」と言って、しばらく動きませんでした。
すると、おばあちゃんは「ほら行くよ」と僕の手を引こうとしました。
その瞬間、僕とおばあちゃんが通電してしまい、二人でビリビリしてしまったのです。
割と静かな空間で、僕とおばあちゃんの「ギャーーーー!!」という声が響き渡りました
スーツを着たおじさんは、「座っている人に触れちゃダメだよ~」と。
もっと早く言ってくれ。
結局、その夜と次の日の夜、おねしょをしてしまい、
それ以来、電流の椅子を試しにいくことはありませんでした。
それからしばらくして、おねしょは自然と治りました。
そして、大人になり、芸人になり、
よく行くライブ会場で、せたがやがやがや館という施設があります。
世田谷区の健康施設も兼ねていているのです。
なんと、その施設に、電流の椅子(メーカーは違うと思います)が置いてあるのです。
大人になって座ってみると、子供の頃に感じなかった、じんわりポカポカした感じがあり、
あの頃より疲れているのだなと実感します。
しばらくして、やはりうとうとしてしまいました。
すると、ひかりちゃんがやってきて、「ほら、そろそろ行くぞ」と、僕の手を引こうとしました。
僕は思わず「やめて!!!」と叫んでしまいました。
ひかりちゃんに、一から説明し、わかってもらうのに時間がかかりました。
皆さんも次から僕が電流の椅子に座っていても放っておいてね。怖いから。
【相方へ】
ドッキリは、いいけれど、永遠にかけるのは疲れるからやめてください。一日三回までね。
春になったら、遠くへ散歩しに行きたいですね。酒飲みながら。
ひかりちゃん今年の花粉はどうですか?僕は相変わらず花粉症ではないです。