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パリ航空ショーでインド旋風吹き荒れる、印2大航空会社が合計1000機超の巨大発注
パリのルブルジェ空港で6月19日から25日までの7日間にわたって開催された「2023パリ航空ショー」で、インドの2大航空会社が歴史的な大量発注を行って世界の度肝を抜いた。パリ航空ショーは本来、隔年で開かれているが、新型コロナウイルス禍に邪魔されて、ことしは4年ぶりの開催となったものの、いきなりの大量発注で会場は大いに湧いた。
航空ショー初日にエアバスへの大量発注を契約したのは、インド最大の民間航空会社インディゴ(IndiGo)である。同社は2006年にLCCとして運航開始した比較的若いエアラインだが、10年ほどの間に急成長し、現在はエア・インディアを上回るシェアをインド国内線で確保している。
同社が今回、エアバスに確定発注したのはA320シリーズを500機とされている。このA320シリーズの機材詳細は明らかにされていないが、民間商業機の単一発注としては史上最大の契約のひとつであることは間違いない。
また、今回の発注でインディゴによるA320ファミリー機材の発注総数は1330機に達したとされ、同社は世界で最大のA320オペレーターになったようだ。
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これに負けじと翌2日目に、さらに大型発注を確定契約させたのが、エア・インディアだった。同社はまずボーイングとの間で最大290機の発注契約を結んだ。その内訳は、B737MAX×190機、787×20機、777X×10機のほか、追加オプションとして737MAX×50機、787-9×20機が含まれる。
さらにエア・インディアは同じ日に、今度はエアバスにも250機の確定発注を行っている。こちらはA320neo×140機、A321neo×70機、A350-900×6機、A350-1000×34機という内訳になった。この23年末までに最初のA350-900が引き渡される予定だ。
エア・インディアの場合は対ボーイング、対エアバスともに、すでにことし2月に基本合意書で仮発注しており、今回のパリ航空ショーでそれを確定させたもの。2つの航空機メーカーに合わせて540機もの発注を行ったことになる。
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国連によれば、インドの人口はこれまでの世界一だった中国が少子化で人口減少に転じたのを尻目に、この23年4月に世界最大の14億2860万人に達したとされ、さらに今後も増加の傾向にある。そのため、航空市場としての潜在的な成長可能性は他に類を見ないというのは、世界航空業界の一致した見方だ。
また、ある調査によれば、インドを中心とする南アジアでは今後20年間に運航機材が現在の700機規模から2300機規模へと、3倍以上の航空機が必要になるとしている。
インディゴとエア・インディアの同国トップ2社が合わせて1040機もの新造発注を敢行したのは、決して突拍子もない企業戦略ではないのである。
2023年6月28日掲載