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ドバイ政府が新空港アルマクトゥームの完成へ再び動き出す

外報によると、アラブ首長国連邦のドバイ政府は、コロナ禍で中断していた同国の新空港「アルマクトゥーム国際空港」の完成に向けて、建設プロジェクトを再開すべく協議を開始したという。ドバイはこの新空港建設・拡張に330億ドル(約4兆3600億円)の巨費を投じる予定。

アルマクトゥーム国際空港は、アラブ首長国連邦ドバイのジュベルアリ地区において、巨大人工複合都市「ドバイ・ワールド・セントラル計画」の一環として建設が進められている世界最大級の国際空港。そのため、完成すればドバイ・ワールド・セントラル国際空港の正式名称になる。ドバイの現国際空港であるドバイ空港から南南西40kmに位置しており、すでに空港容量としては満杯となったドバイ空港に代わって、滑走路6本を擁する中東地域の巨大エア・ゲートウエーに成長させることをドバイ政府は企図している。

また、奇数年に開催されるドバイ航空ショー(次回は23年11月)も、このアルマクトゥーム空港の広大な未使用敷地の一部を使って行われていることも有名。 

アルマクトゥーム新空港の一隅にあるエミレーツ・スカイカーゴの貨物施設
「エミレーツ・スカイセントラル」

2010年にアルマクトゥーム新空港は一部稼働開始したが、旅客機の運航はほとんどなく、もっぱらドバイのナショナルフラッグたるエミレーツ航空の貨物部門エミレーツスカイカーゴの世界貨物ハブとしての利用にとどまっていた。
その後は、同国政府の投資の力点が2020年ドバイ万博に振り向けられたり、コロナ禍による経済低迷に見舞われたことから、新空港の建設作業は中途のまま停止されていたもの。

しかし、昨22年になってドバイの国際線旅客の中継拠点としての価値が再び高まり、22年には世界5位に相当する6610万人の乗客がドバイ空港を利用したことが判明、新空港の必要性が再びクローズアップされてきたのである。これに意を強くしたドバイ政府が、新空港の完成に向けてプロジェクト再開への協議に入ったもようだ。

もうひとつ、となりの大国サウジアラビアが最近、航空産業の育成に力を入れていることも、中東地域におけるドバイの優位性に対する脅威となっている背景もある。サウジ政府は2030年までに首都リヤドに平行滑走路6本を持つ巨大新空港「キングサルマン国際空港」を完成させる計画に加えて、同国のムハンマド・ビン・サルマン皇太子お声がかりの新しい国営航空会社「リヤド航空」を立ち上げるなど、ドバイの航空シェアを奪いかねないプロジェクトを推進中である。

ドバイも対抗上、長年にわたって未完成状態の巨大新空港を早急にフル稼働状態に持っていき、この域内競合に勝ち抜く姿勢を示す必要があるのだろう。

2023年4月17日掲載


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