プログラミングスクール「テックキャンプ7つの闇」の炎上についてウェブカツ顧問が解説
ども、フリーランスエンジニア育成スクールとしてオンライン最大級のプログラミングスクール「ウェブカツ!!」を運営する、かずちきです。
最近、何やら賑わってるみたいですね。テックキャンプさん。
うちに来られてるテックキャンプ受講生も割合多いのでヒアリングは色々していてそういう話は前から聞いているので「やっとか」という感じではありますが、そもそも「それに群がっている人も情弱じゃないの?」と感じる事が多々あるので、うちも過去に炎上であることないこと言われた身として、ここでちょこっと解説したいと思います。
ちなみに僕は炎上の経緯とか細かな内容とか全く知りません笑
この人の動画がたまたまTiwtterで流れてきたんで、それしか見てない中で話します。
育成と人間というものを理解していない
この人がってわけではないですが、まず根本的にこういう論理をただ振りかざしている人って「育成と人間が分かってない」方が多いです。
こういう論理からすると「英語や学校教育もyoutubeやマッチングで十分でしょ。」みたいな論理になっていきますからね。
自己主張としては大事ですけどね。
よく考えてみましょう。
プログラミング以前に英語や学校教育の歴史は長いですよね?でも、今でも英語の独学で達成した人はどれだけいるんでしょ?
youtubeや本があろうと未だに独学での学習というのは難しいですし、「資格なんて役に立たないでしょ」「家でできるでしょ」「本買って学べるでしょ」という声もどこ吹く風で、資格試験や予備校、塾という事業自体も堅調で、受ける方は後を絶ちません。(少子高齢化の波での市場規模縮小は別としてね)
RIZAPを情弱相手のものだと言っても、「結果にコミット!返金あり!」と言っても、返金30日だったり、実際は不満も多々あります。
僕もRIZAPなんてなんで通うの?筋トレなんてジムで出来んじゃん。という気持ちはありますが、そもそも
「独学で◯◯達成!」
みたいな「優秀な出来る人」は「出来ない人達」が理解できないわけです。
以前のnoteで書いた2:6:2の法則のように「放っておいても出来る人」は世の中に2割程度しかいないんですから。
残りの8割は管理されたり机に縛りつけてやっと出来るかどうかです。
人は正しい情報があれば行動できるわけではない
そもそも
人は皆、正しい情報があれば行動できるわけではない
ということを理解しておく必要があります。
なぜ、今だにダイエット器具が売れるんです?情弱だからですか?
家や公園やジムで独学で出来ますよね?
書店に行けば「ダイエット方法」やら「トレーニング方法」的なものはいくらでもありますよね?
なぜ、今だに英会話スクールや資格学校や塾に通うんでしょう?
本なんていくらでもありますよね?youtubeでも学べますよ?講師とのマッチングサービスもありますよね?全員それで学んでますか?
英会話や資格なんてものはプログラミングよりももっと前から塾なりスクールもありますよね?
なぜでしょう?情弱だからなんでしょうか?
そういったサービスを使ったりyoutubeなり「格安?」で継続出来た人や達成した人がどれだけいるんでしょうか?どれだけの時間と労力を割いたのでしょうか?
旅行だろうと自分で個別に組めば安かったりしても、旅行会社に頼んだりする人もいますよね?そういう人たちは果たして情弱だからなんでしょうか?
コストが数千円しかしないブランド物のスニーカーやらを買う人たちは情弱なんでしょうか?
もっと簡単に言えば、
なぜ「太る」と分かっていながら夜にポテチやラーメン食うんでしょう?
彼ら、彼女らは「太る」ということを「知らない」から「食べる」という行動を取っているのでしょうか?
うちに来ている生徒でも
「本やyoutubeの独学でずっとやってたけど全然成長しなかったが、ウェブカツ入って1ヶ月でここまで出来るようになるとは」
という人もいますが、
情報を知っているから出来る、言われた本を買えば出来る。わけでもない。
という事です。
人が増えれば必ず不満が増える
そもそも、事業をやっていってる人なら必ず実感する部分ですが
顧客が増えれば不満も増える
のは当たり前です。特に急成長させる場合にはその割合は増えます。
じゃあ、ドン亀のように低速な成長でコツコツ成長させるのが正しいのか?というとそうではありません。特に後述する株式市場での株主の意向というのは顕著です。
昔と違って今は事業の動いているスピードがとても早いので、そんなスピードでやっていたんじゃグロースなんて出来ませんからね。
ここらはビジネスある程度やっている人たちは当たり前に分かっている部分ですけどね。
ハイレベルだから良いのか?問題
うちも面接官に「未経験でここまで出来るの?」と言われるレベルまで教えています(最近だとSalesforceなんかにも内定決まってましたね)が、じゃあ
ハイレベルってどこまで突き詰めるの?
という話なわけです。当たり前ですが、10年選手のようなハイレベルさを未経験から求めてるのは現実的ではありませんよね。
ハイレベルな教育を施すには必ず「ハイレベルな技術を持ち、尚且つ教えるのがうまい」優秀な人が必要です。そういった人を雇うには「それなりの報酬」がなければ相当な物好きでない限り、継続なんてしやしません。
それなりの「金」が受講者の受講料に乗る。ということです。
さらにはその人が「直接」教えられるには限度があります。1日24時間のうちその人がどれだけ時間を割いて教えられますか?
生徒数が増えるほど「一人一人に時間が割けない=質は落ちる」ことが必ず起こります。
そして、ハイレベルであればあるほど
そこに到達できる人も確実に減る
わけです。
国民全員、京大に合格出来ますか?MITに行けますか?
できるわけないでしょ。
ここらへんは教育事業をする側になって心底わかる部分ですが、
ハイレベルであればあるほど受講料に反映される=受講する人自体少なくなる
ハイレベルであればあるほど「学習期間がかかる」=挫折率も高まる
ハイレベルであればあるほど参入障壁が高くなり、結局エンジニアは増えず社会課題は解決されない
というわけです。
(まぁ、そもそも「技術だけ」に特化してしまっているエンジニアに経営者やマネジメントサイドは不満に感じているのが現状ですけどね)
空手から見る市場拡大(スケール)をさせるための道のり
ちなみに僕は空手をやっていて、昔は高校の頃に毎朝4時に起きて中国拳法を習っていたり、大学はテコンドーをやっていたほど格闘技オタクなんですが、経営者観点で見てもこの「空手」って面白いんですよね。
今でこそキックボクシングであったり、総合が流行っていますが、さらにもっと昔は空手が流行っていたわけです。
空手って全国規模で大抵どこにでもあって、今や「子供の習い事」の1つにも選ばれているものですよね。
この空手というのは沖縄の「唐手(トーディー)」から全国に広まり、その沖縄の「唐手」は中国拳法が源流になっています。
中国拳法には目つきから金的を基本としていて、戦争時代の危ない技もかなり多いんですが、沖縄唐手や昔の空手にもそういう「実戦的」な技が結構あるようです。
ただ、空手を全国規模で「拡大(スケール)」させたい場合、
「実戦的ですよ」「本物レベルにいくまでに◯年かかります」「泥臭い努力が大事です」
で広まるわけがありませんよね。
そんな危ないものを学ぶ人は少数派ですし、子供の習い事にもしたくはありません。それに本当に「ガチ」で学ぼうとすれば相当な期間を要するものでしょう。
そうなれば
世の中に広まらない。普及しない。
わけです。
そもそも、それだけのレベルのものを教えられる人って限られるわけで、その人たちが全国で生徒全員に直で教えるなんて無理ゲーですからね。
だから、
ハードルを下げてレベルを落とし、きらびやかに見せて「泥臭さ」を取り払う
FC方式にして裾野を広げる
といったことをしたわけです。レベルの低い弟子でも教えに駆り出さなきゃ、事業としての成長期で成長をさせることは出来ませんから。
だから、今では全国規模で「習い事として当たり前」になっているわけですが、その普及途中では必ず
「本来、空手とは泥臭いものだ!」
「こんなもん空手じゃない!」
という人も多々いたはずですよね。
今の格闘技でいう「シバター戦なんて本物の格闘技じゃない!失望した!」みたいな格闘技ガチ勢の気持ちだったわけです。
僕ももちろんそう思ってるんですが、でも「世の中に普及」させるためには必ずそういう道をたどる必要があるわけなんですよね。
サロンは教育の場ではない
ちなみに僕はサロンって大嫌いです。
なぜなら、
言いたい放題言える無責任立場でいられる
ものだからです。
だって、もし教育をしているんであれば、エンジニアサロンを運営されている方はスクールと同じく数値を出すべきですよね?
本があるから独学で出来る?
そんなもの、昔からそうでしょう。オライリーがここ数年でわかりやすくなってるわけがない。本の情報もわかり易さもさほど変わっちゃいないですよ。
独学でどれだけ達成出来た人が増えたんだい?
ということですからね。それこそ、
「そもそものその人が優秀だっただけでは?」
と同じように言われても仕方ありません。
数字が〜数字が〜というのであれば、自分のサロンでまず数字を出せばいいと思うんですがどうでしょう?
まぁ、そもそも世の中数字で全て測れるものではないですし、数字出したところであーだこーだ言う人が必ず出てきますし、形態として数字取れない部分もありますが。
まぁサロンという形態がそもそもそういう方向性で「個人の味方感」を出してやるものなので仕方ない部分ではありますけどね。
「余計な情報を得られないうちに契約させる」みたいな持っていき方もさも個人と企業との対立構造出させようとしてますが、テックキャンプが〜とかじゃなくどこの業界だろうと当たり前にやる話ですからね。。
ちょっと話逸れちゃいますが、よくサロンやユーチューバーで「営業利益で◯億は大手の◯◯と同じで、それだけ凄いんだ」みたいな比較してる人いるんですが、社会的なインパクト力、影響力、金の循環力、社会還元力が全然違いますからね。単に1億稼ぐより、100億稼いで99億を取引先や雇用に支払って1億の営利しか残らない事業の方が物凄いお金を循環して雇用を生んで社会還元してるんですよ、やっぱり。
その点、よくあるサロンって個人と企業との対立構造で成り立つんで、大きくお金を稼ぐのが出来ない(事業感が出ちゃうと離れていくから)=スケールしない=大きい価値は産めないというワケです。(もちろん、そもそもそういうつもりもないでしょうけどね)
テックキャンプはスケールするのか?
テックキャンプはスケールしない。みたいな話もありますが、僕は株投資もしていますし、スクールを運営している側でもある上で結論から言っておくと
スケールします
です。
(でなければ十数億の融資など銀行や周りは出しませんしね。。融資をしている彼らは情弱なんでしょうか?)
赤字だウェーイwみたいに言ってる人達(それこそ情弱じゃないのかね)もいるようですが、経営で大事なのは「赤字にならない事」じゃないからです。
会社経営で一番やばいのは
「銀行からも金借りられない状況」
ですからね。マザーズ市場のITサービス銘柄なんてほとんど先行投資で赤字ばかりですよ。でも売上さえまずはYoYで上がってればいいわけですから。資金繰りというように「お金が回り」さえすればいいわけです。IT系のB/Sなんてほぼ見ても意味ないです。
経営した事ない個人の思考レベルというのはそのくらいのものなんですよ。
借金、債務=悪いもの、経営が悪くてするもの
という短絡的発想というか、マネーリテラシーのない人の発想ですからね、それ。
事業成長を加速させるために時間をお金で買うんですよ?将来得られる利益を前借りしてブーストさせるわけです。
これ、個人だろうと本来同じです。個人レベルだとお小遣い前借りして更に金を生むものに突っ込むわけです。
忙しいビジネスマンがプログラミングスクールにわざわざお金出して通うのだって本来そういう「時間を金で買う」事でブーストさせてるんですから。
また、これは同じ経営者としてエンジニアとしても考え方は受け入れるのは心苦しいんですが、プログラミングのレベルがどうとか「品質」がどうのとか
ほとんどの市場の投資家は気にしちゃいません
売上伸ばせるか、スケールさせられるか。利益出せるか。が鍵なわけです。
プログラミング教育市場は物凄い勢いで伸びてます。子供向けで300億。社会人向けの市場数値はないですが、社会人が学び直すリカレント市場は9000億円ですし、今後中学でも必修化され認知度も更に高まり、商工会議所でも英語、簿記に続く必須スキルとしてプログラミングを掲げてるほどですからね。
社会人向けの教養としてプログラミングはどんどん増えますし、時間がないビジネスマンであれば尚更本とか独学でやるバカはいません。それより時間と労力を金で買って自己成長させて当たり前ですから。
資格スクールみたいに商品点数増やしていくなり、KIYOラーニング形態でやるなり、リアル店舗での展開でやっていくなり、子供向けに展開するなり、うちが昔やってたように女性増やすなり、法人研修向けに広げたり、フリーの様に税理士に代理店になってもらってその法人顧客を囲っていくような営業戦略したり、FCにしたりみたいな事など広げ方、やりようはいくらでもあります。(店舗展開だとネットと違ってその土地での優位性も出て、周辺住民やら歩行者の流動で一店舗出店あたりどのくらい売上立つかが予測しやすくてスケールさせやすかったんですが、コロナでまだ厳しいのはありますね)
それに「プログラミングだけ」で成長させる必要なんてないですから。
そして、そういったスケールさせるためには「ハイレベルか=高品質か」「世のためか」という事でスケールするわけではないのは株式市場を見ている人間なら当たり前にわかる事でしょうね。
いくつもの事件?炎上を起こしているリクルートHDでも最近、株価の最高値を更新しましたね。未だに普通に皆サービスを利用してますよね?(うちはもう使わない。といった大学も出ましたが、結局ほとんどの学生が使っていますよね)
炎上だの不祥事だのってのは事業やってれば成長過程で必ず何度か出る話ですからね。SNSなど利用したビジネスモデルの場合は特にですが、ミスなくて成長するなんて出来るわけがありませんし、ミスのない人生を歩んでいるのだとすればその人は何も成していない人なのでしょう。
(ちょっと前にも、ある有名な東証一部上場企業の社長さん数人から「ウェブカツの炎上なんて全く気にしてないよ」と言われましたが、事業をガンガンやって前に進んでいく人たちというのは、そういうものです。)
もちろん、うち含めて競合も必ずどんどん増えるのでプログラミング教育自体で今みたいに100万取るといったことは流石に難しいですが、それでも一般的な塾のように1人あたり月1〜2万になるでしょうし、裾野が広がれば広がるほど「認知度」「人気度」勝負です。
また、僕が過去のnoteで話しているように転職斡旋で取るのはまだまだ出来るわけです。(人ってホント自分の金が直接取られるのはやんやいうんですが、裏で取られるのは気にしないんですから)
さきほど出たリクルートなど含めてコロナでは一気に人材紹介系銘柄は株価下がりましたが、コロナ後見越しで最近ほとんどの銘柄が一気に回復しています。
過去に炎上した侍エンジニア塾もM&Aで10億かつアーンアウトで40億(成果でMAX40億まで追加でもらえる)ですし、M&A市場でもプログラミングスクールを欲しがっている会社がとても多いのが現状ですから、株式市場でも人気が出ることはほぼ確実でしょうね。
世の中の大半の人は「人気度」「知名度」「想起」といったもので物を購入する判断をしています
それが「人」というものなんですよね。
母数の一番でかいところを狙い、そこに刺さる謳い文句とアプローチ方法で顧客を増やす
が結局はビジネスとしては王道なわけで、その王道ポジションを取れているというのは強いワケです。
もちろん、うちは「実戦的」「ハイレベル」「泥臭く努力しろ」を謳ったニッチ分野なので認めたくないところですが、それが現実です。
お金を使わない世の中は経済を悪化させるだけ
事業者になるというのは「金を使う」だけでなく「金を使わせる」側にも回らないといけないわけです。フリーランスエンジニアともなれば、事業者なわけで「いかに相手から金を引き出すか」なわけです。
言葉は悪いですが、どんどん金を使ってもらわなきゃ経済も潤わないですし、周り回って自分らがじり貧になっていくわけですよ。
もちろん、テックキャンプはアレですし、流石に見合わない商品に金払うとか単なる役立たずの情報商材というのは別として、ただ単に「安い安い」という風潮な社会が不味いです。
それが行き過ぎた場合、安くするために講師を安く雇う必要があり、講師(=エンジニアなり自分ら)に周り回って安いお金の仕事しか回ってこなくなり、安いお給料しかないからそもそも安いものしか買えない。というデフレに陥っていきますからね。
安い金でしかやれないならそもそもその事業をやる人がいなくなります。
そもそも、「お金を稼ぐことが悪いこと」的な風潮が未だにありますよね。西野サロン?でも年商8億とかで「自分のために使ってるワケじゃない」「僕は質素な生活をしてる」と言った事をわざわざ言わなきゃいけない事自体がこの今の社会の問題だろうなと思います。
バブルはバブルでしたが、その頃の様に皆がバンバンお金使って、金稼いで当たり前、使って当たり前、こんな金稼いでんぜ!とアピールして当たり前な方が実際は世の中もっと潤うハズですよ。
コストを下げる企業努力や品質を上げる努力ももちろん大切ですが、
「コストが10万なんだから12万は高い。」
「粗利率9割は取りすぎだ」
みたいな事言われてあなたなら腹立ちませんか?
あなたがエンジニアになって「工数で1ヶ月なんだからその見積もり金額は高い」と言われてるのと同じです。
そういう客に付き合ってたら毎回安月給で働かせられる事になりますよね。(こっちは、実働はそうだけどその分頭使って価値提供してるんだよ!と思いません?)
もちろん、今やテックキャンプに100万使うくらいならもっと他のスクールありますし、余ったお金で旅行にでもいくべきですけどね(今、コロナだった)