個性と青春【三橋雄斗】
以前も書きましたが、ひかりちゃんは昔(10代の頃)、個性的な服ばかり着ていました。
カーテンを縫い合わせたワンピースとか、スプレーで落書きしてあるトレーナーとか。
コンビを結成して、まだ付き合っていなかった普通の男女コンビだった頃、
ネタ見せのあとで、ひかりちゃんが買い物に行くというので、面白そうなのでついていくことに。
なんせ、普通ではない服を買いに行くので、
デパートやファッションビル、ショッピングモールに入っているようなショップではなく、
雑居ビルの一室で、ひっそりと営業している、とんでもなく個性的なお店へ。
店内は、どこの国の音楽だかわからない聴いたことのない曲が流れ、永遠に砂嵐が流れているブラウン管テレビが至るところに置かれていて、
店員さんは、とんでもなくデカいとがったピアスをつけ、ゴテゴテのシルバーアクセサリーを身体中につけた強面のおじさん。
どんなところで買い物しているんだ。
ここは僕の居場所ではない。
ついてきたことを後悔しつつありました。
そんなお店で、ひかりちゃんはイキイキと物色し、
「これはどうかな?」「これもいいな!」と僕にも見せてきたりして。
僕はわからないので「あぁ、いいんじゃない?」としか言えず、心の中では『もう、早く選んでくれ』と思っていました。
30分くらい(体感)して、ようやく選び終わったので、
ゴテゴテで強面の店員さんが待つレジへ。
会計を済ませると、店員さんはカメラを取り出し、
「買った服と一緒にお客さんの写真撮らせてください」と言いました。
お店のブログなどに載せるためとのこと。
ひかりちゃんが買った服を広げ、カメラの前でポーズをとりました。
すると店員さんが、僕を見てニコッと笑い、
「ほら、彼氏さんも一緒に!」
と言いました。
「いやいや、付き合ってなくて、ただの相方で、」などとは言えず、
僕もカメラの前に立ち、ひかりちゃんと笑顔で撮ってもらいました。
「彼氏さんか…そう思われるよな…」
そのとき、コンビ結成から3ヶ月くらい。二人ともまだギリギリ10代。
これは意識しちゃうよね。
帰り道、「カップルと間違われたね」となんとなく言ってみました。
するとひかりちゃんは、「あぁ、まあ調子のんなよ」と仰っていました。
僕は「すみません」とだけ言い、美味しいラーメン屋さんの話に切り替えました。
でもそれからあと数ヶ月で、間違いではなくなるのです。
人生はわからないものです。
【相方へ】
鍋も得意ですよね。ミルフィーユ鍋とか。もちろん知っていました。
確かにペスカトーレは得意ですが、それよりも炒飯が得意です。
ファッションの話を二回ほど書きましたが、ひかりちゃんの過去のファッションをイジってしまいすみません。
でも悪気はありません。オシャレだと思っていました。