給食【三橋雄斗】
小学生の頃の出来事で、何よりも心に残っていることがありまして。
ある朝、いつものように教室に先生が入ってきて、教壇に立ちました。
先生が来ても、しばらくはみんなガヤガヤと騒がしくしていました。
いつもなら先生は「静かにしなさい!」などと注意しますが、
その日は、そのような注意はせず、騒がしさがおさまるのを待って、言いました。
「皆さんに悲しいお知らせがあります。」
と、仰ったのです。
みんな、ただ事ではないと感じ、黙って先生に注目していました。
「実は今朝、給食センターに泥棒が入りました。盗まれた物はありませんでしたが、床に何か白い粉が落ちていました。」
僕の故郷では、市内の小学校の給食を、給食センターという所でまとめて作っていました。
先生の話を聞いて、黙っていたクラスのみんなが再びザワつきました。
「泥棒ってなんだよ!」「白い粉ってなんだよ!」「事件じゃん!!」「おれ金田一とコナンみてるからかいけつするー!」「おれもー!」
などと、普段起こらない事件にテンションが上がっていました。
しかし、その時点で先生は『悲しいお知らせ』を言っていなかったのです。
そして、先生は騒ぎがおさまるのを待って言いました。
「なので、今日の給食は、ご飯とふりかけだけです。」
突然の悲しいお知らせに、クラスは再び静まり返りました。
その日の給食は、たしかカレーだったと思います。
そうでなくても、食べ盛りの子供に、ご飯とふりかけだけというのは悲し過ぎます。
しかも、給食センターでの出来事なので、市内の小学生は皆、同じように静まり返ったことでしょう。
仕方がありません。落ちていた白い粉の正体がわからないのですから。
もし白い粉が毒物で、気付かず食べていたら、僕はこうしてブログを書いていないし、
同じ市で同じ時を過ごした当時の小学生だった人達はどうなっていたことでしょうか。
給食の時間、ご飯とふりかけが配られました。
みんな文句を言いながら、ご飯にふりかけをかけました。
僕もテンションが下がりきっていました。
でも、最初に口にした者が突然うなりました。
「このふりかけ、うまいぞ!!」
それに続いてみんなが「うまい!」「おいしい!」「最高だ!」と、
配られたふりかけを称賛したのです。
僕も食べましたが、ものすごくおいしかった。
未だに、あのふりかけを超えるふりかけに出会っていません。
何処に売っているのか、教えてほしかった。
結果的に大満足の給食になりました。
その話を、ひかりちゃんにしたら、
「白い粉とかどこのかわからない美味しいふりかけとか謎残しすぎな話だな。モヤっとしました。なんなのですか。」
と言っていました。
でも、そのモヤっと感を超越するくらいふりかけが美味しかったので、死ぬまでにもう一度食べたいなぁと思います。
そのふりかけの情報か、そのふりかけを超えるであろうふりかけがありましたら教えてください。
【相方へ】
食に関しては、好き嫌いをあまりせずに食べます。
あと僕は、ベロが優れているので、細かい味がわかるという特性があります。一緒に暮らしていて、何度かそういう場面があったと思います。詳細は長くなるので後日書きます。
そのため、僕は美食家を名乗る資格があると思います。
お願いします。美食家と名乗らせてくださいませ。
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