EV充電設備設置「無料」 その電気代誰が払うの?
6kWの普通充電器5基、設置工事費500万円が無料に
商業施設の担当者 花子さんは、EV充電設備の設置を検討していました。ある日、充電サービス事業者から無料で充電設備を設置するサービスが提案され、花子さんと上司は大喜びで受け入れることにしました。
「やった!無料で充電設備が手に入るなんて、これは大きな節約だ!」と花子さんは喜びました。しかし、彼女は設置後すぐに自分の選択を後悔することになります。
EV充電: 7年で500万円の電気代が発生
花子さんが受け取った「無料」の充電設備は、初期費用は無料でしたが、毎月の電気代が6万円ほど発生しました。最初は気にならなかった花子さんも、年々増える電気代に悩むようになりました。
設置から間もなく、花子さんは会社から呼び出されました。会社の電気代が急激に増加し、花子さんがその原因であると指摘されたのです。花子さんは「でも、充電設備は無料で設置してもらったし、最初に電気代がかかることは会社側も承認したのでは?」と反論しましたが、それでも彼女は責任を負わされました。
充電サービス事業者だけ収益があり、施設に還元がないケースも
一方、充電サービス事業者側は、無料で設置を行い、電気代を負担せずに年間90万円ほどの収益が生まれる事例もあります。充電サービス事業者は、500万円の初期費用が発生しましたが、充電インフラ補助金で425万円の補助金を受け取ります。
花子さんは、最初は無料で充電設備を手に入れたものの、後に高い電気代を支払うことになりました。一方で、商業施設が自主的に投資して設置した充電設備は、初期費用がかかりますが、充電料金を自由に設定し、収益を上げることもできます。EV充電サービスは、施設来訪客向けのおもてなしや、施設の魅力UPが目的であれば、収益性はさておき、いつでもEV充電できる施設環境に重点が置かれます。
このケースから学ぶべき点は、無料で提供されるサービスも、後に発生するコストを慎重に検討する必要があることです。初期費用が無料であることに魅力を感じることは自然ですが、長期的な視点での収益やコストを考慮して、最適な選択を行うことが重要です。商業施設が自主的に充電設備を設置する場合、最初の投資は必要ですが、適切な充電料金を設定することで、長期的に充電設備を維持管理しながら顧客向けにEV充電サービスを提供することが可能です。
商業施設の皆様へ
今回は、「ただより高いものはない」ということわざを用いて、無料の充電設備設置についてお話しします。電気代が大きな負担でないと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には、無料で充電設備を手に入れたと思っていたら、1年後には初期費用よりも高い電気代を払わされることになるかもしれません。6kWの普通充電器1基の電気代基本料金は1,800円/月程度、さらに従量部分は3時間18kWh充電で約560円程度(31円/kWh)となります。電気代は上昇しており地域や契約によっては3時間で約720円(40円/kWh)となるところもあります。
商業施設側が無料の充電設備設置に惹かれて、電気代の負担を軽視してしまうことがあるため、充電サービス事業者側は、契約前にデメリットやコストについて明確に説明することが求められます。商業施設側も、契約前によく検討し、メリットやデメリットを比較してから、判断することが必要です。
「ただより高いものはない」
このことわざは、商品やサービスが無料であったり非常に安価であったりするものは、後になって相応又はそれ以上の対価を支払うことになることを示しています。今回の場合、商業施設が充電サービス事業者から無料で充電設備を提供されることで初期費用を削減できる反面、毎年多額の電気代が発生します。商業施設側は、安易に「設置無料」に惹かれる前に、よく検討することが大切です。
充電料金が高すぎると誰も使いません
また施設に充電設備を導入した後に、高額充電サービスにEV利用者が殺到すると信じ込む方もいらっしゃいます。しかし、充電料金が高過ぎると誰も使いません。充電設備や電力量に応じた料金体系、駐車場の運用方法、そして充電設備の運用方法も考慮しなければなりません。
例えば、ある高級ホテルではバレーパーキングを提供しており、車両預かり1泊3,000円で、EV充電料金はバレーパーキングに含んだサービスにしています。一方、ある施設の客単価が数千円で、客あたりの粗利が数百円の場合、電気代を回収しなければ、充電されるごとにEV充電で赤字が出ることになります。
充電に使う電気料金にご注意を
商業施設が充電設備を自主的に投資して設置する場合、初期費用がかかりますが、充電料金を自由に設定することもできます。一方、充電サービス事業者が提供する無料の充電設備を利用した場合、初期費用を抑えることができますが、充電収入の還元がなければ、費用のみ毎年継続して発生することになります。結果的に充電設備のメンテナンス費用や電気代費用が充てられず、全国で使用できない充電設備や撤去される急速充電設備も相次いでいます。
契約前に十分な情報収集をし、各種データを分析することで、施設にとって最適な選択肢を選ぶことができます。充電サービス事業者側も、商業施設に対して、契約前に十分な説明を行うことで、より透明性のある取引を目指すことが大切です。
WeChargeにお任せください
急速なEV普及を実感できる時代に突入しました。今後、商業施設や宿泊施設が顧客サービスを向上させるために、充電サービスを提供することが必要不可欠なものとなるでしょう。充電サービスを選定時は、施設滞在時間に合わせた適切な充電シナリオを考え、適切な数の充電設備を設置することが重要です。また、電源やデマンド制御、充電設備・サービスの投資回収方法についても、慎重に検討する必要があります。
こうした課題に取り組む際には、ユビ電のWeChargeコンサルタント(全員がEVオーナー=EV乗り)にご相談いただくことをお勧めします。当社のコンサルタントは、豊富な経験と専門知識を持ち、施設に最適な充電設備・サービスの提供方法を提案することができます。ユビ電は、お客様のニーズに合わせて、最適なソリューションを提供することをお約束します。
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